「スケアクロウ」:ニューシネマの到達点 #スケアクロウ #アルパチーノ #ジーンハックマン #アメリカンニューシネマ
映画『スケアクロウ』を、NHK-BSプレミアムで見ました。昔映画館で数度観た傑作ですが、ン十年ぶりの鑑賞です。
1973年のアメリカ映画。カンヌ映画祭のパルムドール(最高賞)を獲っており、その年の『キネ旬』ベストワンでもあり、(1967年の『俺たちに明日はない』から始まった)アメリカン・ニューシネマの到達点みたいな言われ方もしています。バディもののロードムービーでもあります。写真家出身の監督のジェリー・シャッツバーグは、他にも何作か撮っておりますが、あまりパッとせず、この1作だけで映画史に残っているような人です。名手ヴィルモス・ジグモンドによる撮影も素晴らしい作品です。
そして何と言っても、ジーン・ハックマンとアル・パチーノの良さ! この凸凹コンビの芝居のコンビネーションがめっぽう楽しくて、笑えます、じんと来ます。
1970年代前半という空気がすっごく漂っています(60年代後半ではなく、’70年代後半でもなく)。ベトナム戦争への関りはない映画ですが、どこかにベトナムの影のようなものが感じられます。そして、笑わせながらもじわじわと迫る二人の男(特にパチーノ)の哀感。
古典的なアメリカ映画のように「声高に語る」のではなく、小さな声で語る感じの作品。人への優しい目線がいいですね。今もやっぱり大好きな作品でした。
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