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2020年5月 5日 (火)

「猫を棄てる」:静謐な哀しみのようなもの   #猫を棄てる #村上春樹 

15885562163231 村上春樹の新刊『猫を棄てる  父親について語るとき』(文藝春秋)を買って、すぐ読んじゃいました。発売日の夕方にはもう書店で売り切れていたので、取り寄せたのです(取り寄せも一時欠品)。思ったより小さくて薄い本で、新書サイズに近いですね。本文は9ページ~97ページで、その後に4ページのあとがきがついてるだけ。その間にけっこう挿絵も入っているので、速読の人なら、あるいは本屋のはしごをすれば、立ち読みで読めちゃうんじゃないかと思います(そういうことはしないでね)。

村上さんの父親について書いた、とても私的な覚え書きで、こういう本がたくさん売れるってのは、驚くべきことではあります(それが現在の「村上ブランド」ってことでありますが)。文章は、いつも以上に静謐な哀しみのようなものに充たされておりました。この本を読んで思い当たるのは、彼が父から受け継いだ漠然とした戦争に関する澱(おり)のようなものが、『ねじまき鳥クロニクル』を書かせたのだろうなあということ。

15885561046550 表紙カバーを取った本体はグリーンの布目調で、昔の本みたいなクラシカルなデザインです。たぶんこの本で主に語られている時代(戦前から昭和30年代ぐらい)を意識したんでしょうね。表紙や本文中の挿絵は台湾の高妍(ガオ・イェン)さんという若い女性イラストレイターで、絵の中にとても寂しい空間があるのです。今回の村上さんの文章と相まって、とてつもなく孤独な世界が立ち現れて来ます。でも、そこまで寂寞とさせなくても良かったんじゃないかなあ。

まあ、それにしても、・・・猫の話は不思議でした。そこらの「人知を超えた謎の顕現」みたいなことも、村上作品のルーツになっているのでしょうね。

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