「日曜日には鼠を殺せ」:しんねりむっつり #日曜日には鼠を殺せ #フレッドジンネマン #グレゴリーペック
今年がねずみ年だということで買っておいた映画『日曜日には鼠を殺せ』のDVDを(今頃)見ました。1964年のフレッド・ジンネマン監督作品。日本公開は同年の11月ですから、東京オリンピックが終わった直後。興奮や感動の冷めぬうちに、こんな地味で暗いトーンのモノクロ映画(当時はカラー、モノクロ混在の時代)を公開したんですから、コケたんでしょうねえ。資料がなくて、よくわからないけど。
グレゴリー・ペック、アンソニー・クイン、オマー・シャリフといったスターを起用しています(ちなみに本作以前にペックとクインは『ナバロンの要塞』で、クインとシャリフは『アラビアのロレンス』で共演しています。みんなコロンビア映画です)。でも、ペックの主人公がかなりひねくれた暴力的な男(子供や神父にも暴力をふるう)なので、あんまり肩入れしたくない気分になるし、最後に彼の取った行動がどうにも納得がいかないものなのです。それ以上に映画としてどうなのよ?と思います。とにかくすっきりしないラストなのです。作品全体に関しても、しんねりむっつり過ぎて、狙ったものが今一つ美学に昇華していかなかったような気がします。
でも、黒味の多いモノクロの映像は美しく、特に終盤の山岳シークェンスの風景の素晴らしさには、「ああ、さすがは遺作に『氷壁の女』を撮ったジンネマンだなあ」と感心しました。それ以外にも、ライフルの狙撃場面では『ジャッカルの日』を連想しましたし、駅の場面ではちょっと『ジュリア』を思ったりもしました。
本作のペックって、うっすらと無精ひげを生やしたりして、結構ワイルドで、三船敏郎によく似ておりましたね。
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