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2020年1月31日 (金)

「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」:油の抜けたギリアム   #テリーギリアム #ドンキホーテ

007_20200131230901 映画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』は、巨匠の構想から30年、最初の撮影から20年に及ぶ、人呼んで「呪われた作品」だったのですが、遂にできちゃいましたねー。できてしまえば他の作品と同じ1本、ってことで、ありがたみもどんどん薄れていきます。

大江戸は『ロスト・イン・ラマンチャ』('02)を観ておりますので、最初のジャン・ロシュフォール主演版のゴタゴタを知っております。それだけに、よく完成にこぎつけたという感慨はなくもないですが、一方では「あ、こんなもんですか?」っていう物足りなさも満ち満ちておりました。

 

004_20200131232901 テリー・ギリアムもなんだか油が抜けて、普通になっちゃいましたね。「圧倒的な映像」なんてものには、お目にかかることができませんでした。中世の宮廷だとか甲冑姿の騎士だとか巨人だとか、ギリアム好みのアイテムは出て来るのですが、その映像にクセやパワーがなくってね。これじゃあギリアムが作ったことの意味がないではありませんか。

でも死んで腐ったロバなんてのは、スペインつながりでブニュエルの『アンダルシアの犬』へのオマージュだと思います。

 

001_20200131234401 ドン・キホーテを演じるジョナサン・プライスはなかなかいいですよ。哀愁と狂気のボケ爺いっぷりが、堂に入ってます。一方でサンチョ・パンサにされてしまったCM監督役のアダム・ドライヴァーは、達者なところを見せております。今、旬の役者ですからね(あんまり好きではありませんけど)。

いずれにしてもこの作品、あんまり面白くないのです。そして2時間13分と、結構長いんです。1時間50分もあれば十分な作品ですよ。そこらへんも作品が薄まっちゃった理由の一つでしょうし、油の抜けたギリアムなんて干物みたいなもんですから、あんまりありがたくはないんですよねえ。

 

 

 

 

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2020年1月30日 (木)

武蔵野うどんの幡ヶ谷「めんこや」閉店騒動   #武蔵野うどん #めんこや #幡ヶ谷めんこや

_20200130_210300 ここのところ大江戸のマイブームは、武蔵野うどんなのです。あの太くてコシが強ーい武蔵野うどん。ちくわぶとか白玉とかすいとんとかほうとうとか「小麦粉もちもち系」が好きな大江戸としては当然です。その中でも最強の、硬いといっていいほどのコシと弾力を持つのが、武蔵野うどん。

ただ、都内、特に23区内にはあんまり店がないんですよねー。ネットで見ても、四谷、池袋、三軒茶屋、西荻窪などに数軒点在しているだけ。あとは小平とか武蔵村山、東村山あたりにあるって感じ。埼玉に行けば多いみたいですけどね。

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  小生は幡ヶ谷、笹塚、下北沢、府中の店には行ったことがあって、それぞれにおいしゅうございましたが、下北沢の店なんか1年ももたずにラーメン屋になっちゃいましたもんねー(涙)。

最近は世間で(伊勢や九州の)「やわうどん」がちょっとしたブームだそうですが、大江戸はそんなヤワな人間じゃござんせん。もっとハードボイルドなのです。

で、1月半ばにランニングしながら幡ヶ谷のお店「めんこや」さんの前を通ったら、「1月31日で閉店いたします。」の貼り紙が! ショーック!

昨年12月に久々に来たばかりだったので、なおのことショーック!

てなわけで、それから駆け込みで2回行きました。一度目は遅い昼に来たら休憩時間に入っていてシャッターが半開き(というか半閉じ)で「準備中」の表示。ぐるなびには休憩アリとは書いてなかったのに、ショーック! なので、夜に出直したという…。

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ここんちのうどんは、店頭での手打ち。色は純白。コシはかなり強いっす。で、TVでも『王様のブランチ』とかいろいろ紹介されて好評を博したようで、そんなことを書いた貼り紙が貼ってあります。 武蔵野うどんといえばつけ汁の肉うどんなのですが、ここんちのはもちろん「肉うどん」がおいしいし、一番人気という「ぶっ玉うどん」(チャーシュー状の豚肉ともやしとゆで玉子)も悪くありません。そしてユニークなのが「海老汁うどん」。汁の中に小さな海老の天ぷらというか天かすみたいなもんがいっぱい入っていて、最初はカリシャキ、徐々にぐずぐずになっていくという代物です。

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で、最終日前日だというので、別れを惜しんで行ったのです。最近ずっと混んでます。そしたら、ドアと店内の貼り紙が変わっていて、「皆様のおかげで、閉店ではなくリニューアルになりました。1月31日をもって、一旦お休みとさせていただきます。」云々と書いてあるものもありました。 おいおい、そりゃねーよ!と言いたい気もしますが、まあいいや、結果オーライです。これだけ多くの人に愛されている武蔵野うどんなら、再開しても大丈夫。…それにしても確信犯っぽい気がするけどなー(でも許すっ!)。

 

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2020年1月29日 (水)

「芦川いづみ 憂いを含んで、ほのかに甘く」:貴重ないづみ本   #芦川いづみ

15800357306184050010323532 昨年末に刊行されたスチル写真&ポスター集+インタビューやその他のコンテンツで盛りだくさんの『芦川いづみ 憂いを含んで、ほのかに甘く』(高崎俊夫・朝倉史明 編/文芸春秋)を刊行ほどなく買ってはいたのですが、ようやく紹介させていただきます。

「デビュー65周年記念出版」と銘打っておりますが、彼女の場合活動期間は短くて、十年かそこらの活躍を経て、藤竜也との結婚を機に引退しちゃいましたから。それ以降はまったく表舞台に出ていないだけに、永遠に若い日のまま…ということで、いまだにファンも多いのです。もちろん小生は後追いで日活アクションなどを観るうちにファンになったのですが、日活の女優さんの中ではいちばん好きです。ってゆーか、「往年の女優」というくくりでも一番でしょう。可憐でキュートで透明感があって、まじめでけなげでしっかりしていて、すてきですよねー。

有馬稲子に似てるけど色が黒いから「稲」じゃなくて「麦」だ、ってことから「おムギ」という愛称をもらっていた芦川さんですが、現代では吉岡里帆に似てると思うんですよねー(この表紙の写真はそんなに似てないけど)。

白眉は、近年になって芦川いづみを「発見」して大ファンになったという江口寿史による、いづみさんのイラスト。神保町シアターなどで既に目にしていたものですが、いやー、素晴らしいですねー。キレイです。

そして現在の彼女へのインタビュー(20ページ)は楽しく、貴重です。今はカラオケで竹内まりやの歌を歌ってるなんて!

フィルモグラフィーを見てると、まだまだ未見の作品だらけなので、小生もこれからまだまだいろんな発見ができそうで、楽しみなのです。 ネットで検索する限り、彼女の本って他にはないみたいなので、作ってくれてありがとうございました。

 

 

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2020年1月28日 (火)

「mellow メロウ」:つかみどころがない   #メロウ #mellow #今泉力哉 #田中圭 #白鳥玉季

001_20200128230301 映画『mellow メロウ』は、大江戸の2019年ベストワン邦画『愛がなんだ』の今泉力哉監督の新作(1周遅れで『his』も公開されましたが)。すっかり売れっ子になった田中圭の主演です。ま、この田中圭演じる花屋さん(その店名が“mellow”)が、3人の女性から告白されるという、まあそんな映画です。でもコメディではありません。たぶんタイプ的には大江戸好みの映画。でも、「まあまあ」止まりでした。『愛がなんだ』は大好き、次作の『アイネクライネナハトムジーク』ではがっかりの小生としては、その間あたりに置きたい出来です。

 

005_20200128231301 田中を中心にいろんな人たちが綾なす群像劇ってところです。静かに、声を高く上げることなく展開していきます。登場人物もみな控えめで、おとなしい人たちです。そんな人たちの「告白」をめぐる物語。終盤には『ラストレター』じゃないけれど、手紙が重要な要素として出て来ます。花と手紙って、似合いますもんね。

悪くはありません。ただあまりにもパンチが効いてないんですよねー(田中圭って人も、基本的にパンチが効いてない人ですし)。奇跡の瞬間も現れませんでした。大江戸はそこらを映画に求めてしまいますのでねえ…。そう、「つかみどころがない」作品なんです(田中圭って人も、基本的につかみどころがない人ですし)。

 

002_20200128232401 ラーメン屋の店主を演じる岡崎紗絵が、ナチュラルに悪くなかったし、メチャメチャ細かったです(ラストの脚とか!)。彼女が作るラーメンが、あんまりうまそうじゃなかったのも設定上は正解と言えるでしょう。 あと、子役の白鳥玉季(2010年生まれ!!)が達者でした。見たことあると思ったら、『凪のお暇』のあの子だったんですね。演技力あって、将来有望だと思いますよ。

 

 

 

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2020年1月27日 (月)

「キャッツ」:単純につまらない   #キャッツ #Cats #フランチェスカヘイワード #美猫

002_20200127230001 映画『キャッツ』は、世界中でディスられてるそうですけど、その主たる原因である「CG合成による猫人間が妙にリアルで艶めかしくて気持ち悪い」って所に関しては、大江戸はそれほど非難しません。ま、これはこれでアリなんじゃない?と思っております。現代の映画なんだから。こういう解釈があってもいい。

(以降ネタバレあり) でも始末に負えないことに、単純につまらなかったんです。かの名作舞台の映画化なんですけど、ほとんど物語性がなくて、とても単調に感じました。後から気になってストーリーを調べたら、なんと、これ舞台版からして、ストーリー性がほとんどない作品だったんですね。1匹の猫だけが天上界に召されるっていう、ただそれだけの話。なーんだ。よくこんなんで超ロングランヒットしてたもんですね。ちなみに大江戸はロングラン・ミュージカルは大抵観ていますけど、なぜか『キャッツ』だけは縁がなくて未見だったのです。

 

007_20200127231301 ネコたちのダンス、悪くないんですよ。ただ、どの曲もどのダンスも結構一本調子で、カットを入れ替えてもわからない感じ。主演格のヴィクトリア猫を演じるフランチェスカ・ヘイワードって、世界的バレエダンサーなんだそうですけど、確かに美しい動きですけど、結構「宝の持ち腐れ」感がありますよね。ただこの人、いやネコ、圧倒的に美猫なんです。他との差が大きい美しさです(まあ、ネコじゃなくて人間の顔としての美しさなんですけど)。

 

008_20200127232401 そんな中でもジュディ・デンチ(今、変換で「ジュディ・電池」と出ました)の長老猫と、イアン・マッケランの役者猫は、きちんと見せてくれます。演技の力って、やっぱり凄いんですね(こんなメイクでも)。

あと電車猫のシークェンスだけは、やたらと素晴らしかったです。あの橋を渡る一団のロングショット! 実に映画的でありました。こういうのがもっと観たかったです。

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2020年1月26日 (日)

「ラストレター」:美しさとロマンティシズム   #ラストレター #岩井俊二 #森七菜

004_20200126215001 映画『ラストレター』は、もうザ・岩井俊二ど真ん中の傑作。ああ、なんて美しいのでしょう。なんて心震わせるのでしょう。そう言えば、岩井俊二が実写映画で少女たちをたっぷり撮ったのって、『花とアリス』(2004)までさかのぼるのではないでしょうか。故郷の宮城県を舞台に、得意中の得意の題材で、脚本・監督としての力量を存分に示しました。「物語」の面白さで、ぐいぐい見せていきます。

冒頭から美しい幅広の滝です。ラストも同じ滝です。滝好きの大江戸としては、それだけで嬉しくなってしまいます。いい滝ですねえ、これ(宮城県刈田郡の滑津大瀧)。

 

002_20200126221601 俗に恋愛に関して「男は『名前を付けて保存』、女は『上書き保存』」って言われますけど、岩井俊二映画は常に男性原理で展開しますね。出て来る男の人が過去の恋の思い出を大切に愛おしむだけでなく、女性も過去の恋を忘れずに、本作でも手紙を大切にとってあったりするわけです。まあ小生は男なので、そういう岩井俊二のロマンティシズムが大好物なのです。

それにしても二つの時代が錯綜する複雑な話を、一人二役とか使いながら展開させるものですから、かなりトリッキー。それが意図的な目くらましになる部分と、こちらの理解度が追いつかない部分と相まって、「??」となる場面もありました。まあ、終わってみれば「お見事」というしかないんですけどね。

 

005_20200126223301 (以降ネタバレあり) それにしても『Love Letter』(1995)の四半世紀後に、こういう進化系を作っているわけです。そしてあの作品の二人=中山美穂、豊川悦司をこんな形で使うとは! いやー、それまでの会話から「阿藤ってどんな怪人なんだろう?」と思っていたところにトヨエツだったんで、驚きと同時にドンピシャ感ハンパなかったです。

福山雅治と神木隆之介、松たか子と森七菜がそれぞれ互いに似せてます。あ、この人がこうなったのねって事への納得感があるってのは大切ですね(日本映画の場合、ここがおろそかなことが多いのです)。 森七菜の普通っぽさのリアル、いいですねー。さすがは岩井さん。

やっぱり(電子ではなくて紙の)手紙っていいもんですねえ。『Love Letter』に次いで、またもそれを感じさせてくれた岩井俊二。日本郵便から表彰してもらってもいいのではって感じです。

 

 

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2020年1月25日 (土)

都内3時間ラン   #都内ラン #須賀神社 

_20200125_221819800x502 青梅マラソンに向けた調整(まあ、何とか完走するための)も、3週間ほど前ってことで、3時間走を決行しました。これやっとかないと本番で走れないと思うのでやってますけど、大江戸のようなサボリランナーにとっては、けっこう大ごとなのです(だじゃれ)。

_20200125_221900800x484 まず新宿まで走って行って、TOHOシネマズ新宿の窓口で1ヶ月無料パスポートのチケット予約(夕方の回)を行います。 そこからゴールデン街を抜けて、朱色も鮮やかな花園神社へ。まだ初詣の方々もいらっしゃいます。

_20200125_190845768x1118 そこから(靖国通りではなく)新宿通りをまっすぐ東へ。東というのは四谷やその先の皇居方面へってことです。

すると四谷そばに来た時に「須賀神社参道」なる看板が目に入りました。「おお、そういえばあれはここらにあったんだっけ」ってわけで、寄り道。

どうです。赤い手すりのこの階段。なんか人々がわらわらと集っております。そう、『君の名は。』のラストシーンで有名になったあの階段です。

 _20200125_1917421024x580 ついでに須賀神社にお詣り。小ぶりでいい神社ですね。

_20200125_1911011024x858 鈴なりにぶら下がっている絵馬を見たら、おお、階段の絵があしらってあるじゃありませんか。これファンなら、ぶら下げ用と保存用の2枚買っちゃいますよね。

 

_20200125_222744600x926 で、この神社の脇道から降りてみたら、なんだかそっちの道の方がむしろ風情があるではあーりませんか。

_20200125_222821600x927 提灯が並んでいたりして。赤茶色の引き面の素敵なおうちなんかもあったりして。

石段々もこっちの方が立派な感じがいたします。

 

 

 

_20200125_222857800x460 さてさてまた新宿通りに戻って、四ツ谷駅の上の重厚な四谷見附橋からホームを見下ろすと、屋根にグリーンの植物が。屋上緑化ですね。ホームの温度も下がるのでしょうね。

 

麹町を通って、半蔵門で皇居に突き当たります。皇居ランナーの皆さんも走っていらっしゃいました。

そこから246に入って、渋谷方面に舵を切ります。

 

_20200125_2238031024x687 赤坂御所の脇を通ってしばらく行くと、外苑絵画館前の並木道。イチョウの葉もすっかり落ちて、冬枯れです。『第三の男』っぽいですね。

 

_20200125_223722 ブルックスブラザーズ青山店も、日本登場以来40年が経ったのですね(1979年~なので、今年で41年)。

 

 

更に進んで、表参道を右折。外国人、特に春節の中国人訪日客が多いですね。ちょっと(というかだいぶ)走りにくいです。

 

_20200125_2239471024x508 で、原宿駅は工事中でした。新しい駅舎ビルを作っておりました。あまり高層ではないのでほっとしました。そして今のところ旧駅舎は残っております。どうなるのかなあ。

 

_20200125_220746768x1283600x1002 さらに西へ。今日は寒かったです。低速で走っているので、体が冷え切りました。終盤に恒例の缶しるこを補給。今日のはダイドーの「金のおしるこ」。粒入りで、甘くておいしゅうございました。

全行程3時間8分。まあチケット予約とかおしるこタイムとかを勘案すると、正味3時間ちょうど。ミッション完了。よし、これで準備オッケーです。

 

 

 

 

 

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2020年1月24日 (金)

ザ・フーの新譜『WHO』  #ザフー #フー #THEWHO #WHO #ロジャーダルトリー #ピートタウンゼント

_20200124_2333021024x916800x716 昨秋発売されたザ・フーのニューアルバム『WHO』。13年ぶりのオリジナルアルバムってことで、しかもサイトなどには(煽り文句とわかっちゃいるけど)「最高傑作」みたいなことが書いてあって、それじゃー買わんといかんなあとCDを購入した次第。安い輸入盤でいいや、と思っていたのですが、日本版は(例によって)ボーナストラックが入っていて、「どうしようかなー」と思っていたら、WEBニュースでロジャー・ダルトリーが、「完璧なアルバムができてるのに、なんでボーナストラックなんてものを足さないといけないんだ!かなり不愉快だ」的なことを言っていて、それを読んだ大江戸は「おお、そうかそうか、それなら輸入盤でいいんじゃん」となったのでありました。

全11曲。うーん、傑作と言えるかあ?という感想。でもまあザ・フーらしい音は出ていました。そして、ロジャーの声とピートのギターがあれば、とにかくザ・フーになってしまうのです。それはまあ、ミックの声とキースのギターがあればストーンズになってしまうのと同じです(つまり他のメンバーは交換可能)。ただ、キャッチーなナンバーが割と少なくて、最後の1曲も暗くもやっと終わるので、晴れ晴れと「いいアルバムだったなあ」という感じにならないんですよねー。アルバム後半に進むほどつまらなくなっていくというか…。

とは言え、1曲目の『All This Music must Fade』の、パンチとザ・フーらしさは最高です。このリズム、このギター、ピートが軽いステップで演奏するシーンが目に浮かびます(さすがに今はもう軽いステップやジャンプは無理かなあ。10年ぐらい前の日本公演では、まだ軽いステップも見せてましたけど)。

いずれにしても、現在ピート74歳、ロジャーは75歳なんですよ!! ロジャーなんか1944年生まれの「戦中派」! それなのに、シャウトも昔のままだし、しっかりと声に伸びがあります。いったいどうなってんでしょ?  あのレジェンド二人が、これだけのロックをしっかりやってくれてるってだけで、奇跡ですよね。そういった意味では、もっと有難く拝聴すべきアルバムなのかも知れません。せっかく作ったんだから、あと1回来日公演してくれないかなー。

 

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2020年1月23日 (木)

「私の知らないわたしの素顔」:ビノシュ独演会   #私の知らないわたしの素顔 #ジュリエットビノシュ #怖いラスト

012_20200123230301 映画『わたしの知らないわたしの素顔』は、ジュリエット・ビノシュの演技を堪能する映画。メガネ教授のビノシュが、老いをさらけ出しながら、一方での華やぎも見せて、正気と狂気の縁(ふち)を行き来します。圧巻の演技力です。恋愛サスペンスにしてサイコスリラー、なかなか面白く見せてくれます。なかなかにエロいシーンもあって、Bunkamuraル・シネマのお客さんの中には戸惑う人もいるかも知れませんね。

 

007_20200123231301 SNS内での「なりすまし」恋愛という当世ならではの題材を、周辺の丁寧な描写によって説得力のあるものとしています。開巻最初のショットで、老婆のような、いやむしろデスマスクのような生気のない顔をさらけ出していたビノシュが、恋の輝きでぐいぐい若返って華やぐあたりもさすがですし、その後どんどん狂気に突き進んで行くあたりのじわじわ来るコワさもなかなかです。

(以降ネタバレあり)) そしてラスト! あれはダメですよねー、精神科医さん。彼女の罪の意識を取り去ろうとしたってのはわかるんだけど、あれを教えたらああなるのは必定でしょ。まずいよ、それはー。おかげで怖ーいラストシーンができました。

 

001_20200123232501 予告編にも使われている、ポンピドゥセンターのチューブ式エスカレーターの先端部にビノシュがたたずむ場面、あれ腰ぐらいまでの手すりしかないように見えて怖いんですけど、違うのかなあ? ガラス張りなのかなあ? その昔に行ったけど、どうなってたのか忘れちゃったなあ。

どうでもいいけど、この映画の監督サフィ・ネブーは大江戸と同じ誕生日でした=4月27日。年は違うけど。

 

 

 

 

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2020年1月22日 (水)

今日のいたずら15

_20200122_215855768x795 人さまのナポリタンの上に、翁の面の写真を置いておく(シュール)。

 

 

_20200122_215735800x755 同じくピザの写真を置いてみたけど、写真で見るとピザが置いてあるようにしか見えないじゃないかー!

 

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2020年1月21日 (火)

「カイジ ファイナルゲーム」:マンガですね(悪い意味で)   #カイジ #カイジファイナルゲーム #悪魔的だぁー

002_20200121220001 映画『カイジ ファイナルゲーム』は9年ぶりの映画第三弾。まあ監督は変わらず佐藤東弥で、作品のトーンもまるっきり一緒です。商売としては、正しいあり方なんでしょうね。

でも、出来の良い映画を期待して観ている大江戸のような者にとっては、かなりしんどい荒っぽさ、雑さの沈没作でした。こういうの観てると、観客でいることが気恥ずかしくなってしまうんですよね。

 

001_20200121221901 東京オリンピック後の大不況下の日本が舞台ですが、これは社会派的寓話というよりも「単なる背景、設定」に留まっております。そんな中でゲームを成り立たせるための筋が進行していきますが、まあツッコミ所満載の苦笑連続ストーリー。それを藤原竜也、吉田鋼太郎をはじめ、みんなが大仰な芝居で演じておりまして、ほとんどマンガ。いや、マンガを揶揄するつもりはないのでして、マンガじゃない(映画です)なのにマンガになっちゃってるのがダメだってこと。 そもそも、10人中9人が本当に死んじゃう自殺ギャンブルがあるテーマパークって…。 それからコイン1個の重みで…って、あの秤もすごかったなあ。強引で。

 

006_20200121222801 すべてにおいてそんな調子なので、もうマジメに観ているのがバカバカしくなっちゃいます。未見の方は、ビールでも飲みながらご覧になってください(で、ゴクリとやって「悪魔的だぁー!」とか言っちゃってください)。

準主役級で出て来る女の子、誰だろう?と思ったら、『町田くんの世界』でデビューした関水渚だったんですね。あの映画でも「華のない子だなあ」と思っていたら、こちらでも物足りなかったです(芝居ヘタだし)。10年前なら、確実に仲里依紗が演じた役だと思いました。

 

 

 

 

 

 

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2020年1月20日 (月)

「アナと雪の女王2」:クォリティ高いなあ   #アナと雪の女王2 #アナ雪2 #オラフ

004_20200120222701 映画『アナと雪の女王2』を、今頃ようやっと観ました。まあ、これだけの大ヒット作なので、上映が終わっちゃったり回数が減っちゃったりする心配がありませんでしたからね。で、やはりさすがのクォリティでした。

難しいことやってるのに難しいと感じさせない--そんな難事をやすやすとこなしている作品です。やっぱりすごいですね、ディズニー。脚本も前作を踏まえながら、毛色の違った方向に進んで、きちんと成功しています。

 

003_20200120223401 水、雪、氷、そしてそれらの変化といった映像を、見事にクリエイトしています。そのダイナミズムと繊細さ。そこに各キャラクターの1作目からの変化と成長を乗せていくのです。子供向けが基本(アメリカではそう)のアニメーションなのに、やってることのレベルがスゴイですよね。

そして楽曲シーンは、1作目で自信をつけたと見えて、今回はまるで実写版ミュージカルのよう。本当に「わかってる」人が作っているのだなあと感心しきりです。

 

006_20200120224201 アース・ジャイアントの巨大さやアクションの描写なんか、すっばらしいではありませんか。実は前半ちょっとたるいかなと思っていたのですが、後半は見事なビジュアル・ショーの連続で、すっかり目を奪われました。(驚くことに)クリストフの活躍もあったりして、良かった良かった。

あとはオラフね。こいつかわいいし、面白いし、謙虚だし…いいよね。こいつのおかげで『アナ雪』の世界が、どれだけ豊かになっていることか!

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2020年1月19日 (日)

「ティーンスピリット」:魂がこもっとらーん   #ティーンスピリット #エルファニング 

005_20200119222701 映画『ティーンスピリット』は、エル・ファニング目当てで観たわけですが、ダメでした。映画としての志が低いというか、何度となく語られてきたような物語を、暗く薄っぺらく描いております。よくある物語を題材にするのはいいんです。でも、薄っぺらいのはね…。 この作品が初監督だというマックス・ミンゲラって、『イングリッシュ・ペイシェント』や『コールド・マウンテン』などのアンソニー・ミンゲラ監督の息子なんですってね。父とは傾向があまりに違うんで、ちょっと驚きました。良くも悪くも(主に「悪くも」の方ですが)、ミュージックビデオ的。絵面や瞬発力のあるカットつなぎには凝ってますが、ドラマの描き方が凡庸でねえ。

 

002_20200119223101 エル・ファニングは、田舎町のアルバイトの女の子の冴えない感じでスタートし、当然ステージ場面では輝きます。ただ、冴えない場面がけっこう長いので辛いっす。物語のトーン自体、かなり暗いですし。彼女のバディとなるおっさん(クロアチア出身の元オペラ歌手って設定)も、本来もっとかわいげのある俳優がやった方が生きた役なんですけど、妙にダウナーな個性で、ここが映画的に今一つ活性化しませんでした。それでも、最後はそれなりにいい味出してましたけど、本来もっとふくらむべき役なんです。

 

001_20200119224401 デビューをめぐる芸能界裏話的部分とか、手の早い先輩アーティストの飲ませて酔わせて…的な件りとか、どうにもこうにも使い古された話を、凡庸な演出で描いていて、つまらなかったっす。

エル本人が劇中の3曲を歌っているのだそうです。確かにうまいんですけど、楽曲がねえ。エレクトロ系とか、ヨーロッパの暗めの曲ばっかりで、(本人の好みだそうですけど)エルに合っているとは思えませんでした。最後の曲など、エルはかなり熱唱しておりましたが、大江戸的には「楽曲に魂(スピリット)がこもっとらーん!」と言いたくなるような曲ばかりなんですよねー。でもエルが歌えることはわかったから、今度はもっと明るいミュージカルに挑戦してもらいたいものです。

 

 

 

 

 

 

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2020年1月18日 (土)

2019洋画トップテン   #2019外国映画ベストテン

日本映画篇に引き続きまして、外国映画篇です。

1.グリーンブック(ピーター・ファレリー)  2.スパイダーマン ファー・フロム・ホーム(ジョン・ワッツ)  3.運び屋(クリント・イーストウッド)   4.家族を想うとき(ケン・ローチ)  5.天才作家の妻 40年目の真実(ビョルン・ルンゲ)  6.ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(クェンティン・タランティーノ)  7.バイス(アダム・マッケイ)  8.幸福路のチー(ソン・シンイン)  9.フリー・ソロ(エリザベス・チャイ・バサルヘリィ、ジミー・チン)  10.ガルヴェストン(メラニー・ロラン)  次点.ブラック・クランズマン(スパイク・リー)  

<その他の記憶すべき作品>  シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢  アイリッシュマン  ファースト・マン  ビリーブ 未来への大逆転  アベンジャーズ エンドゲーム  ダンボ  ビル・エヴァンス タイム・リメンバード  アナと雪の女王2  アリータ  バトル・エンジェル  

監督賞:ピーター・ファレリー(グリーンブック)   脚本賞:ニック・バレロンガ、ブライアン・カリー、ピーター・ファレリー(グリーンブック)   撮影賞:ジミー・チン、クレア・ポプキン、マイキー・シェーファー (フリー・ソロ)   主演女優賞:グレン・クロース(天才作家の妻)   主演男優賞:ジョナサン・プライス(天才作家の妻)、 クリント・イーストウッド (運び屋)   助演女優賞:マーゴット・ロビー(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)   助演男優賞:ケヴィン・スペイシー(ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー)   新人賞:メラニー・ロラン(ガルヴェストン/監督として)

176972_011 2年連続で洋画が不作です。1位に置く作品が無くて困りました(『グリーンブック』は、通常の年なら4~5位ぐらいの作品です)。でも『ファー・フロム・ホーム』は、これまでのマーヴェル、いやアメコミ作品の中で、一番面白かったし上質でした。 10作中8作がアメリカ映画です(あとイギリス1作と台湾1作)。 『フリー・ソロ』はドキュメンタリーですが、常軌を逸した恐ろしい記録として。撮影自体がキ〇ガイ沙汰!

ちなみに『キネマ旬報』ベストテンが、前年は「12/31までの公開作」という暦年対象に改めてくれて良かった良かったと思っていたら、今回はまた12月19日までの公開作なんてことに逆戻りしてしまいました。大江戸はあくまでも暦年のテンでやっているので、両方のテンが別物になってしまうこともあるわけです(今回は大丈夫でしたが)。

(邦画篇はこちら↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2020/01/post-b4e561.html

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2020年1月17日 (金)

2019邦画トップテン   #2019日本映画ベストテン

お待たせしました、大江戸時夫の年間トップテン映画 of 2019年。まずは邦画篇から。(  )内は監督名です。

1.愛がなんだ (今泉力哉)  2.殺さない彼と死なない彼女 (小林啓一)  3.アルキメデスの大戦(山崎貴)  4.惡の華(井口昇)  5.疑惑とダンス (二宮健)  6.わたしは光をにぎっている (中川龍太郎)  7.長いお別れ (中野量太)  8.蜜蜂と遠雷(石川慶)  9.半世界(阪本順治)  10.ウィーアーリトルゾンビーズ(長久允)  次点.宮本から君へ(真利子哲也)  

<その他の記憶すべき作品>  アストラル・アブノーマル鈴木さん  マスカレード・ホテル  居眠り磐音  チワワちゃん  ある船頭の話  つつんで、ひらいて  翔んで埼玉  キングダム  クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし  さよならくちびる  町田くんの世界  ホットギミック ガールミーツボーイ  新聞記者  よこがお  旅のおわり世界のはじまり  コンフィデンスマンJP  凪待ち  火口のふたり  ルパン三世 THE FIRST

※特別賞:この世界の(さらにいくつもの)片隅に (追加シーンを加えた別バージョンのため)

監督賞:今泉力哉(愛がなんだ)   脚本賞:今泉力哉、澤井香織(愛がなんだ)、 小林啓一(殺さない彼と死なない彼女)   撮影賞:平野礼(わたしは光をにぎっている)   主演女優賞:蒼井優(宮本から君へ)  主演男優賞:菅田将暉(アルキメデスの大戦)   助演女優賞:市川実日子(よこがお)  助演男優賞:柄本明(居眠り磐音)   怪演賞:松本穂香(アストラル・アブノーマル鈴木さん)   ビューティー賞:玉城ティナ(Diner ダイナー)   新人賞:長久允(ウィーアーリトルゾンビーズ)  

 

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2年連続で邦画が豊作、洋画が不作となりました。普通の年ならベストテン級の作品が2-30本あって、選ぶのに困るほど。あれもこれもはみ出しました。ベストテン作品のほとんどの監督が、商業映画数本目の新進。日本映画の明日は明るいです。でも女性監督のデビューは増えたものの、質的には概して物足りなかったなあ。 

テンの上位に恋愛映画が多かったのも珍しい傾向。中でも「愛がなんだ」と「殺さない彼と死なない彼女」は、日本の恋愛映画、青春映画の歴史に刻まれるべき名作となっていました。現代性と普遍性の両方がありました。 新人賞に輝く長久允監督の「ウィーアーリトルゾンビーズ」は、奇抜で騒々しい意匠を超えて、普遍的で心に響く作品となっておりました。 

もともとうまい蒼井優は、「宮本から君へ」で自己最高を更新しました。驚くべき超絶演技。 「アスアブ鈴木」のラストで松本穂香が狂ったように踊る変なダンスはもう最高にヘンテコ!  「Diner ダイナー」の玉城ティナの、人間離れした美しさは圧巻でした。

(洋画篇はこちら↓)

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2020年1月16日 (木)

U-23日本代表の体たらくと森保続投の謎   #U23 #サッカー日本代表 #森保 #森保解任 #VAR 

男子サッカーのU-23アジア選手権は、日本が2敗1分けでグループリーグを突破できず…どころかグループ4チーム中最下位という結果に終わりました。3試合ともテレビ観戦しておりましたが、いやー、いろんな面でひどかった。昨年来、フル代表もU-23もどんどん弱くなっている印象です。恥ずかしい。

3試合を通して、ディフェンダーの守りがゆるゆるでした。足が速い選手の個人技に簡単にやられてしまう。まあ昔からの日本のパターンと言えると言えば言えますけど、あまりにもイージーに無策です。 ウイングバックでは、相馬が大いに株を上げましたね。あいつ、ぽっちゃり型に見える割には(本人は体脂肪一ケタだと言っていた)運動能力高いですから。橋岡も(ミスは多かったけど)、3戦目の「スリーバックの右」も含めて悪くなかったです。そして、齊藤未月のあくなきチェイスとボール奪取能力。まあミスも散見されましたけど、あいつのがんばりを見ていたら、ベルマーレのファンとしては誇らしかったです。

一方では杉岡大暉はパスもクロスも精度を欠くし、個人で突破できないし、守りもイマイチだし、ダメでした。でもヤツは(湘南から)鹿島に行っちゃったんで、もうどうでもいいや。彼に限らず、大体の選手が物足りませんでした。海外組がいないと、ここまでダメなのか?って感じ。

いずれにしても、一番ひどかったのは森保監督だというのは、誰が見ても明らかだと思うのですが、まだ解任にもならなければ辞任もしないんですってね。ネットでも炎上せんばかりに森保のひどさ、監督としての資質のなさが取りざたされ、アンケートでも約9割が解任すべきとなっているのに、その心配や絶望や憤りをまったく無視するサッカー協会=田嶋会長のひどさ。呆れると共に腹立たしいです。森保の妙な3バックへのこだわり。具体的な戦術のなさ。常に遅すぎる選手交代。メモばっかり取り続けて、いったいどうするの?

3戦を通してVARには泣かされましたが、でもオリンピック本番にもVARは使われるので、むしろVARへの対応ができていない、対策を指導していないと言えるのでは? ペナルティエリアなのに、不用意に足を高く上げたりしちゃいけませんや。でも、3戦目の田中碧へのレッドカードはひどい判定でした。完全に足はボールに行って、ボールを保持しているのに。あんな素晴らしいプレイが反則になるのでは、サッカーになりません。Jリーグでも今シーズンからVARが導入されるわけですが、これでは(ガツガツ行く)ベルマーレのサッカーなんか成り立ちませんよ。退場者続出となってしまうのではと、大いに不安です。 齊藤未月がPKを取られた場面もひどかったなあ。ボールに先に触ったのは未月で、その後で後ろから蹴られてるのも未月なのに、なんでそうなるの? しかもビデオ確認をスルーして。誰だって、カタールが金渡したと思っちゃいますよねえ。それなのに、森保は特に講義もせずに、微妙に笑ったりメモ取ったりしてるだけだし。

このひどい戦績、ここまでの世間からの不支持があれば、世界中のどこの国でも監督解任となりますよ。ハリルホジッチの時は、あんな理不尽な解任をしておいて、森保は続投って…このえこひいきっていったい何なの?? 日本サッカーの弱体化を食い止めるためにも、何とか田嶋/関塚/森保の仲良し国粋体制を早く終わらせてもらいたいものです。マスコミがまた手ぬるいからなあ…。

 

 

 

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2020年1月15日 (水)

「特撮のDNA ガメラと大映編」 in 蒲田   #特撮のDNA #ガメラ #ガメラ展 #大魔神 #大映

_20200112_1313541280x760 先日、蒲田の日本工学院専門学校「ギャラリー鴻(こうのとり)」で開催中の展覧会『特撮のDNA 平成ガメラの衝撃と奇想の大映特撮』を観ました。昨年はゴジラでしたが、今年はガメラってわけです。

(昨年の『特撮のDNA』はこちら↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-5ca1.html

_20200112_131659768x1249 土曜の昼前に行きましたが、まあゆったり観られる客数。いきなりガメラさんがお出迎えです。

実は大江戸は、ゴジラよりもガメラの方が好き。「ゴジラ検定」中級は持っているものの、むしろ「ガメラ検定」できないかなあと思っていたりするのです。

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ガメラと言っても、今回の展覧会で中心をなすのはいわゆる「平成ガメラ」(1995~1999)の三部作。樋口真嗣らによる特殊造形の数々が展示されております。

ガメラヘッドもたくさん。

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ギャオスヘッドだってあります。なんか左官屋さんが使う道具みたいですね。

 

_20200112_1319181024x1495 そして、やっぱりガメラの全身着ぐるみの雄姿!タイプ違いがいくつかもあります。やっぱりカッケーです。

なにしろ金子修介監督による「平成ガメラ」は、大人の鑑賞に耐えるリアルな災害&戦闘シミュレーションとして、『シン・ゴジラ』の先駆的な役割を果たしておりましたからねえ。3作とも、素晴らしい出来で面白かったです。

 

 _20200112_134547800x780 場内にはこんな表示も! 「監視ガメラ」って…。

 

_20200114_1911461024x651 立体物ばかりではありません。シナリオだとか、朝日ソノラマのソノシート付出版物も。ここらへんの展示物は、昭和ガメラが中心です。

Dsc_40731024x576 プラモデルやソフビ人形もいろいろありました。

 

考えてみれば、「昭和ガメラ」関係の造形物って、残ってるわけもないんですよね。ゴムや糊が劣化して崩壊しちゃってるし。

_20200114_1913561280x720 でも、絵や写真やポスターはあるので、そこらに関してはバッチリ展示してありました。いいなあレトロで。怪獣の解剖図とかもありました(笑)。

 

 

Dsc_40711280x720 小生はバルゴン、ギャオス、バイラスが大好きなのです。特にバイラスのユニークな「イカ感」なんて、サイコーです。

 Dsc_40801024x18201024x1820768x1365 そして大魔神! ガメラに次ぐ大映の二番手はやはり、大魔神ですから。いやー、いいですね。ユニーク&パワフルです。

 

_20200114_2140421280x929 ポスターの復刻パネルには、大映の奇想特撮作品のもありまして、『鯨神』だとか『風速七十五米』(裕次郎より30mも多い)だとか『透明人間と蠅男』だとか『透明剣士』だとか『東海道お化け道中』だとか、タイトルを見ただけでわくわくしちゃうものが並んでおりました。

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そして最後に、大映のスタジオをミニチュアにした、このような展示物も。

この他にも、あれやこれや-レギオンやら妖怪百物語やらパイロン星人やら-もありました。おっと最後には、かわいいガメラの着ぐるみくんも会場内をうろうろして写真に収まっておりました。_20200112_130641600x952

なんだかんだ言って、やっぱり怪獣&特撮好きには堪えられない展覧会なのでありました。

 

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2020年1月14日 (火)

「フォードvsフェラーリ」:胸アツの2時間半   #フォードvsフェラーリ #クリスチャンベール #IMAXレーザー #胸アツ映画

002_20200114220501 映画『フォードvsフェラーリ』の原題は、“Ford v Ferrari”。「vs」じゃなくて「v」です。“versus”の省略形は、“vs”のみならず“v”も使われます。どちらも原則は“vs.”、“v.”とピリオド(省略符)つきですが、無いこともあります。昨秋のラグビー・ワールドカップ日本大会の公式サイトでは、“ENGLAND v SOUTH AFRICA”のように表記しておりました。 それはそうと「vs」のことを「ブイエス」と読むのって、気持ち悪いですねえ。「ヴァーサス」と読んでもらいたいものです。

てなことはともかく、文句なしに面白い映画でした。2時間33分を飽きさせず突っ走ります。胸アツになること請け合いです。

 

004_20200114223401 大江戸はペーパー・ドライバーで、クルマには全く興味がないのですが、この作品は楽しめました。いや、それ以上に熱くなりました。(ほぼ?)CGを使わぬナマの迫力とスピード感! レース・シーンの圧倒的凄さ! さらには、ドラマの(いかにもハリウッド的な)熱さ。  会社のおエライさんとレースやクルマ作りの現場との対立、軋轢が生むドラマ。ほとんど池井戸潤みたいなサラリーマンあるあるの世界でした。あの副社長の憎たらしさには、はらわたが煮えくりかえって、熱くムカつきました。 まあ、こういう敵役のヒールぶりも含めて、昔ながらのハリウッド映画の良さを受け継いだ良作だと言えるでしょう。

結局はフェラーリとフォードのトップの面子争いですもんねー。そのために兵隊は死屍累々…とまではなっておりませんが、外から見ている分にはロマンとか感動とか思いますけど、中の人たちにとってはかなり理不尽な厄介事だったりしてたんでしょうねえ。これまた企業の「あるある」です。ただ、フェラーリのオーナーが、敗れたレース終了後にケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)に敬意を表していた描写は、良かったですねえ。車とレースへの敬意が、そこにはありました。

 

008_20200114224201 一方では友情や家族の映画になっているという二枚腰、三枚腰が、作品の厚みとなっています。で、その要としてマット・デイモンを寄せつけず、見事なドライバー&エンジニアっぷりを見せつけ、妻との愛情、息子との絆で、観る者の心情を揺さぶり続けたクリスチャン・ベールが、やっぱりさすがなのです。この作品の前は、デブデブのチェイニーを演じた『バイス』ですよ! まったくどうなってるんでしょうね、この人は!? 

質の高い娯楽職人のジェームズ・マンゴールド監督、とても良い仕事です。これまでの彼のベストじゃないかなあ。

大江戸はこの作品、TOHOシネマズ新宿のIMAXレーザーで鑑賞しました。巨大スクリーンと鮮明な映像と最高品質の音響。いやー、凄かったですよ。血が騒ぎました。こういうの観たら、映画をタブレットやスマホで観ることは根本的に間違っていると思ってくれるはず…「映画館原理主義者」の大江戸としては、そのように思うんですけどねえ。

 

 

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2020年1月13日 (月)

いつもの都内ラン   #都内ラン #蚕糸の森公園 #妙法寺 #缶しるこ

_20200113_222847523x790 2月16日の青梅マラソンに向けて、いつも通り年明けから長めの距離を走って、何とか間に合わせようとしている大江戸です。本来なら、レースになんか出ちゃいけないぐらいいつもサボっているのに、長年の経験で何とかかんとか30㎞の完走はやっちゃうんです(遅くても)。それとても、体力的にはとっても苦しいんですけど。

 

_20200113_222812600x946 まずは家から新宿方面に走ります。久々に都庁の脇を走ります。そこから歌舞伎町に向かい、TOHOシネマズ新宿へ。いえ、TOHOシネマズの1ヶ月フリーパスポートは劇場窓口で予約するしかない(ネット不可)ので、午後の回を予約したのです。家に戻ってから、また出直すのです。都心の劇場は土日祝だと、ふらりと行って席が空いてることはまずないのです。府中あたりまで行けば大丈夫なので、そういうこともするのですけどね。

 

_20200113_222740600x956 ここまでで出発してから45分ぐらい。で、その後は青梅街道を西へと走ります。中野坂上→鍋屋横丁→東高円寺へ。その途中で、冬の長距離ランのお供=缶しるこを買って、飲みます。伊藤園の粒入り、130円。暖かくて、甘くて、こいつにはいつも救われます(それか、缶ココアね)。

 

_20200113_2229181024x672 東高円寺の手前の街道沿いには、こんな古式ゆかしき建物も。昔はお店だったみたいですが、今は民家なのでしょうか。異彩を放っております。

 

_20200113_2234091024x557 そばには蚕糸の森公園ってのがあって、昔は蚕糸試験場だったそうです。入口の門が立派ですね。なんか、大学の門みたいです。

_20200113_223444768x1319600x1030 門の向かい側には、こんな立派な照明用の塔(行燈といっていいのでしょうか?)が。ポストと比べてもらえばわかるように、かなりデカいんです。

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で、環七で左折して向った先は、杉並区堀之内の妙法寺。三百数十年の歴史を持つ由緒あるお寺です。なかなか良いお寺ですよ、ここ。

_20200113_1512161024x628 今さらですが、初詣。今年何度目かの初詣です。

 

_20200113_151148600x867 手水舎には、立派な竜! 長いです。

 

その後は家へ。家の近くでぐるぐるしながら走って、トータル2時間10分。もろもろのタイムロスを差っ引いて、2時間ちょうどぐらい走ったわけです。まあ、今日はこれで良し。再来週あたりに、今度は3時間ぐらいをやっとかないとですね。

 

 

 

 

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2020年1月12日 (日)

「パラサイト 半地下の家族」:そこまで絶賛するほどですか?   #パラサイト #半地下の家族 #ポンジュノ

001_20200113001501 映画『パラサイト 半地下の家族』は、カンヌ映画祭パルムドールとかゴールデングローブ外国映画賞とかに輝いて、各方面から絶賛を受けてます。だから大江戸のハードルも上がりまくっちゃってましたが、うーん、そこまでいいかなぁ?

確かに面白くて、いい出来です。でも「想像を絶する展開」とか「絶対予測不能」とか言うから、小生としてはもっととんでもない事が起きるのかと、あれこれ想像を巡らしていたのです。その割には、普通でしたね。いや、もっと極端なあれこれを想像しちゃっていたのですよ。実はあの人たちが◯◯◯だったとか、この家の地下が××だったとか、地下から△△が出て来るとか…。

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貧富の格差の問題を、このようなエンタテインメントの中に描き出すポン・ジュノ。そこが『ジョーカー』などとも共通する今日性であり、高く評価されている理由なのでしょう。演出的にも「うまいなあ」と感じることがしばしばありました。手腕が円熟の境に達しております。

二つの家-高台の豪邸と不衛生な半地下-の造形は見事です。この思い切った(でもリアルな)プロダクションデザインと高低の位置関係、そして目に見えない「匂い」が、この映画のキモです。

 

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しかし、あまりにも色々な要素を詰め込んだこともあり、何か圧倒的に突き抜けた場面がないのです。これなら、同じポン・ジュノ作品の『グエムル  漢江の怪物』の方が、寓意の効き方としても、視覚的な衝撃としても、映画の力としても上だと思うのです。

クライマックスに関しても、「え?これだけ??」でしたし、ラストも「はあ、こんなもんですか。」でした。もっとスゴイ韓国映画は、これまでにも色々あったと思うんですけどねえ…。

 

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2020年1月10日 (金)

「殺さない彼と死なない彼女」:まさかの感動、ユニークな傑作   #殺さない彼と死なない彼女 #ころかれしかの #桜井日奈子 #間宮祥太朗

002_20200110230801 映画『殺さない彼と死なない彼女』を昨日(ほぼ公開が終わりかけているタイミングで)観て、やられました。伏兵でした。もう『キネマ旬報』ベストテンの投票も終わったというのに、落穂拾いの中からこんな傑作が出て来るとは!(年末に観ておくべきでした。) ちょっとキラキラ映画に見せかけて、相当な変化球です。

原作がTwitterに投稿された4コママンガだってこと自体、相当な変化球です。でも映画化に当っては、それにも増して普通じゃないテイストを発散させています。4コママンガからよくぞここまで構成したって感じの脚本が見事ですし、小林啓一監督の演出力も素晴らしいの一語です。

 

005_20200110232001 3組のカップル(うち一組=女×女)が物語の中心ですが、メインとなるのは間宮祥太朗と桜井日奈子のカップル。タイトルを表す二人でもあります。このオフビートな「変なやつ」加減が、二人とも絶妙です。二人の掛け合いは見飽きませんし、間宮と桜井が愛すべき二つの魂を見事に(低体温で)演じているのです。でも26歳の間宮は、(留年してるって設定とは言え)さすがに高校生には見えませんね。 一方、桜井は台詞にもあるように(キュートに)ブサイクなのです。このキャラには、それがすごく効いているのです。で、仏頂面の場面も多いだけに、たまの笑顔が効くのです。彼女がイカ丸焼きにかぶりつく場面なんて、サイコーです。唐突な疾走や変な動きも、ヘンテコキャラを作り上げていて忘れられません。

 

001_20200110233501 彼ら以外のキャラクターもそれぞれ立っていて、それぞれにダメな所を抱えつつ、それぞれに愛おしい感じです。そう、この作品はダメな人たちを肯定する作品になっているのです。終盤には泣かされること、感動させられることも多くて、嬉しい驚きでした。

(以降ネタバレあり) 鹿野(桜井)の最後の言葉、「ねえ、未来の話をしましょう。」の何という美しさ! 少女の成長物語になっていて(それは他の少女&少年に関しても言えます)、実に気持ちのいいラストでした。

映像的には、セミロング・ショットが多くて、また奥と手前の二人の人物に交互にフォーカスを移動させていくショットや、自然光の変化を(素人の失敗撮影みたいに)強引に使っているショットなども印象的でした。

いずれにしても、凡百のキラキラ映画を葬り去るような秀作であり、日本の青春映画史&恋愛映画史に残る一本だと思います。

 

 

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2020年1月 9日 (木)

「幸福なラザロ」:なんだ、これは?   #幸福なラザロ 

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映画『幸福なラザロ』は、現代イタリアの不思議な寓話。いちいち予想を裏切る展開に、観てる間は「なんだ、これは?」と感じることしきり。で、そのまま最後まで「なんだ、これは?」なのでした。

(以降ネタバレあり)  中盤で一つ驚く展開があり、M・ナイト・シャマランの『ヴィレッジ』かよ?!と思ったりもしました。ここを中心に物語が展開するのかと思ったら、さにあらず。

で、後半は神話的展開に。そこに社会派的な味付けも加わって来ます。ただ、そんなに掘り下げて行かないし、中途半端な印象です。そんな所をはじめ、何かと映画的には物足りないのです。寓意の意図するところも、大江戸にはよくわかりませんでした。意外性が連続すれば、普通は相当面白い映画になるはずなのですが、本作に関してはそうなりませんでしたねえ。

ラストも「え?! これで終わりですかい??」って感じで、小生にしてみると宙ぶらりんのまま投げ出されてしまったかのような印象。ラザロって名前を含めて、キリスト教をよく知ってる人にはもっとピンとくるんでしょうかねえ?

予告編の最後にに出て来る「圧倒的な幸福感に満たされる--。」なんてことは、まったくありませんでした。むしろ苦いっす。

日本版を作るとしたら、ラザロ役は濱田岳で!

 

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2020年1月 8日 (水)

今日の点取占い299   #点取占い #点取り占い

_20200108_231619800x465 海中公園を見に行ける   6点

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2020年1月 7日 (火)

「象は静かに座っている」:寂寞たる長回し   #象は静かに座っている #フーボー #長い映画

5_20200107231701 映画『象は静かに座っている』は29歳でこの作品を生み出し、完成後に自殺してしまったフー・ボー唯一の監督作。なんと3時間54分(休憩なし)もあります。昨秋にタル・ベーラの『サタンタンゴ』(7時間18分+休憩2回)を観ている大江戸なので、もう免疫がついていて、臆することはありませんでした。でも、やはり「修行」のような映画鑑賞となりました。だって、暗くて辛い「極北の」物語ですから。

師と仰ぐタル・ベーラから影響を受けたに違いない長回しショットが続きますが、多くの場合歩く人物を背中から撮って、追っていきます。普通そういう場合正面から撮りますけど、この映画では(ドキュメンタリーでもないのに)人物を正面から撮るのが怖いのかのように、背中ショットが多いのです。

 

1_20200107233101 主な登場人物である高校生男子も、高校生女子も、おじいちゃんも、チンピラ男も、みんな哀しみに彩られています。みんな自分が悪いわけでもないのに、辛い状況に陥っています。その上、何かが起きるたびに、(自分の行動のせいでもあるのですが)事態は悪い方へ悪い方へと転がっていきます。彼らを取り巻くのは、団らんとか楽しさとか愛情とかとはまったく無縁の、寂寞たる世界です。それを表すかのように、画面は終始冬枯れの寒くてどんより曇った光景ばかりを映します。救いや希望は、あろうはずもありません。

 

9_20200107233601 うーん、こんな暗い世界観の監督なら、自死を選ぶのも不思議ではないと思ってしまいますよね。なので、観ていて楽しくないし、辛いんですよ。だから大江戸は好きではありません。高くは評価しません。長回しによってこそ表現できる感情ってもんはあります。ただ、小生としてはこの監督に「映画には省略っていう技法もあるんだよ」と伝えてあげたい気持ちです。

時代を表現した映画というよりは、あくまでもフー・ボー監督の内面を表出した映画。我々は、その荒涼たる景色に震えおののくしかないのです。

 

 

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2020年1月 6日 (月)

展覧会『利休のかたち』&『茶の湯とデザイナーたち』@松屋銀座   #利休のかたち #茶の湯とデザイナーたち #松屋銀座

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松屋銀座で開催中の展覧会『利休のかたち 継承されるデザインと心』(~1/20)を年末に観ました。こういう(年末からの)正月展は、混む前の年末に観ておくに限りますね。会場造りは混雑を意識したのでしょうか、ゆったりとしていて、作品の間隔も広めに空いたものでした。

広告や会場入り口が独特な味のあるビジュアルですが、原研哉さんが手掛けたそうです。うーん、勇気を持って利休と勝負してますね。なかなかこうはできません、利休の名に臆してしまいますから。

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ただ、会場内はそのビジュアルとは離れて実にオーソドックス。利休以来の「利休好み」や「利休形」の茶器・茶道具を、スタンダードな見せ方で展示しています。また、千家関連の職人たちが利休のかたちとして造った作品も展示されています。

なので、基本的には「お茶」の世界の展覧会であり、棗(なつめ)や茶杓の微細な形の差を興味深く見つめる人でないと、ちょっとしんどいかも知れませんね。でも勉強になりますよ。

Dsc_4008768x1365 会場内で唯一撮影OKなのが、国宝「待庵」をその図面から実物大の立体で再現したコーナー。奥中央の竹の花器だけがリアルという風変わりな世界。待庵は映像でも紹介されていました。

作品や資料の数が約80件ということで、ちょっと物足りない印象。また、「デザイン」とうたっている割には、展示品のデザイン面からの分析やデザイン切り口の見せ方がもう少し欲しかったなと思いました。

 

_20200106_2225191024x1435 ところがどっこい、この8階会場の1階下のデザインギャラリー1953で開催していたのが、まさにデザイン寄りの小展覧会『茶の湯とデザイナーたち』(入場無料/~1/27)。こっちと合わせて観れば…、なるほど、デザインを切り口に現代と切り結んでおります。当代のデザイナーたちの解釈や思想が入った茶杓と香合。そこにはしっかり現代の視点からの「継承と創造」がありました。

必ずセットで観ることを、強くお勧めいたします。

 

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2020年1月 5日 (日)

「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」:自分、不器用ですから…   #シュヴァルの理想宮 #ある郵便配達員の夢 

002_20200105234101 映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』は、19世紀末~20世紀初頭にかけてフランスの片田舎に、たった一人で「宮殿」を築き上げた男の話。しかも本業の郵便配達は、毎日32㎞も歩いて続けながらですよ。これが実話で、現在も観光名所になっているってんだからびっくりです。大江戸は浅学にして、全く知りませんでした。

で、この郵便配達員が随分寡黙で不器用な人。高倉健というにはヘナチョコすぎるんですけど、「男は黙って…」であり、意志の人でもあります。ま、相当な変でもあるわけですけれど…。

 

008_20200105234801 天啓に突き動かされたかのように、突然愛娘のために宮殿を作り出すとっぴょうしもなさ。しかし、最初は反対していた妻も、だんだん認めるようになり、娘自身も喜んでくれているようで、家族愛的な物語展開が続きます。その後に悲劇が訪れるのですが、それを乗り越えて33年がかりの奇想建築は完成に至るのです。

アンコールワットからヒントをもらったりもしているようですが、「素朴派」と言われるように、子供のような自由さに満ちた建築です。この何でもありなゴチャゴチャ感と有機体的生命感は、ガウディに近いとも言えるでしょう。

 

006_20200106000001 主役のジャック・ガンブランも、奥方役のレティシア・カスタも好演です。そして、娘アリス役のゼリー・リクソンがかわいくて利発そうで結構ですね。

変人の執念の物語とは言え、『フィツカラルド』みたいな妄執の方には進まず、しっかりと家族愛の物語になっていて、人生を通して時間をかけてやり抜くことの貴さを描くのが本作。絵はがき用の写真に一緒に写してもらうシュヴァルの、照れながらも誇らしげな姿に、観ている我々もこの人を好きになってしまうのです。

ラストで初めて全景が見えるこの「ヘンテコ宮殿」、面白いですねえ。行ってみたいなあ。

 

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2020年1月 4日 (土)

「Wonderlust」展@パルコ・ミュージアム東京   #Wonderlust #ワンダーラスト #パルコミュージアム

_20200104_2349521024x1437 昨日は渋谷で東急陣営の渋谷スカイ(スクランブルスクエア)を紹介したので、今日はパルコ陣営のご紹介。と言っても、パルコはもう西武陣営じゃなくなっており、今度は大丸松坂屋傘下に入るのだそうですね。世の中変わっていきます。

さて、昨年11月に大改築オープンした渋谷パルコ。その4階に新装なったParco Museum Tokyo(パルコ・ミュージアム東京)の第2弾企画である展覧会『Wonderlust』に行って来ました。以前のパルコよりもぐっと若向きにしながらも、残すべきものは残し、ファッションブランドに関してはさすがと言うべきエクセレント・チョイスを果たしているこの渋谷店ですが、もともとあったミュージアムも残りました。

Dsc_40401280x720 Wonderlustとは、「旅への渇望、放浪癖、彷徨いたい衝動」のことであり、そこに「未来を恐れずに新しいスタートをきる」という意味を持たせているのだそうです。まさに、新生パルコと重ね合わせているわけですね。

入場料は500円。全展示物の半分ぐらいは入口付近のそとから丸見え。大胆と言えば大胆です。

_20200104_144838 参加アーティストの人選がスゴイです。上は83歳の田名網敬一から下は29歳の千葉雄喜まで、まあおじいちゃんから孫までって感じですね。’80年代のパルコ黄金時代を彩った山口はるみ、井上嗣哉、日比野克彦から、蜷川実花、グルーヴィジョンズ、山縣良和、森永邦彦まで、イラストレーション、グラフィック、立体、写真、アート、ファッションetc.と、各分野のクリエイターたちが1点から数点の作品を出品しています。

_20200104_144911 総勢12人(組)。まあ、顔見世興行的な展覧会ではありますが、あまりにも一人一人の個性が違うんで、何とも言えません。てゆーか、バラバラな印象。でも、その多様性がパルコらしいとも言えるでしょうか。

_20200104_144931  あっという間に見終えてしまい、物足りませんけれど、会場を出て同じフロアのテラスに出てみると、日比野克彦さんの大きな(段ボールの)船が展示されております。まあ、旅への渇望ってことなんでしょうね。

お客さんは数少なかった(むしろほとんどいなかった)けど、こういうパルコらしいことは、続けていただきたいと思います。儲からないのが文化ってもんですから。

 

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2020年1月 3日 (金)

新・渋谷駅と渋谷スカイ   #渋谷駅 #渋谷スカイ #SHIBUYASKY #渋谷展望台

Dsc_40111024x576 年末からの工事が無事完了して、本日から東京メトロ銀座線の渋谷駅が新しくなりました。従来の駅よりも130m表参道寄りに移って明治通り上に駅が存在する形。天井の曲線アーチが何とも未来的です。ここの口は、スクランブルスクエアの2階入口のすぐそば。

_20200103_1529081024x630 で、旧駅はこちら。新駅改札の反対側に見えております。東急東横店のどてっ腹が駅でしたよね。思えば高校時代は、ここから地下鉄で外苑前まで行ってましたっけ。

 

Dsc_40121200x2133768x1365 で、本題はこちら。昨秋の渋谷スクランブルスクエア開業時には早々と見物に行きましたが、予約でいっぱいだと聞いていた展望台「渋谷スカイ(SHIBUYA SKY)」にはまだ上っておりませんでした。で、本日やっと行ってまいりました。昨日のうちにネット予約して、20分ごとの時間帯のうち午後4:20~40の回をゲット。この時間内に入場すれば、あとはいつまでいてもいいのです(当日券を並ぶ手もあるのですが、ネット予約の方が早くて確実です)。

Dsc_40261024x576 14階からエレベーターで展望台へ。ここの高さは230mです。とにかく素晴らしい眺めでしたよ。実は今日の東京の日没は午後4:40ってことで、展望台で東京の昼景~夕暮れ~夜景と「一粒で三度おいしい」状態。トクしちゃいました。

Dsc_40201600x900 230mって高さは、ちょうどいいですね。あまり高すぎると、スカイツリーみたいに、いろんなものが遠くなり過ぎちゃいますし、雲の影響も出て来ます。低いと遠くが見えません。この高さなので、そして渋谷なので、東京の繁華街や道路やランドマークの数々がよく見えますし、東京湾も見えてました。あ、もちろん新国立競技場も見えますよ。

_20200103_2041231600x961 で、まさに夕暮れ時だったもんですから、西の彼方に沈み行く夕日と富士山がキレイに見えておりました。肉眼では富士山はもっと大きく見えます。オレンジ色の空と紫の雲が美しゅうございました。人々も鈴なりで、西側のガラス柵の前やウッドデッキに集まって撮影してました。

とにかくここは、ガラス柵はあるものの、その上は何もないので、風を感じながら眼下の東京の360度パノラマを楽しめるのです(雨だとダメでしょうけどね)。

_20200103_1829081200x1933768x1237 マジックアワーの富士山と空、暗くなるほどに輝きが増す東京タワー、渋谷ネオンやイルミネーション、首都高や幹線道路の灯り…。東京は美しい街ですね。

_20200103_1824341024x1768768x1326 東京タワーや六本木ヒルズの展望台を抜いて、東京一になりましたね、ここが。いやー、思い立って、来て良かったです。冬場なので、おまけに正月の休みなので、空気が澄んできれいだったこと、晴天だったことも幸いしました(夜景は普段の方がもっとキレイだったかも)。

 

_20200103_1828341600x1064 で、寒くなって来て展望台から降りると、暖かい展望フロアになっておりました。ビルの半周以上をガラス越しに見ることができて、これまた絶景でした。この階にはカフェやグッズ&おみやげショップもありました。

この展望台、ネット予約で大人1,800円ですが、十分にその価値はありますよ。堪能いたしました。

 

 

 

 

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2020年1月 2日 (木)

「冬時間のパリ」:会話が途切れぬ大人映画   #冬時間のパリ #ジュリエットビノシュ 

002_20200102215301 映画『冬時間のパリ』は、まごうことなき純正フランス映画。大人たちの仕事と恋愛に関する会話劇。とにかく最初から最後まで、誰もが饒舌に話しています。どちらかというと寡黙な大江戸としては、「よくそんなに話すことがあるね」と思わないでもありません。

冒頭をはじめ最も多く語られているのは、書籍のデジタル化の波に飲まれている出版業界の危機の話あれこれ。メインの男二人が編集者と作家で、その周辺の人々も出て来るから、かなりこのあたりの話が印象付けられます。デジタル化と紙の書籍ということにおいて、先日紹介した日本のドキュメンタリー『つつんで、ひらいて』と2本立てにすると良さそうですね。 

 

 

005_20200102222101 それにしても、フランスの(作家を招いての)トークイベントって、コワイですね。ゲストで来ている作家に面と向かって、ディスりまくってますもん。さすがというか何というか…。

その話に次いで全編の柱となっているのが、交錯する不倫のエピソード。いかにもフランス映画であります。でも、そもそも大江戸はフランス映画らしいフランス映画って昔から苦手でして、あまり興味が沸かないのです。同じような事やるのなら、ウディ・アレンがやってくれた方が、なんぼかありがたいんです。

 

008_20200102223401 結局はジュリエット・ビノシュを見るための映画でしょうし、そうなっていればむしろ成功なんでしょう。確かにビノシュは是枝の『真実』などより、ずっと生き生きとしています。 (以降少々ネタバレあり) ただ、ビノシュから離れたラストは、それはそれでいい味わいを醸し出しておりました。大人の映画ですね。

(おまけ)オリヴィエ・アサイヤス監督→浅井安

 

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2020年1月 1日 (水)

「嵐電」:妙なファンタジーもどき   #嵐電 #鈴木卓爾 #大西礼芳

T0023857p 映画『嵐電』は、昨年5月に公開された作品ですが、じわりと評判が良いようで、TAMA映画賞ではなんと最優秀作品賞に輝いたりしていたもので、これは押さえねば!と、年末のアップリンク渋谷での再上映にかけつけた次第。でも、うーん、小生の好みにはフィットしませんでした。

鈴木卓爾監督の妙なファンタジー性とかアマチュアリズムみたいなもんって、大江戸とは相性悪いみたいなんですよねー。もう少し違う個性、違うベクトルで、市川準みたいな方向に進んでくれたら、大好きな領域なんですけど。

そもそも最後まで「この修学旅行の高校生たち、何?」って感じで、姉妹には彼らがミュージカルもどきまで繰り広げるに至っては、もう手に負えないって気分でした。

Main_20200101225501 それに対して、映画撮影をめぐるエピソードは悪くないです。ここに関しては、大西礼芳(あやか)の素人っぽいナチュラル感がとても生きておりました。彼女、深津絵里や市川実日子をもっと水にさらしたみたいな感じです。彼女の恋愛めいたものが、かなり胸キュンに迫ります(男の役者がイケてないんですけど)。

でも、その他のエピソードがねー。都市伝説で、キツネだのタヌキだの出された日にゃあ。ああいうのは、資質の合った監督がもの凄くうまくやらないと、「変なだけ」になっちゃうんですよねー。 井浦新も、「いったい何だったんだろう?」って感じに、生きていないのでありました。

 

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2020年の挑戦(ケムール人のTシャツその3)   #ケムール人 #ケムール人のTシャツ #2020年の挑戦

あけましておめでとうございます。2020年も『大江戸時夫の東京温度』をよろしくお願いいたします。

さて、2020年と言えば『2020年の挑戦』です。それは、決まりです。何だかわからない人のために解説しますと、『2020年の挑戦』というのは、かの『ウルトラQ』の第19話、ケムール人が出て来るエピソードのタイトルです。この作品の放映は1966年。はるか未来である2020年のケムール星からやって来たケムール人が、地球人をさらっていく(ゼリー状の液体に触れると転送されてしまう)というお話。ケムール人がフォフォフォ…と笑い(?)ながら、パトカーの前を走っていく場面や、巨大化して夜の観覧車の前に立つ場面などは忘れがたいインパクトを持っております。

_20200101_2306191280x983 で、大江戸はそんなケムール人が大好きなもので、過去にも2度Tシャツを購入したことをご報告しましたが、昨年の晩秋にもTシャツ専門店グラニフが作ったやつを買いました。「ケムール人と観覧車」のバージョンです。これで3枚目。どんだけ好きなんだ!?

 

過去のケムール人Tシャツ記事はこちら↓

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-46ec.html

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/tt-f274.html

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