「ティーンスピリット」:魂がこもっとらーん #ティーンスピリット #エルファニング
映画『ティーンスピリット』は、エル・ファニング目当てで観たわけですが、ダメでした。映画としての志が低いというか、何度となく語られてきたような物語を、暗く薄っぺらく描いております。よくある物語を題材にするのはいいんです。でも、薄っぺらいのはね…。 この作品が初監督だというマックス・ミンゲラって、『イングリッシュ・ペイシェント』や『コールド・マウンテン』などのアンソニー・ミンゲラ監督の息子なんですってね。父とは傾向があまりに違うんで、ちょっと驚きました。良くも悪くも(主に「悪くも」の方ですが)、ミュージックビデオ的。絵面や瞬発力のあるカットつなぎには凝ってますが、ドラマの描き方が凡庸でねえ。
エル・ファニングは、田舎町のアルバイトの女の子の冴えない感じでスタートし、当然ステージ場面では輝きます。ただ、冴えない場面がけっこう長いので辛いっす。物語のトーン自体、かなり暗いですし。彼女のバディとなるおっさん(クロアチア出身の元オペラ歌手って設定)も、本来もっとかわいげのある俳優がやった方が生きた役なんですけど、妙にダウナーな個性で、ここが映画的に今一つ活性化しませんでした。それでも、最後はそれなりにいい味出してましたけど、本来もっとふくらむべき役なんです。
デビューをめぐる芸能界裏話的部分とか、手の早い先輩アーティストの飲ませて酔わせて…的な件りとか、どうにもこうにも使い古された話を、凡庸な演出で描いていて、つまらなかったっす。
エル本人が劇中の3曲を歌っているのだそうです。確かにうまいんですけど、楽曲がねえ。エレクトロ系とか、ヨーロッパの暗めの曲ばっかりで、(本人の好みだそうですけど)エルに合っているとは思えませんでした。最後の曲など、エルはかなり熱唱しておりましたが、大江戸的には「楽曲に魂(スピリット)がこもっとらーん!」と言いたくなるような曲ばかりなんですよねー。でもエルが歌えることはわかったから、今度はもっと明るいミュージカルに挑戦してもらいたいものです。
| 固定リンク
コメント