「ミッドサマー」:斬新な明るく美しいホラー #ミッドサマー #アリアスター #ビョルンアンドレセン
映画『ミッドサマー』が(予想外に)ヒットしているようですね。ひたすら明るくて白くて美しくて、でもコワイという新しいタイプのホラー。やけに評判が良かったこの監督(アリ・アスター)の前作『ヘレディタリー/継承』は観逃してしまったのですが、いやー、本作を観た限りでも特異な才能は十分に感じられました。
とにかくホラーというものは、画面を暗くするもの。暗くてよくわからない状況が本能的な恐怖を呼ぶと誰もが思っています。ところが、明るいんですよねー。白夜ですから。で、人々もスマイル&スマイル。白くて北欧フォークロアな衣服で、楽し気に活動しています。その陰のない明るさに、違和感が潜んでいるんですよねー。こういう怖さに目をつけるって、天才ですね。
(以降少々ネタバレあり) 序盤の説明的部分がちょっとタルくて、うーん…と思っていたら、最初の(そして最大の)ショック場面が衝撃的。かなりエグいゴア描写です。で、そこに登場するヤギみたいなおじいちゃんが、なんと『ベニスに死す』のビョルン・アンドレセンなんですってね!! そのことも、違う意味で衝撃的! 人間は年を取るんだなあ。でも今年65歳なのに、ちょっと老けすぎ!(80~90歳ぐらいに見えました)
でもそういう直接的な残虐描写の怖さよりも、「なんか変だ」「どうもおかしい」という違和感、不穏感をじわじわと積み重ね、「こういう目には遭いたくない」と思わせる、そのイヤミス的なリアルで不自由な恐怖こそが、本作の新しさです。
ハーブ茶みたいな薬物の効果で、みんなトリップしちゃうわけですけど、まさにバッドトリップ映画。美しい花々が咲き誇り(その色彩の美しさ!)、でも花が呼吸するみたいに動いてたり、草が手の甲に生えてたり、見える物がぐにゃりと歪んだり、映像表現的にもスゴイです。新しいです。そして、あくまでも明るいです。でも、後味は悪いです。トラウマ級です。
こういう作品を嗅覚でかぎつけ、ヒットさせる日本の若い女性って、けっこうスゴイですね。大したもんです。
主演の女子(フローレンス・ピュー)はやけに下半身ぽっちゃり型で、顔も最近の肉づきの良いクロエ・グレース・モレッツ風でありました。
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