« 「マーラー」:ケン・ラッセルらしさも多いけど…   #マーラー #映画マーラー #ケンラッセル    | トップページ | 新宿の映画館休館中(その2)   #新宿の映画館 #映画館休館中  »

2020年5月11日 (月)

「Wの悲劇」:最高峰!   #Wの悲劇 #薬師丸ひろ子 #三田佳子 #澤井信一郎

Wnh1 NHK-BSPで『Wの悲劇』(1984年)を見ました。角川映画の最高峰にして、大江戸的には「日本映画の最高峰」を『太陽を盗んだ男』『田園に死す』と争う作品でもあります。

何度となく見た名作ですが、久々の鑑賞。やはり惹き込まれます。荒井晴彦と澤井信一郎の脚本による、名セリフの数々。見事としか言いようのない澤井信一郎演出。そして薬師丸ひろ子史上最高の名演と、それを生んだ三田佳子の圧巻芝居。 今見ると、確かに時代を感じさせて、「ちょっと古い」感覚の場面もあったりはしますが、中盤以降はそんな事など気にかからず、この世界に飲み込まれてしまいます。

初めて観た時に「この作品のラストシーンが、薬師丸ひろ子の女優人生のピーク」だと感じましたが、確かにそうだったと改めて思います。カーテンコールのようにスカートの両端を持っての微妙な泣き笑い顔。素晴らしい。映画史上に残る見事なラストショットです。 その前の場面で、天井に貼り残されたポスターに飛びつこうとするあたりの体全体を使った演技は、それまで相米慎二に鍛えられた成果だと言えましょう。

Wnh2 そして、あの(演技を演技する)記者会見シーンの見事な表情とその変化。感動を禁じ得ません。唐田えりかもこれを参考にして記者会見をしていたら、世間からのバッシングがだいぶ違っていたのではと思っちゃいました。まあ、35年の間に世間が不寛容になり、芸能界が品行方正になり、メディアがコンプライアンスと保身でがんじがらめな時代になってしまいましたから…。今だと、あの記者会見でも許されずに炎上しちゃうんでしょうねえ。

ああ、そして日比谷スカラ座の(=東京宝塚劇場の)外階段! ビルの上層階にあった大劇場なので、終映後にはエレベーターとその脇の階段に加えて、ここも開けて客を出しておりました(満員の際は)。宝塚の出待ちプレイスでもありましたね。

まあ、今見ると多少の瑕疵やクサさが目についちゃったりしないこともないのですが、それでも時を超えた傑作に変わりはありません。

それにしても、原作を劇中劇に封じ込めるなどという「超禁じ手」がよくOKになったもんだと、今更ながら感心してしまいます。角川春樹と(原作者)夏木静子の間に、本作の三田と薬師丸のような「取り引き」があったのでしょうか。まさかね…。

|

« 「マーラー」:ケン・ラッセルらしさも多いけど…   #マーラー #映画マーラー #ケンラッセル    | トップページ | 新宿の映画館休館中(その2)   #新宿の映画館 #映画館休館中  »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「マーラー」:ケン・ラッセルらしさも多いけど…   #マーラー #映画マーラー #ケンラッセル    | トップページ | 新宿の映画館休館中(その2)   #新宿の映画館 #映画館休館中  »