「悪魔のシスター」:ヒッチコック風味のデ・パルマらしさ #悪魔のシスター #ブライアンデパルマ #ヒッチコック
ブライアン・デ・パルマ監督の1973年作品『悪魔のシスター』を未見だった大江戸は、数年前にDVDを買っていたのですが、今日ようやく見ました。原題は“Sisters”とシンプルなんですが、日本公開の1974年頃は『エクソシスト』に端を発する「オカルト映画」ブームだったので、こんな邦題で公開されちゃったわけです。古いポスターを(WEBで)見ると、「『エクソシスト』を超える衝撃」とか書いてあるのですが、そっち方面を期待してこれ観たら、ある意味「衝撃」だったでしょうね。ぜんぜん恐怖映画、オカルト映画じゃないですから。'50-60年代のヒッチコックを彷彿とさせるスリラーです。部分的にはコメディーでさえありますからね。
確かに『サイコ』『裏窓』『めまい』などのヒッチコック作品を連想させる場面が、あれこれあります。音楽のバーナード・ハーマン(!)が、過剰なまでに鳴らしまくっていますし。そこらだけでも楽しいのですが、その上随所に見られるデ・パルマ・タッチのギミックがたまりません。2度出て来るスプリット・スクリーン。2カ所同時進行のあの感覚は、まさにデ・パルマ。『ファントム・オブ・パラダイス』でも『殺しのドレス』でも、同じような感覚を味わせてくれましたもんね。人物と共に移動する長回しとか、かなり血が出るところなんか、もまさにデ・パルマ印です。
更に本作では幻想的なモノクロ場面があり、トッド・ブラウニングの『フリークス 怪物団』を思わせもして、なかなかです。
そしてマーゴット・キダーの神経症的な演技とか、ビル(ウィリアム)・フィンレイ(=ファントム!)のクセの強い演技とかも見ものです。 チャールズ・ダーニングも、いい仕事してます。 (以降ネタバレあり)彼が関わるラストって、「そこで笑わせてどうする?」って感じ。しかもその後すぐにエンドロールなしの「THE END」で終了パターンですから(この時代でそれやってたあたりも、ヒッチコックへのオマージュなんでしょうね)。そういうわけで、ひねた映画ファン向けの作品です。当時オカルト映画を観に行ったつもりの人は、さぞや戸惑ったことでしょうねえ。かなりモヤモヤするエンディングだと思います。
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