「(ハル)」:美しい恋愛映画 #(ハル) #森田芳光 #深津絵里
数年前に買った映画『(ハル)』(1996)のDVDを見ました。もちろん公開時には劇場で観ております。 改めて傑作ですね。マイ・ベスト・オブ・森田芳光であると同時に、マイ日本映画トップテンに入るであろう1本。日本の恋愛映画史に残る作品でもあります。ともかく「読ませる映画」っていうアイディアが画期的なのです。
24年前ということで、パソコン通信やメール初期の「時代感」をまとってはいるのですが、そして、ヘアメイクや服装デザインに時代がよく表れているのですが、でもそれを超越するだけの普遍性があるのです。今の時代にこそ通用する「永遠の新しさ」みたいなものを内包しているところが、いかにも森田芳光なのです。映像のルック的には、エドワード・ホッパーの絵(『ナイトホークス』とか)を意識していたらしいのですが、確かに現代人の孤独みたいなものが色濃く滲みだして来ます。ピアノをはじめとする音楽も、場面場面の心情の表現としてとても効いています。
内野聖陽が若過ぎて(子供っぽいぐらい)笑っちゃいますが、本作では何と言っても深津絵里がステキです。篇中でも髪型やメイクや服装によって、ゾクッとするほど美しかったり、意外とイモっぽかったりするのですけど、地方在住の一人の若い女性をとても普通に、そしていろんな表情で魅力的に表現しています。サイコーだ、ふかっちゃん。
『(ハル)』と言えばココって感じの、新幹線車内と岩手の田園からハルとほしが互いに撮影し合う場面、そして東京駅でのラストでは感動して涙してしまいました。いやー、美しい映画です。ラストで登場するフロッピーディスクって「何?」って時代になっちゃったけど、この恋愛映画としての美しさは不滅です。
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