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2020年6月30日 (火)

「ランボー ラスト・ブラッド」:トランプ大喜び?   #ランボー #ランボーラストブラッド #シルベスタースタローン

003_20200630214101 映画『ランボー ラスト・ブラッド』は、シリーズ第5作にして、たぶん最終作。そしてシリーズで最も人体損壊描写がエグい作品。かなりキてます。このシリーズ、毎回監督が代わっていて、本作は新鋭のエイドリアン・グランバーグです(おお、スタローン&エイドリア~ン!と思ったら、男性でしたけど)。

今年74歳のスタローンが、堂々のアクション・ヒーローですもんねー。体のキレも良く、とてもそんな爺様には見えないのですが、いやはやスゴイ時代になったものです。

 

009_20200630215001 ほとんど孫のような姪っ子を救出し、そして悪党一味を壊滅させる「一人の軍隊」=ランボー。ちょっと、リーアム・ニーソン的世界でもあります。序盤の「災害救助」、中盤の「殴り込み」、終盤の「からくりトンネルで待ち受けて」と、3つの見せ場がありますが、怒りの超絶エネルギーと周到な仕掛けで敵を(いったいどんだけいるんだよ!?ってぐらいに)ぶっ壊しまくるトンネル内外の場面が圧倒的なクライマックス。派手だけど、凄惨でもあり、観ていて気分は良くありません。観終わっても、辟易としてしまって嫌な感じです。

001_20200630215801 そもそも「メキシコ人は極悪だから、一網打尽にしてやりましょう」って話ですからね。トランプ大喜びですよ。トンネル決戦の手前では、炎の「壁」ができますし。

ベトナム戦争へのアンチテーゼ的に生まれた第1作(1982年:原題=First Blood)から幾星霜、この「Last Blood」では、単純な正義と悪の戦いになってしまいました。そういう単純化って、まさにトランプだと思うんですけどね。まったくもう。

 

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2020年6月29日 (月)

「潮騒](1975):めでたしめでたし   #潮騒 #山口百恵 #三浦友和 #あまちゃん #三島由紀夫

Shio 先週の『伊豆の踊子』に次ぎ、NHK-BSPで百恵ー友和コンビの『潮騒』(1975年)をやっていたので、見ちゃいました。こちらも初見です。

(『伊豆の踊子』はこちら ↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-7797e8.html

正月映画だった『伊豆の踊子』の後のゴールデンウイークの公開。昔は何かとスピーディーですね。監督はこちらも西川克己。言っちゃあ悪いけど、同じような泥臭さというか、この頃のプログラム・ピクチャーの安っぽさみたいなものがよく表れています。

山口百恵は、ほんのちょっと大人になった感じでした。そして三浦友和は、またしても水もしたたる「美男子」ぶりです。実際に、嵐やら荒れる海やらで、水がしたたりまくっています。ふんどし姿で筋肉美を披露したりもしており、おお、これってまさに三島由紀夫的世界ではありませんか。

『あまちゃん』ファンの大江戸としては、あの『その火を飛び越して来い!』の原典を確認したかったこともあったのですが、いざその場面を見たら、意外とあっさりでしたね。もっとドラマチックにクライマックスでなのかと思っていたら、半分よりも少し前の場面でした。 でも、この場面での百恵さんの背中ヌードとかは、ちょっとオドロキですよね。まだ16歳だってーのに。後半にも海女たちの場面で、カメラの視界からは隠れているのですが、胸を露出させられるという場面があって、びっくり。『伊豆の踊子』にも(肌色の水着を着ていたようですが)びっくりシーンがあったし、この頃のアイドルはなかなか大変でありましたねえ(大らかな時代だったとも言えます)。

物語自体は通俗的に面白く、ラストなんか(『伊豆の踊子』のラストを反省したのか)爽やかで明るくて実にハッピー。めでたしめでたし。さすがはアイドル映画という仕上がりです。三島文学の換骨奪胎という感もございます。バックに『潮騒のメモリー』を流しても似合うぐらいです。 ナレーションの石坂浩二も軽やかで、彼の『ウルトラQ』のナレーションとはだいぶ異なる路線なのでありました。

 

 

 

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2020年6月28日 (日)

「許された子どもたち」:不快な傑作   #許された子どもたち #内藤瑛亮 #いじめと少年犯罪の映画

 007_20200628200901 映画『許された子どもたち』は、いじめや少年犯罪をはじめとした、少年たちをめぐる様々な問題を描いた内藤瑛亮監督の入魂作。かなり不快な傑作です。

ただ「不快」というのはこの監督に常について回るワードで、デビュー作『先生を流産させる会』から『パズル』『ミスミソウ』など、どれもが暴力的で悪意に満ちた世界を描く問題作なのです。そこに描かれているのは、常に「恐るべき子供たち」なのです。

002_20200628211601 それをセンセーショナルなだけの露悪的なハッタリと取る向きもあるかも知れません。実際、過去作のバランスはどちらかというと「キワモノ」の方に寄っていました。しかし今作は堂々と、王道の社会派ドラマになっていますし、何より映画として隙がなく、秀逸です。

いじめ、少年犯罪に加えて、親子関係、ネットやSNSでの匿名の暴力、何でも「在日」を持ち出して来るネトウヨ、毒親、社会的リンチ、少年法の是非、被害者と加害者、自分なりの正義の向かう先・・・などの問題を、ぐいぐいと突き付けてきます。我々も観ている間、無傷ではいられないほどです。

003_20200628212501 しかも映画として、パワフルです。ワークショップを通してキャスティングされた(ほぼ)無名の役者たちの存在感と迫力。ネットやSNSの言葉として画面に出る書き込みの鋭いリアルさ。決して希望やハッピーエンドでは終わらない問い掛けの真摯さ(決して気持ちのいい所には着地しない)。内藤監督、確実にこれまでの殻を脱皮して進化しています。世界の映画祭に出したいレベルです。

後半、主人公の少年がある少女に「手を握ってくれる?」と言って、少女が手を取った瞬間、二人の後ろを轟音と共に新幹線が走っていくカットに驚嘆! あれが映画ってもんですよねえ(理屈じゃなくて)。

 

 

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2020年6月27日 (土)

J2・J3再開!    #J2再開 #Jリーグ再開 #リモートマッチ 

本日からJ2,J3リーグが再開しました! 2月末からですから、約4か月の中断をはさんでのリモートマッチ(無観客試合)でのリスタートです。何はともあれ、ようやくここまで来ました。事前のPCR検査では選手・関係者全員陰性だったとのことで、ひとまず安心して再開を迎えることができました(もちろんその前には陽性になった人が何人かいたわけですが)。

15932641787120 試合前には選手とレフェリーが円陣を組んで、医療従事者たちに感謝の拍手を贈っておりました。

大江戸は味の素スタジアムの東京ヴェルディvs.町田ゼルビアと、フクダ電子アリーナのJEF千葉vs.大宮アルディージャをダゾーンでザッピングして見ました(実際は試合開始時間に1時間の差があったので、前者の試合は後半のみをザッピング。後者の試合は、後半はまるまる見ておりましたが)。

無観客ですが、中継カメラはあまり客席を写さないので、また画角も奥の客席をあまり写し込まないようにしていたのではないでしょうか? 試合を集中して見ている分には、観客の不在はそんなに気になりませんでした。なんかスタジアム内のスピーカーで観客の声援を流してたりもしたので、それほどシーンとしていた印象もありません。でも、選手同士の声掛けはよく聞こえました。

東京V-町田の試合には近年のベルマーレ在籍選手である端戸、奈良輪、秋元が出てましたし、大宮からは石川俊樹が出ており、どうしても身内のように注目してしまいます。 監督たちは最初のうちはマスクをつけていても、永井(ヴェルディ)、ポポヴィッチ(ゼルビア)はマスクを下にずり下げてしまい(そうしないと声が通らないからでしょうね)、尹(千葉)監督は最初っからマスクしてません。高木(大宮)だけは最後までネックゲイターをつけておりましたが、その高木だけがこの2試合唯一の勝利監督だったってのも、なかなか興味深いですね(偶然でしょうが)。

というわけで、やっぱり結果の分かっていない試合を見るのは面白いなーというところです。来週のJ1再開が愉しみでなりません。 ところで、今日の愛媛vs.徳島線は、前半3-0でリードしていた徳島が83分で3-3と追いつかれた後、90+6分に決められて3-4で逆転負けしたというとんでもない試合だったようです。やっぱり「筋書きのないドラマ」ですねー。

 

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2020年6月26日 (金)

うさぎパン   #うさぎパン #ベーカリーレプス #ミッフィー

15928858631241  いただき物です。こんなにかわいいうさぎパン。「兎座」というシールがついてますが、店名は「ベーカリー レプス」。新高円寺あたりのお店のようです。

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切ってみると、おお、白うさぎです。

見事にあいつの形ですよね。こりゃどうしたって、描いてみたくなるじゃありませんか。

 

15928858763663 で、描いちゃいました。いちごジャム使用です。それほど綿密にやらずに、参考資料も見ずにちゃちゃっとジャムを置いたので、まあこんな感じ。似てないから、著作権的にもオッケーでありましょう。

ふわふわと柔らかで、ほのかに甘くて、生でも軽くトーストしても、大変おいしゅうございました。

ちなみに耳から食べました(たいていの人がそうしますよね?)。 それでは最後に・・・

これがほんとの、パンの耳!

 

 

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2020年6月25日 (木)

都知事選候補の変な方々   #都知事選 #都知事選ポスター #泡沫候補 #スーパークレイジー君 

15928859092855 このたびの東京都知事選挙には、けっこう強者(つわもの)どもが候補者として出ております。ポスター掲示板も、久々に楽しい感じになっております。 てな事を言うのは不謹慎なのかも知れませんが、大江戸は昔から泡沫候補への愛みたいなものがけっこう強うございまして…。調べたら、候補者のポスターを写真に撮ってブログなどに載せるのは違法ではないようなので、気になったのを並べます。

まずは、かっとびチャンピオンのこのお方。スーパークレイジー君(西本誠)。わはは。愛称メインって、過去にあったかなあ? 暴走族の特攻服だし、極悪非道連合って書いてあるし、歌舞伎町一番街バックだし、なぜか「東京をどげんかせんといかん。」だし、かつお風味の本だし。いや、スゴイっす。インパクト極大っす。夜露死苦。

15928859016944 続いては、「コロナはただの風邪」さんでございます。デザイン的には極めて普通の選挙ポスターなのですが、言いたいことが名前よりぜんぜん大きいところが、大したものです。いや、まあ「マスク、ソーシャルディスタンス、3密を避ける、自粛」→必要なし! って、おっしゃることはわかりますが(2%ぐらいは賛同したい気持ちがないではありませんが)、世界の惨状を見るとそうも言えませんよねえ。

15930888362540 そしてこちらは、裃(かみしも)着用のお方。おお、良く見れば「スマイル党公認」ではありませんか。そういえば、マック先生は今回出てませんからねー(昨年、港区議に当選してしまったため)。マックさんの後継者なら、政見放送に期待できるってもんです。

15928859237746 ある意味頭脳プレイだったのが、こちら。あの「NHKから国民を守る党」の立花氏とそのお仲間が、受付順12,13,14番を取っての連係プレイ。立花氏を引き立たせるためだけの立候補であり、両脇の2氏のポスターは全く同じ。しかも、候補者の名前は一切入っていないという…(法律上はそれでもOKだそうです)。

15930888822121 念のため申し上げますが、堀江さんは今回の都知事選には立候補しておりません。もう、わけがわかりません。「勝手に応援する」ソフトバンクみたいなものでしょうか? 小さな字の公約も一つ一つ見ていくと、「現金使用禁止令」とか「オリンピックはリモート競技に」とか「大麻解禁」とか「妖精さんのリストラ計画」とか、なかなかなのです。

 

15930893124101 ポスターは見かけたことないのですが、選挙公報でインパクト大だった人もいました。なんすか、このコスプレ的なお写真? しかも「愛国左翼」なのだそうです。ユニークですねー。あまりお近づきにはなりたくないかも。

 

都知事選の供託金は300万円なのだとか。ここで紹介した皆さんは、規定により没収となる可能性が強いのでしょうから(前回の都知事選では12人が没収された)、このような活動もなかなか損得ではできませんねえ。おつかれさまでございます。

 

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2020年6月24日 (水)

2000年代外国映画ベストテン   #2000年代外国映画ベストテン #2000年代洋画ベストテン





今出ている『キネマ旬報』で「2000年代外国映画ベストテン」を特集しております。 これまで1970年代、80年代、90年代と続いてきた『キネ旬』100周年記念企画の最新版。ここで言う「2000年代」とは「2000~2009年」の十年間に「制作国で初公開された作品」という規定。だから、日本公開や当時のベストテンとはズレがある場合もあります。

1位:殺人の追憶、2位:花様年華、3位:グラン・トリノ、ダークナイト(同点)・・・と、その前の1990年代同様かなり弱い年代だと思います。
小生が自分のテンを選んでても、やはり弱いなあと感じちゃいました。ベストテン(同点があるので13本)のうち6本がアジア映画です。中でも韓国映画の躍進と充実がめざましい時代でした。逆にヨーロッパ映画は1本も入っていない退潮ぶりでした。 で・・・
 

大江戸時夫の2000年代洋画ベストテン( )内は監督
1.ベンジャミン・バトン 数奇な人生(デイヴィッド・フィンチャー)
2.シルビアのいる街で(ホセ・ルイス・ゲリン)
3.アメリ(ジャン=ピエール・ジュネ)
4.ダンサー・イン・ザ・ダーク(ラース・フォン・トリアー)
5.ヤンヤン 夏の想い出(エドワード・ヤン)
6.オールド・ボーイ(パク・チャヌク)
7.宇宙戦争(スティーヴン・スピルバーグ)
8.ドッグヴィル(ラース・フォン・トリアー)
9.悪い男(キム・ギドク)
10.ミリオン・ダラー・ベイビー(クリント・イーストウッド)

作品に関してはこんなところですが、順位は今の気分です。これでいいのか、自信も確信もありません。でも、こうしてみるとむしろアメリカ映画退潮期だったのかしらん? フィンチャー、スピルバーグ、イーストウッド以外は、ヨーロッパとアジアの監督ではありませんか?! ラース・フォン・トリアーが2本入るとは、我ながらびっくりです。はみ出した作品を列挙すると・・・

グエムル 漢江の怪物(ポン・ジュノ)
ムーラン・ルージュ(バズ・ラーマン)
レクイエム・フォー・ドリーム(ダーレン・アロノフスキー)
僕たちのアナ・バナナ(エドワード・ノートン)
アイ・アム・サム(ジェシー・ネルソン)
マイケル・ジャクソン THIS IS IT(ケニー・オルテガ)
ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト(マーティン・スコセッシ)
ファニーゲームU.S.A.(ミヒャエル・ハネケ)
ファインディング・ニモ(アンドリュー・スタントン)

毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト(スティーヴン・シャインバーグ)

ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢(ジェームズ・D・スターン、アダム・デル・デオ)

マッチポイント(ウディ・アレン)

(500)日のサマー(マーク・ウェブ)

 

*’00年代の日本映画篇はこちら↓

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-083eff.html

 

 

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2020年6月23日 (火)

「SHIROBAKO」:創作にまつわるお仕事映画   #SHIROBAKO #劇場版SHIROBAKO #バルト9 

002_20200623212401 映画『SHIROBAKO』は、TVアニメーションの劇場版。TVの方は全く見ておりませんで、今回が初見でしたが、あまり問題なく楽しめました。だって、社会人にとっては「わかるわかる」って感じの、アニメ業界もの=創作にまつわるあれやこれやの苦労話ですから。普遍的な「お仕事映画」となっておりました。

となれば、お仕事映画好き&クリエイティブ好きな大江戸としてみれば、ハマリます。主人公のプロデューサー「あおい」をはじめとする面々が、幾多の苦難を乗り越えて、時には挫折し、時には人から助けられ、最後には劇場用アニメが完成する物語。ものづくり冥利。うーん、いいですね。テッパンです。

015 いろんな人物が出て来るので、そこらはTVアニメ版を見ていた方がより深く楽しめるのでしょうが、でもこの人は脚本家、この人は監督、この人はキャラクターデザイン、この人は色彩設計…と、役柄が分かるようになっております。基本的にほとんどみんないい人ばかりで、悪い奴はぎゃふんと言わせられるし、ドロドロしたり暗くなり続けたりしないのが何より。でも大人世界のしょっぱさや苦労はしっかり描かれていて、物語を絵空事にしないリアルさが良いのです。

022 突然のミュージカル場面や、女二人(着物姿)での任侠映画的殴り込み場面なども、作品を壊すことなく機能していますし、リアルとファンタジーの塩梅がちょうど良いのです。笑いとリリカルの塩梅もちょうど良いですしね。臭くならずに、じわりと感動させてくれました。

新宿のバルト9で観たのですが、映画で最後に出て来る劇場がバルト9で、1階の発券機のあたりが描かれたりしていて、おお!となりました舞台挨拶のシアターもそうですよね。なんかトクした気分です。

 

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2020年6月22日 (月)

「伊豆の踊子」(1974):ラストの嫌な感じ   #伊豆の踊子 #山口百恵 #三浦友和 #西川克己

Izu NHK-BSPで山口百恵/三浦友和主演の『伊豆の踊子』をやっていたので、1時間22分と短いこともあり、見てしまいました。その後12本を数えることになる百恵ー友和映画の第1弾。山口百恵は当時15歳でした。

うーん、初めて見ましたがまさに昭和ですね。アイドルが文芸映画やるのって、今はありませんもんね。今のアイドルは、ほぼマンガ(たまにラノベ)原作のキラキラ映画ですからねー。でも意外なほど面白かったです。大人の鑑賞に耐えるように作ってある、っていうか今の中高生がこんなの見たら飽きちゃいますけどね(それ以前に驚いちゃって口ポカーンでしょうけど)。そりゃいくら大衆娯楽映画として作っているとはいえ、原作は川端康成先生ですもんね。ある程度の深みはあるのです。

百恵さんはまだ子供っぽいし、(役柄もあって)垢抜けません。そして演技はまだまだ。 一方の友和さんは、スッキリクッキリした「美男子」。イケメンなんてもんじゃなくて、「美男子」です。すがすがしくて爽やかなことこの上ありません。

それにしても書生さんってのは、世の中でかように尊敬されていたのですね。それとは逆に踊子たち旅芸人の人々への差別といったら! 役者たちが「河原乞食」として貶められていたという歴史と遠くない時代だったのですね。

(以降ネタバレあり) ラストカットには驚きました。この時代だからタイトルロールなんてなくて、ストップモーションの絵に「終」だけなんですけど。その絵が、宴席で酔っぱらった刺青男が踊子(百恵)の首に刺青の腕をからめるというもの。まさにイノセントな少女に邪悪なものが襲いかかりつつあることを暗示するような映像なのです。その前に、紅涙を絞るような美しい別れの場面があっただけに、このラストの「嫌な感じ」には唖然。正月映画だったというのに、みんな冷水を浴びせかけられたような気持ちで劇場を後にしたのではないでしょうか。やりますね、西川克己監督。

 

 

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2020年6月21日 (日)

「エジソンズ・ゲーム」:善悪逆転の意外性   #エジソンズゲーム #カンバーバッチ #エジソン

003_20200621221701 映画『エジソンズ・ゲーム』は、あの発明王エジソンと実業家ウェスティングハウスの確執をめぐる物語。直流と交流の「電流戦争」(=原題の“The Current War”)でもあります。

いやいや、観てびっくりしましたよ。先入観でも、予告編でも、ベネディクト・カンバーバッチ=エジソン、マイケル・シャノン=ウェスティングハウスという配役からいっても、絶対にエジソン=いい人、ウェスティングハウス=悪い人なのだと思っていたら、実は逆なのでした!

004_20200621222201 あの品行方正そうなカンバーバッチが腹黒い謀略家のエジソンを演じ、『シェイプ・オブ・ウォーター』の極悪人役も記憶に新しい悪人顔のマイケル・シャノンが真っ当で思慮深い善人のウェスティングハウスを演じるとは、びっくりです。ただ、その意外性が映画を成功させたかというと、うーん、そうでもないんじゃないかなあ。けっこう切れ味が悪いというか、エジソンを徹底して悪人に描いたわけでもウェスティングハウスを完全に良い人として描いたわけでもないため、中途半端にグダグダな印象。そりゃあ人間っていろんな顔があるわけですけど、そこらはうまくキャラクター付けしていかないと、映画としての面白さから離れて行っちゃうんですよねー。

008_20200621233201 それにしても、電気椅子の開発にまつわるあれこれとか、知らない事が色々と描かれていて、勉強になりました。でもいい映画だったんだかそうでもなかったんだか、面白かったんだかそうでもなかったんだかが判然としないという、不思議な作風となっておりました。

映像的にはかなり凝っておりましたが、そのためにかえって重厚感がなくなってしまったかのような気もいたしましたねえ。なんかこの監督(アルフォンソ・ゴメス=レフォン)、もっと合う題材がありそうな気がしてなりません。

 

 

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2020年6月20日 (土)

「はちどり」:慈愛に満ちたメンター   #はちどり #キムボラ #キムセビョク

001_20200620223401 映画『はちどり』は、38歳の女性監督キム・ボラのデビュー作。韓国でも、世界各国の映画賞でも、とても高く評価されているようです。確かにピュアな良作だし、映画史の中に残っていきそうな作品です。本国では同年公開の『パラサイト 半地下の家族』と比肩されたのだとか。

1994年を舞台に、14歳の主人公ウニが家庭と学校や塾で周りの人とコミュニケートする、その小さな世界の物語。でも、それがウニにとっての世界のすべてであり、そこから逃げる術はないのです。そのいらだちと絶望と諦念。それでも人生はまだまだ続くのです。

002_20200620231401 家族ともうまくいかない、むしろひどい家族に見えてならない。友だちやボーイフレンドともうまくいったり、いかなかったり。うまく行かない日々は、本当につらいわけです。逃げ場がないわけですから。

それを救ってくれる素晴らしい大人=ヨンジ先生との交流を描く一連の場面が、この映画のいちばんの美点。ウーロン茶を入れてくれる先生、歌を歌ってくれる先生、夜の町を散歩してくれる先生、そして…。

004_20200620232801 ヨンジ先生を演じたキム・セビョクが素晴らしいのです。涼し気な佇まいと、その裏に湛えらえた哀しみのようなもの。慈愛に満ちた表情と美しい笑顔。にじみ出る知性と、人間性の奥行き。少女のこれからの人生に決定的な影響を与え導いた「メンター」を、見事に演じました。1986年生まれの女優さんですが、大江戸の助演女優賞候補ですね。

時代との関りなどは、韓国の人だったらもっとピンとくるんでしょうね。でも、普遍的な作品たり得ていますし、日本から出て来てもおかしくない映画です。実際、このレベルの映画は、日本からも時々生まれていますから。

 

 

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2020年6月19日 (金)

のんのオンライン有料ライブ・第2回  #のん #NONOUCHIDEMIRULIVE #のんオンラインライブ #のんともM 

15925783339450 のんさんとひぐちけいさんによる「NON OUCHI DE MIRU LIVE vol.02」の有料ライブ配信が、今日20時~約1時間18分行われました。オンライン・プラットフォームのzaikoで行われたもので、税込1,000円でした。しかも終了後も、22日の20時までは何度でもアーカイブ視聴ができるとのこと。

大江戸はもちろん2回連続の参加(?)です。(全回のはこちら ↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-d7ed94.html

 

前回のテーマはポテチでしたが、今回はカップラーメン。視聴者の投票で決められた衣装は、チャイナ服。のんはエレキ、けいさんはアコギを手に全6曲を熱唱しました。 曲は、『へーんなのっ』『My Day』『I Like you』『私は部屋充』『スケッチブック』。そして予想外のアンコールナンバーとして、新曲の『僕は君の太陽』。今日の中では、尾崎亜美が提供したスローナンバー『スケッチブック』がいちばん沁みました。

最後には大友良英さんとSachiko Mさんがリモートで登場し、これから(のんを加えた3人のユニット)「のんとも。M」が本格活動をすると宣言しておりました。 そして、次回のオンラインライブはこの二人が加わって、7月24日に開催されるそうです。楽しみです。でも、OSOTO DE MIRU 生ライブが早くできるようになりませんかねえ。

 

 

 

 

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2020年6月18日 (木)

「センスは知識からはじまる」水野学   #センスは知識からはじまる #水野学 #センス 

15924833931690 クリエイティブディレクターの水野学さんの本『センスは知識からはじまる』(2017年/朝日新聞出版)を読みました。タイトルが示す通り、「センス」というのは生まれついての特別な才能ではなくって、さまざまな知識の蓄積から生み出されるものであり、心掛けやトレーニングで獲得できるものだということを、丹念に説明してくれる本です。「あいうえお」の5文字しか知らない人より、50音全部を知っている人の方が、素敵な文章を書けるでしょって感じのお話が続くのです。

各セクションのタイトルも、「美術の授業が『センス』のハードルを高くしている」「センスのよし悪しが個人と企業の存続に関わる時代」「時代は『次の利休』を求めている」「技術がピークを迎えるとセンスの時代がやってくる」「日本企業に必要なのはクリエイティブディレクター」「客観情報の集積がその人のセンスを決定する」「『幼児性』で新鮮な感性を取り戻す」などなど、大江戸的には相当気になっちゃうような言葉が並んでいるのです。

これまで大江戸が思っていたのと同じだ!というような考えも多々ありまして、こういう形で論述してくれると「なるほど」感でいっぱいです。ところどころには「?」な例えがあったり、完全に首肯できかねる話もあります。大江戸もこの本で水野さんが言っていることには賛同しますが、でも一方では学習や知識を越えた領域の「センス」ってのもあるよなあと思うのです。ある地点までは知識で獲得できても、トップの部分ってのは、それ+αがあるように思うんですよねー。

でも全体的には拍手を贈りたい一冊です。水野さんも知識と集積の先の「精度」を上げていくことが大切だとおっしゃっています。その精度こそが、一流の領域なのだと思います。

 

 

 

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2020年6月17日 (水)

チーズケーキ ハイ&ロー   #焦がしチーズケーキ #焼チーズケーキロール #レゾルカ #贅沢チーズケーキ

15924008060170 チーズケーキ(もどきも含む)の低価格品と高級品をご紹介。

まずはロー。チロルの「チロルチョコ 焦がしチーズケーキ」。ローと言っても、一個45円(税込)とチロルケーキの中では高額です。

15924008279601 かじると中心部にはカラメルソース。チーズの香りがあるとはいえ、これむしろプリンっぽいのでは? 一方では食感がザクザクしてるので、チーズケーキっぽくないし。だから、逆に「これで一粒45円?」と、むしろ高く感じちゃったりして。なかなか難しいですね。

 

 

15924009023173 続きましては、ローソンの「焼チーズケーキロール」(税込150円)。1本ものを4つ切りにしてあります。なんか見てくれが伊達巻っぽいですね。コゲ方と「の」の字ロールが効いてます。

15924008736352 でお味は、見てくれの割にさっぱりしてます。クリームが軽いんですよね。大江戸は「こってり・しっかり」したものが好きな人間なので、ちょっと物足りない感じでした。クリームの量も、ちと物足りないですね。ま、150円だからコスパはいいけど。

 

15923991829992  そして局面が一気に変わりまして、こちらはハイのチーズケーキ。銀座6丁目のレゾルカというお店の商品です。

15924026975390 お店と言いましたけど、行ってみて驚きました。お店っぽくないんです。雑居ビルの奥にあるエレベーターを10階で降りると、マンションの一室みたいな感じ。ガラスのショーケースなんかは無くて、カウンターと小さな棚が一つあるだけ。チーズケーキは、中にある冷蔵庫から出して販売してくれました。接客してくれたのも、おそらくパティシエールの方だと思います。知る人ぞ知るって感じです。大江戸は半年ぐらい前にフリー・マガジンで見て、なんとなく覚えていたのを「銀座6 チーズケーキ」でググって買いに行ったのですけどね。

15923992049113 というわけで、その名も「贅沢チーズケーキ」(税込2,530円)。1本もので、上部のゴツゴツしたのは、クルミ入りクランブル。そこにマルタの海塩がまぶしてあるそうです。そして何と言っても、ゴルゴンゾーラのチーズケーキなんです。中に青カビ部分がちゃんと見えます。

15923990897151 最初は、そのまま少しいただきます。うん、ゴルゴンゾーラだ、これは。ただ、チーズケーキなんで、そんなに凄くキツいわけではありません。大人の味です。しっかりしたワインに合います(試しました)。濃厚だけど、しつこくはありません。

で、次に付属品の樫の木ハチミツをかけて食べると、これがまた見事なマリアージュ。ぐっとおいしくなりました。コーヒーに見事に合います。そしてハチミツかけたのをワインに合わせても、これまたエクセレント。さすがの風格さえ感じさせる名品なのでございました。

 

 

 

 

 

 

 

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2020年6月16日 (火)

「音楽」:原初のロック魂   #音楽 #アニメーション映画音楽 #ロックの魂

T0024414q アニメーション映画『音楽』は、71分の短さなれど、製作に7年以上を費やしたという気の長い企画。なにしろ40,000枚超の作画をすべて手描きで行ったそうですから、いくらこういう簡単そうな線画であっても、歳月がかかるのも当然。しかも実写の動きをトレースする「ロトスコープ」の手法を使っているので、ますます時間がかかったのでしょうね。

ただ、そんな知識なしでいきなり観たら、これアマチュアの自主製作でしょ?って感じに、個性的だけどヌケ感たっぷり。とにかくのんびりゆったりした展開。いくらなんでも「間」を取り過ぎだろ!ってほどに、間だらけの作品なのでした。まあ、オフビートなおかしさでつないでいき、最後の「フェス」シークェンスで爆発させるってわけです。その演奏描写の熱さとノリとロック感! これは大したものでしたね。原初のロックのパワーというか、まさに「音楽」の魂がありました。ロックのミュージシャンたちが絶賛してるのも、むべなるかなです。

どうでもいいけど、この作品ってハッシュタグ作るの難しいですよね。#音楽だと広すぎてなんだかわからないし、#映画音楽だと「スクリーン・ミュージック」になっちゃうし、#アニメ音楽だとアニソンみたいだし・・・。困ったもんです。

 

 

 

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2020年6月15日 (月)

「デッド・ドント・ダイ」:どうしちゃったの?   #デッドドントダイ #ジムジャームッシュ #ゾンビ映画 #ティルダスウィントン

002_20200615230901 映画『デッド・ドント・ダイ』は、ジム・ジャームッシュ監督によるゾンビ映画。意外といえば意外ですが、2013年に吸血鬼映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』を撮ったりもしているので、それほど驚くにはあたりません。ただ『オンリー・ラヴァーズ~』は、ひどくつまらない愚作だったので、心配はありましたが…。

で、本作はあそこまでひどくはないものの、そしてもっとコミカルな作りにしてあるものの(基本的にはコメディ)、やはり冴えない代物なのでした。

001_20200615231601 そもそもがコメディの割には大して笑えない。ゾンビ映画の割には、怖くもなんともない。かといって、アート・フィルムなどではさらさらない。つまり、見る側がひどく戸惑ってしまうような作品なのです。ま、ゾンビのゆっくりした動きのテンポとジャームッシュらしいオフビートなおかしさのテンポがシンクロしていると言えば、そうなんですよね。

003_20200615232501 でも終盤の崩れ方は、さすがにダメダメ。あんなメタ映画的な内輪ネタをやっちゃあダメでしょー。円盤にもあきれました。主題歌CDのあからさまなプッシュも、微妙ですし。どうしちゃったんだろ、ジャームッシュ。

ティルダ・スウィントンがとんでもないことになってます。それだけが、本作の見ものかなと思います。この人、近年どんどん人間離れして来ちゃってますよねえ。もう、マトモな演技派に戻れないのでは?と心配になっちゃいました。

これも新宿バルト9で観たのですが、やっぱり寒かったー! 冷蔵庫のように震えあがりました(怖かったんじゃなくて)。お客さんも10人ぐらいだったんですが、人間が少ない分温度が上がらないのでしょうから、今の席の状態なら温度設定を上げてくれないとダメですよ。よろしくお願いします。

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2020年6月14日 (日)

「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」:映画的表現のお手本   #ストーリーオブマイライフ #わたしの若草物語 #バルト9

15921410042910 6月12日に公開された『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』は、新型コロナ休館明け初のメジャー洋画封切りと言っていいと思います。でも客席が半分以下になっている以上に、お客さん自体も入っておりませんでした。まだ皆さん、映画館が怖いのでしょうか? 今日大江戸が観た新宿バルト9では、「映画館初! 抗ウイルス・抗菌劇場まるごとコーティング」ってことで、病院施設で利用されている触媒を使った対策を講じておりました。でも(それとは関係ないのでしょうが)場内やたらと寒かったです。冷房効かせすぎ! ポロシャツの上にパーカ着て、ウインドブレイカー着ても寒くて寒くて、冷蔵庫の中で映画観ているようでした。途中からパーカのフードを被って、両腕を抱えながら縮こまって観ておりました。風邪ひいちゃいそうです!あ、抗ウイルスだから風邪ウイルスもいないのかなあ。

006_20200614234301 それはともかく、作品は素晴らしいものでした。手垢のついた『若草物語』を使って、現代に通じる物語を紡ぎ出しています。女性の生き方に関する問いかけを、ポジティブに行っています。

005_20200614235201 しかも手際が鮮やかです。映画の演出というのはこうじゃなくては!という感じに、映像と編集で感情や多くの事を語り尽くします。例えば、オープニングすぐの次女=シアーシャ・ローナンの疾走シーンにあふれる躍動感と喜びの爆発。例えば、三女の死の場面での「直接見せない」ことにより、かえって深く感情を揺すぶる演出、終盤の製本工程をしっかり見せることで出版の感激を表現する手法・・・などなど、映画ならではの語り方、映画ならではの表現方法を熟知しています。これがまだ監督作2本目のグレタ・ガーウィグの手になるものということに、驚いてしまいます。

そしてテンポの速いこと! 例えば、池の氷上でのスケート場面とか普通だと5分は使う場面を1分で処理するなどして、どんどんエピソードを重ねていきます。これはヘタするとダイジェスト版的な印象を与えてしまうのですが、本作の場合は良いテンポを生み出して成功しています。

002_20200615000801 大江戸は昔ならメリル・ストリープ、今ではシアーシャ・ローナンがけっこうキライなタイプなのですが、ここでは二人が共演。なんか同じ匂いがありますよね。そして、「オスカー常連女優の継承」みたいな感じもありました。

大江戸の好みとしてはやはり長女役のエマ・ワトソン。相変わらず可憐でありました。そして四女役のフローレンス・ピュー(『ミッドサマー』の!)も良いのですが、観ている間ずっと「ん? クロエ・グレース=モレッツ出てたの?? 髪の毛上げちゃうと、随分イモっぽくなるなあ。でもこれが演技力かしらん?でもなんか変だぞ。」と悩んでおりました(鑑賞前にほとんど情報を入れないもんで)。いやはや、もう間違えません。 で、女優陣でひときわ良かったのは、母親を演じたローラ・ダーンなのでした。抑制を効かせて、いい味わいを出しておりました。

 

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2020年6月13日 (土)

「三大怪獣グルメ」:海鮮丼になってないし(笑)   #三大怪獣グルメ #河崎実 #おバカ映画 #怪獣映画

002_20200614000001 映画『三大怪獣グルメ』を渋谷のユーロスペースで観ました。延期となりながら、ようやく6月6日に公開となった新作。監督の河崎実さんは、大江戸の大好きな『いかレスラー』『コアラ課長』(2作ともDVD持ってます)をはじめ、『かにゴールキーパー』『ヅラ刑事』『猫ラーメン大将』『地球防衛未亡人』などで知られるおバカ映画の巨匠。ね、タイトル見ただけでもくだらなすぎて、楽しくなって、期待がふくらむでしょ。

チラシの左右に入っているコピーは、「この怪獣、食べたらバカウマ!!」「イカ・タコ・カニ怪獣で国立競技場を海鮮丼にせよ!!」です。ね、バカでしょー。くだらないでしょー。で、確かにそのまま&それだけの映画です。

009_20200614000301 いちおう84分あるんですけど、その半分ぐらいの尺で十分描ける物語です。だから中盤がダレるダレる。ま、そういう弱点を含めて、至らなさやチープさは河崎映画の特色。怪獣たちの着ぐるみや特撮のチープさも、役者たちの演技の学芸会的なテイストも、みんな河崎ワールドの一部なのです。脱力しながら、「くだらねー」とあきれていればいいのです。

011_20200614002201 (以降ネタバレあり) 終盤に出て来るジャイアント・コックには唖然としました。あの、合羽橋道具街のシンボルであるニイミのビル屋上の巨大コックさんをあのように使うとは(しかも、かなりジャイアント・ロボだし)! スゴイ発想です! あっぱれ!! そして国立競技場をドンブリに巨大海鮮丼を…って、誰が食うんだそんなもん?? しかも、海鮮丼と言いながら、ごはんのことには一切触れてないし。これじゃあ、刺身三種盛りじゃん。そもそも国立競技場と言いながら、出て来るのは区立競技場程度のものじゃん…などなどと無限にあるツッコミ所をあれこれいじって楽しむのが、本作の正しい鑑賞法でしょう。続編の可能性を残したラスト・・・大江戸としては、一応期待して待っております(今度は伊勢エビとウニとフグかあ…)。

 

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2020年6月11日 (木)

「映画『東京オリンピック』1964」:市川崑作品のメイキング本   #映画東京オリンピック1964 #市川崑 #森遊机 #吉田伊知郎

15917804544280 『映画「東京オリンピック」1964』(復刊ドットコム)という本を買いました。B5版ソフトカバーで図版もふんだんに使ってはいるムック的側面もあるものの、基本的には文章を読ませる本。まあ体裁の割にはお値段が高めですけど(4,500円+税)、そう部数が出ないでしょうからねえ…。

この本、『キネマ旬報』(6月上旬号)でも紹介されていたのですが、先の東京オリンピックの記録映画である市川崑総監督の『東京オリンピック』のメイキング本。でも表紙や扉にはぜんぜん著者が載っていないという奥ゆかしさ。奥付を見るとようやく小さな文字で、「プロデュース・編集 森遊机  執筆 吉田伊知郎 森遊机」と記されておりました。ここらへんは森氏が発行元の復刊ドットコムにお勤め(と『キネ旬』に書いてあった)という事情も関係していたりするのでしょうか? 何にしても、あの執念の大著『市川崑の映画たち』の著者である森氏(正確には市川崑との共著)が、2020東京オリンピックに合わせて、またも執念の企画をぶつけてきたなという印象。本来なら今頃、もっと話題になっていたかもしれない本なんですけどねえ…。

いずれにしても、映画『東京オリンピック』のファンの一人としては、非常に興味深く面白く読みました。昨年の大河ドラマ『いだてん』でも描かれていたように、黒澤明の降板により急に監督のお鉢が回って来た市川崑が、四方八方からの苦難困難を乗り越えてこの大プロジェクトを成し遂げた、その道のりの詳細な記録です。想像以上に難産だったんですねえ。

準備からスタッフィング、脚本づくり(ドキュメンタリーでも脚本が命なのです)、撮影機材の準備、工事中の東京の撮影、聖火リレーの撮影などを経て、本番の日々。そしてポスト・プロダクションを経て、賛否両論の中の公開、様々な評価、そしてその後。本作の市川崑は監督ではなく「総監督」という立場でしたが、それは映画作り全般にわたるプロデューサーとして大車輪の働きだったことを示してもいます。これを読むと、終わってから2年間も映画を作らなかったことも、作り出してからも以前の勢いがなくなって長い低迷期に入ったことも、納得できます。魂擦り減らしちゃったんですねえ。

いずれにしても、もう一回この作品を観直してみたくなりました。そして、コロナを乗り越えて、2021年の河瀬直美版も作られますように!

(で、見直した映画についてはこちら↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-207ae3.html

 

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2020年6月10日 (水)

「21世紀の資本」:103分で効率良くお勉強   #21世紀の資本 #トマピケティ #ピケティ

001_20200610225101 映画『21世紀の資本』は、2013年にベストセラーとなった経済学の大著(700ページ超!)を著者のトマ・ピケティ自身が監督(ジャスティン・ペンバートンとの共同)として映画化した作品。大江戸としては、本は読む気になれないけど103分の映画で概要がわかるのなら…と、お勉強モードで鑑賞いたしました。

なかなか面白かったです。18世紀から今日に至る富の偏在とリッチ&プアーの歴史を、豊富な映像のリミックス感覚で、わかりやすく教えてくれます。映画もその一翼を担っていて、『怒りの葡萄』『ウォール街』『レ・ミゼラブル』『エリジウム』んどのフッテージが使われています。その他に、アニメーションや政治家たちの映像や撮りおろしの映像、そして経済学者たちへのインタビューなどで、決して眠くならずにお勉強が進みます。

007_20200610231001 終盤になって本作の結論として、「IT企業一人勝ちで、18世紀の貴族社会のように極端な貧富の差が出ている」21世紀の状況と、それを是正する方法が語られます。なるほど、タックスヘイブンへの本社移転などによる税金逃れってやつですよね。確かにバミューダとかバハマとかサモアとかばかりが潤って、「万骨枯る」状態になるのは、許せませんよね。あまりに身勝手です。恩返し、あるいは「人類の幸福」っていう視点が無さ過ぎるじゃありませんか。なんとか、フェアーに税金を納めてもらう方法を、世界中で築き上げていただきたいものです。世のため人のために。

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2020年6月 9日 (火)

「人間の時間」:多層的な寓話   #人間の時間 #キムギドク #藤井美菜

004_20200609231701 キム・ギドクの新作『人間の時間』は、東京地区では新宿シネマートのみの単館公開。英語題は、“Human, Space, Time and Human”。まるで彼の過去作『春夏秋冬そして春』を思わせる哲学的なタイトルです。でもその描写は目いっぱい下世話でエグイです。R-18+ですし。なんか石井輝夫みたいなテイストです。でも、大江戸は嫌いじゃないですね。キム・ギドクのこういう、相変わらずの問題児感。こりゃー、賛否分かれること請け合いです。

 

003_20200609233001 およそ2時間の映画が4つのパートに分かれてまして、それぞれのパートの章題が画面右下に韓国語で示されます。ざっくりと「人間」が30分ぐらい、「空間」が50分ぐらい、「時間」が30分ぐらいで、「そして人間」が10分ぐらい。

とにかく「寓話」です。しかも単純な寓話ではなく、非常に多層的。様々なレイヤーで読み解くことができます。権力者と民衆の問題、国家同士の問題、支配と被支配の問題、人間の本質とは、正しい暴力とは、悪とは、神と人、タネ、箱舟、アダムとイブ、etc. とにかく浅くも深くも読める寓意だらけなのです。アンパンマンが自分の頭をちぎって、「アンパンをどうぞ」と渡すみたいな場面もありましたしね。

009_20200609234001 娯楽映画としても面白く、そして悪意と残酷さに満ちた寓話として、おなかいっぱいになります。ラストなんかも、「人間ってやつは…」と嘆息したくなります。で、中盤で船が空中に漂っているところなんかは、なぜか『ウルトラQ』の「206便消滅す」を思い出したりしちゃいました(だったら、トドラみたいなもんまで出してくれたらサイコーだったのに…)。

それにしても謎なのは、オダギリジョーと藤井美菜は日本語で、他の人たちは韓国語で話しているのに、互いに通じ合っていること。そこもまた、何かの寓意ですかね? そして、藤井美菜は何か月たとうが、いや十数年たとうが、メイクばっちりなのでありました。

 

 

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2020年6月 8日 (月)

CKBの有料オンライン・ライブ   #クレイジーケンバンド #CKB #CKBオンラインライブ

15916157061800 新型コロナでライブができないため、その代わりとして4月9日にやるはずだったクレイジーケンバンドの有料オンライン・ライブ。結局延期となっておりましたが、約2か月を経てようやく本日よる8:30~実施されました! 会場は渋谷duo、もちろん無観客です。

zaikoというサイトのサービスを使い、料金は1,500円。PCで見ましたが、中盤以降けっこう音と絵が固まったり飛んだりしておりました。オンラインの場合、どうしてもそこらが課題ですね。ま、11日(木)のよる9時半までは何度でも見られるそうなので、それで補完しますかね。

まずは剣さんが本日ビデオジョッキーをしてくれるVIDEOTAPEMUSICさんと二人で1曲(知らない歌)。その後にメンバーがマスク姿で登場するも、演奏前にすぐ外してしまいました。11人のCKBフルメンバー。ソーシャル・ディスタンスを意識して、ステージ上とステージ下に分かれての配置。ホーンの3人もいつもより距離をとっています。

セットリストは以下の通りーーー

知らない曲  ※追記:「南国電影」という曲だそうです(with VIDEOTAPEMUSIC)/タオル/スージー・ウォンの世界/あぶく/カラオケ・インターナショナル/混沌料理/せぷてんばぁ/タイガー&ドラゴン/亀/(小野瀬雅生ショウ)イカ釣り船/けむり/カフェレーサー/発光!深夜族/木彫りの龍/(アンコール)流星ドライヴ

全15曲。1時間23分ほどでした。最後にはまたマスクをつけて退場。剣さん、久々なんでずいぶん歌詞を忘れてましたねえ(やり直しも2度)。でも(いつもの半分ぐらいのボリュームだけど)凝縮された良いライブ。個人的には「小野瀬雅生ショウ」もちゃんとやってくれたことが嬉しかったです。その『イカ釣り船』から『けむり』のギターへと続くのっさんの見せ場、サイコーです! でも、この会場ステージ前の柱が邪魔で、引きの絵になるとのっさんが柱に隠れちゃうんですよねー(泣)。

そしてカメラとスイッチャーがヘタで、ライブの絵としてはかなり不満。まあ会場や機材による制限もあるのでしょうが、いかにも「わかってない」感じ。この人を映すべきって時に映ってないし、ここを撮れと思ってもそういう絵になってないし、ギターソロの間にそんなにいろんな絵を挟むなってーの!

でも楽しゅうございました。メンバーも楽しそうでした(沢の鶴が妙に苦しそうでした。久々の管楽器はやはり息がもたないのかなあ)。こういうのも、いいですね。でも、やっぱり生のライブがいちばん。10月30日予定の日本武道館は、できるのかなあ…。1席おきでもいいからやってくれないかなあ(それで席が取れなかったらくやしいけど)。疫病退散!

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2020年6月 7日 (日)

「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」:対戦相手への敬意と愛   #三島由紀夫vs東大全共闘 #三島由紀夫

15915038836760 おととい6月5日から営業再開となった東京地区のTOHOシネマズ。今日はTOHOシネマズ日本橋に行きましたが、日曜午後なのにロビーはがらんとしています。コンセッションには人がほとんどいないし、座席は1席おき。入口では一人ずつスマホみたいなモニターに顔を向けて検温。通路には、自分でシートやひじ掛けを拭くための消毒液とペーパーもありました。場内でもみんな静かで、さすがにポップコーンを食べてる人は少なかったなあ(きのうのピカデリーも)。小生もホットコーヒーを買いましたけど、飲むときだけマスクをずらして素早く戻すって具合でした。

001_20200607225801 で、鑑賞したのは『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』。コロナの中断(休館)前から行きたかった作品です。確かにこれは凄い。半世紀前の東大生たち1,000人と三島由紀夫一人との弁論による金網デスマッチ。その不思議な光景と熱量に圧倒されます。

みんな「言葉」を信じているんです。話される言葉に、知性と教養とユーモアがあります。時折インテリによる観念上の遊戯のように、言葉が宙に浮くこともありますが、そうは言っても、言葉によるボクシングのようで目が(耳が)離せないし、スポーツのような興奮とすがすがしささえ漂って来るのです。大江戸は基本的に討論が苦手で、討論すると言い負かされがち。で、後になってから「ああ言えば良かった」と後悔するタイプです。だからこそ、こういう人たちがちょっとうらやましくもありました。

002_20200607230701 でも一方では、こういう人たちにうんざりしちゃうことも確かです。「東大全共闘随一の論客」芥正彦が73歳になった現在の姿で登場しますが、磨きのかかった「面倒くささ」に辟易したことも事実です。その彼も、三島との丁々発止のやり取りでは、互いにリスペクトし合っている様子が見られ、個人的にはそこが本作のキモでした。タバコを介した二人の「内奥での親交と敬意」みたいなものに、感動してしまいました。

003_20200607232901 その思想や生涯とは別に、ここでの三島を見ると、あくまでも高潔でありフェアーであります。学生たちに自らマイクを向けて、話し終えるまで気を使ってマイクを持ち続けます。本作の中で内田樹氏も指摘していたように、決して相手の論理矛盾を突いたりやり込めようとはしていないのです。そこには、闘い甲斐のある相手への敬意、そして愛があるのですね、やはり。大したものです。だから最後に「諸君の熱情だけは信じます。」と言って、去っていくのです。そこには、(現在時点では自分と相容れない)彼らへの期待みたいなものが感じられました。どこか奥底に、自分と同じものを感じていたのでしょうね。

 

 

 

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2020年6月 6日 (土)

「弥生、三月 君を愛した30年」:ツッコミ所と美点   #弥生三月 #君を愛した30年 #波瑠 #成田凌 #遊川和彦

15914526386920 映画館再開後の初シネコンは、新宿ピカデリー。土曜の午後だというのに、ガラガラでした。コンセッションには全く人が並んでおらず(写真では二人いますが、お客が誰もいないことも多かったです)、券売機前にもほとんど人はおらず、ロビーのベンチはベルトポールで使えないようにしてありました。15914526474941 客席にも座席の左右には2~3席にテープが貼って座れなくしてありました。定員の半分どころじゃない、1/3~1/4ぐらいの入りで満員になるわけです。うーむ。

 

 

006_20200606232301 観た作品は、緊急事態宣言前に公開されていたもののまだ未見だった『弥生、三月 君を愛した30年』。波瑠、成田凌、杉咲花という役者陣は、結構大江戸好みなのですが、監督・脚本の遊川和彦が好きじゃないもんで。いや、いくつかのテレビドラマで、結構拒絶反応があるほど合わないもんで、どうかなあ…と思っていたのです。

まあ、時々「やっぱり苦手だなあ、この人」と思う場面もありましたが、全体的には普通に観ていられました。いくつかの美点もあったと思います。でも、偶然に頼り過ぎだとか、波瑠さんも顔が大人になったのでさすがに高校生には多少の違和感がとか、夜逃げ寸前から結婚で家族を救うエピソードっていつの時代だよとか、『見上げてごらん夜の星を』がかかり過ぎるだろとか、ツッコミ所も多々あります。

008_20200606233701 けれども、波瑠の(おせっかいなほどの)正義感とか、成田凌またしても!のダメ男とか、声だけでも泣かせる杉咲花とか、役者陣は悪くないのです。波瑠なんて、17歳ぐらいの時の走りと50歳ぐらいになってからの走りの差を、実にいい塩梅で演じ分けています。成田凌は、高校生の時にはきらめいていたのに、大人になってダメダメになっちゃう役を何度映じたことでしょう。ギネスものでは?

012_20200606234701 遊川演出で一番良かったのは、40歳ぐらいになった二人が結ばれた一夜の激情の感覚。あそこは優れていました。なのに、エンドタイトルの場面で二人にミュージカルみたいに歌わせちゃうんですよねー。あそこにはズッコケました。

1970年生まれの二人の高校時代の1987年から始まり、2020年3月までを描く物語。正確には「君を愛した33年」だったかと。 で、2020年3月の街の描写は、誰一人としてマスクをしていないのでしたー。もちろん作り手としては、そこまで予想できませんもんね。

 

 

 

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2020年6月 5日 (金)

デザイン=ブランドの大使   #デザイン #ブランディング #ポールランド

15913650124281 数年前に手にした横浜の某デザイン会社のフライヤー(チラシ)がインパクト大でした。白地に黒の英文のみ。

Design is the silent ambassador of your brand

                                                                         Paul Rand

 

これだけです(もちろん裏にはいろいろ書いてあります)。素晴らしい。

「デザインはあなたのブランドの物言わぬ大使です」ってことですね。広告やロゴタイプやお店や製品やパッケージはもちろんのこと、社屋とかオフィスとか封筒とか名刺とか、そのブランドにまつわるあらゆるもののデザインが、その「ブランド」を発信する大使のような役割を果たしているのです。それは視覚的なものだけではなく、音や香りや触覚的なものまで(飲食関係のブランドなら、当然味覚も)含みます。そして優れたデザインなら、それがじっと存在しているだけでも、そのブランドにとって大きなアピールになっていて、ブランド価値を高めているのです(ヘタな広告よりも)。

だから逆に言えば、ダサいデザイン、美しくないデザインは、ブランドの価値を損ねています。じっと存在しているだけで、ブランドの足を引っ張り業績を悪化させるのです。だって、駐在している大使が下品だったり乱暴だったりしょぼくれてたりしたら、そんな国を信用できないでしょ。

デザインはふだん意識しないものまで全ての領域にわたりますし、その全体コントロールが崩れて一つでも変な要素が入ると、そこが蟻の一穴になって決壊しかねません。いわゆる「トーン&マナー」の統一が、何よりも大切なのです。ブランディングのキモなのです。

ポール・ランドはアメリカのグラフィックデザイナー。IBMのロゴタイプなどで知られる大御所です(1996年没)。彼は、“Everything is design.”とも言っております。

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2020年6月 4日 (木)

昔の銀座の貴重な動画   #銀座 #銀座の動画 #1961年の銀座

最近知ったのですが、YouTubeにアップされている昔の銀座の動画がスゴイです! 百聞は一見に如かずで、まずは見てください↓

https://youtu.be/M9Da8Wyvb7o

 

1961年の銀座~京橋を越えて直進する車から撮った映像。あまりのクリアーさ、色鮮やかさにぶっとびます。何これ? うっすらとGetty Imagesと入っていて、(レンタル画像、映像素材の)ゲッティさんのサンプルを色調整したもののようですが、ゲッティ・サイドでかなり高度なデジタル処理をしているのではないでしょうか? いずれにせよ、あっけにとられます。全部セットで作ったのではと思っちゃうようなハッキリした映像の中に、都電が通っています! 松坂屋も和光も松屋もあります。いやー、何度も見ちゃいますね。

 

そして、似たようなものがいろいろあるんですね。わお!と思いました。晴海通りで有楽町から数寄屋橋を通って、四丁目(尾張町)交差点へ。別の角度で、四丁目から銀座通りを京橋の先まで行く映像↓

 

https://www.youtube.com/watch?v=3D32DxMaQGk

 

更に古い1950年代の銀座↓

 

https://www.youtube.com/watch?v=52XpwRz4yxQ

 

この他にも、夜景とか’64年のオリンピック後の東京だとか’70年代とか、まあいろいろとあるもんですねー。この世界はノー・マークでした。

それにしても、貴重です。そしてカラー動画の情報量は多いですねえ。時代再現、時代考証においても、大変役に立つ資料でしょう。

それにしても、よくこういうものを撮っておいてくれました。遺しておいてくれました!

でも誰でも動画を撮って、アップしてストレージできる現代以降は、逆に素材があり過ぎて、かえって大変なのかも知れませんね。

 

 

 

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2020年6月 3日 (水)

「コロンバス」:静かに、じんわりと   #コロンバス #モダニズム建築 #ヘイリールーリチャードソン

008_20200603223901 首長竜になるほど待ちました。4月2日以来まるまる2ヵ月ぶりに、映画館で映画を観ました。6月1日から(東京も)休業要請解除となり多くの映画館が再開したってことで、大江戸も真っ先に映画館に行って応援してあげようと思っていたのです。ところが、(仕事帰りに間に合う)夜の回があまりやってなかったり、(中断前の上映作品や、近年のヒット作の再上映が多いので)もう観ちゃっていたり、たまに新作をやっていても(小生でさえ観る気をそそられないほどに)超マイナーな作品だったりで、なかなかうまくいかなかったのです。で、3日目にしてようやく猛ダッシュで汗だくになりながらギリギリ間に合ったのが、渋谷のシアター・イメージフォーラムでやっている『コロンバス』だったわけです。久々の感慨をかみしめる暇もなく、席について3秒ぐらいで本編が始まりました。

001_20200603224701 モダニズム建築で有名な(って、知りませんでしたけど)インディアナ州コロンバスを舞台に、地元の若い女性と韓国系男性とのドラマが展開します。本作では建築はあくまでもドラマの舞台や背景として存在し、必要以上に主張して来ません。ただ、見事にこの映画の下地というか土台というかになっているのです。モダニズムだから、そんなに感動したり息をのむようなことはなく、淡々と存在していることが多いのですが、時にはユニークな形状のものや一部非モダニズムなものも混ざって、「アメリカらしからぬ」この町の特異な、そしてクリーンな雰囲気を味わせてくれるのです。

「アメリカらしからぬ」というのは、そもそもこの映画自体に言えることです。静かで、ひそやかで、でもゆっくりじんわりと心温まる感じ。そこはかとないユーモアも漂っています。初期のジャームッシュとか、ああいうオフビートな才能を思い出しました。監督・脚本・編集のコゴナダさん(韓国系アメリカ人なのだそうです)は、敬愛する野田高悟(のだこうご=小津安二郎作品の脚本家として知られる)からその名を取ったそうですが、確かに韓国映画じゃなくて日本映画寄りの個性です。フィックスの長回しも多用され、静けさの中にしみじみとした味を醸しています。今後、要注目ですね。

003_20200603230801 そして、主人公の女の子を演じるヘイリ-・ルー・リチャードソンが、素晴らしいのです。「女優」っていう言葉とは正反対のナチュラルな持ち味が、良いのです。ぽやっとしながらも、まじめに一所懸命生きてる感じ。タバコの吸い方も、近年まれに見る感じの良さなのです。奥ゆかしく「普通」なんだけど、味わい深い。今後、要注目ですね。

 

映画が終わると、場内には7-8人ぐらいしかいませんでした(ま、小さい劇場だし、もともと不入りの作品もしばしばあったのですが)。一席おきの販売で、換気も十分行き届いていて、みんなマスクをして会話はせず、対面ではなく同じ方向に向かう映画館。識者も「けっこう安全」と言っている映画館に、皆さんもぜひ足を運んで支援してあげてください。今週末5日からは最大手のTOHOシネマズも営業再開して、新作も封切られていくようですから。

 

 

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2020年6月 2日 (火)

クランベリーチョコの輝き   #クランベリーチョコ #クランベリーチョコレート

この3月にクランベリーのお菓子を中心にご紹介(↓)したのですが、今回はその続編でパウチ入り3連打です。

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-a742ee.html

15911011240073 前回はファミマのクランベリーチョコをご紹介しましたので、今回はローソンからスタートいたしましょう。こちらはローソンに売っていた「ナチュラルローソン」ブランドの『クランベリーチョコレート』。高カカオ(80%)&食物繊維(4.05g)が売りです。チョコは結構ビター。でも大人の味わいで、濃厚にうまいんです。そのほろ苦さとクランベリーの酸味が、絶妙のハーモニー(まあ、テッパンの組み合わせですし)。称賛に値する商品だと言えますでしょう。製造は埼玉県草加市の株式会社フクイです。

 

15911009818980 そう来れば、対抗上当然セブンイレブンが出て来ますよね。セブンプレミアムの『ダブルクランベリーチョコ』です。淡い紫ピンクのチョコの中に、甘く漬け込んだクランベリーが入ってて、いやー、キレイだし、甘酸っぱいし、これはうまいです。製造は長野県の株式会社ロビニア、発売元は茨城県の正栄食品工業株式会社。でもこれ、中身が小豆というか、甘納豆であっても、かなりうまいような気がします。

 

15911010401091 そして最後にロッテの『ガーナ クランベリー&レーズン』をどうぞ。黒いのと白いのと2種類が一つ袋に同居してます。チョコレートの中にクランベリー、そしてホワイトチョコの中にはレーズンっていう趣向。どちらも良い出来。白の勝ちとか黒の勝ちとかはなくて、どっちも同じぐらいおいしいです。両方一緒に口に放り込んでも、なんだかわからないけどおいしいです。

こういうのがいろいろと出て来た、しかも質も良いという現状は、なかなか素敵です。ただこれからは、チョコがベタベタになるシーズンですからねえ…。ちょこっと残念。←だじゃれ

 

 

 

 

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2020年6月 1日 (月)

クリスト逝く   #クリスト #クリストとジャンヌクロード

15910214217541 現代美術作家のクリストが84歳で亡くなりました。愛妻であり、長きにわたる創作上のパートナーでもあったジャンヌ=クロードが2009年に74歳で亡くなってからは、あまり新作の話も聞かなかったのですが、来年にパリ凱旋門の梱包を予定していたのだとか(このプロジェクトは実行されるそうです)。

クリスト(&ジャンヌ=クロード)の作品は、梱包アートということで有名。まずは小さなものから、そのうちにパリのポンヌフ(橋)、ベルリンのライヒスターク(国会議事堂)などの建造物、果ては谷やら島やらまでもラッピングしてしまいました(ま、この本の表紙にもなっている島に関しては、梱包ではなくて、島の周りをピンクの布で囲んだんですけど)。

彼らの作品は「アート」というより「プロジェクト」と言われることが多いんです。そりゃそうですよね。一つのプロジェクトに数年から十数年の歳月を費やして、現地の人々や自治体、省庁などとの交渉、折衝、説得を経て、計画、計算、実験、開発、土木、などなどを経て、ようやく数日~十数日のインスタレーションが現れて消えるのですから。ほとんど「セミの生涯」みたいです。でも、だからこそ数日だけ現れる完成品の美しさやセンス・オブ・ワンダーは、この上なく素晴らしいアートたり得ているのです。そして、とっても平和な光景なんです。

日本人である我々になじみ深いのは、茨城県の片田舎とカリフォルニアで同時開催された「アンブレラ」プロジェクト(1991)でしょう。大江戸も行きました! 京成線で水戸まで行って、そこから乗り換えて、そしてバスに乗ってようやく着く田園地帯。雨も降る中で、コンクリート台座の大きなアンブレラが点々と立つ風景。途中で会ったアメリカ人4人をガイドしてあげて、上野まで一緒に帰ってきたものでした。その時の写真と、一切れずつもらえたアンブレラ素材(ナイロンか何か)のきれっぱしがどこかにあるはずなんですけど、さっき探しても見つかりませんでした。無念。

昔、彼らのドキュメンタリーを見ましたが、その準備や交渉のめんどくささ、入念さには気が遠くなる思いでした。建築技師のようでもありました。ランドアート数々あれど、クリストほどの規模とぶっ飛んだ発想で、実現させ続けた人はいません。しかも、スポンサーは一切つけずに、全費用をプロジェクトのスケッチや絵画のリトグラフなどを売って得た収益でまかなっていたというあたりにも、唸っちゃいます。 合掌。天国でジャンヌ=クロードと仲良くね。

 

 

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