「はちどり」:慈愛に満ちたメンター #はちどり #キムボラ #キムセビョク
映画『はちどり』は、38歳の女性監督キム・ボラのデビュー作。韓国でも、世界各国の映画賞でも、とても高く評価されているようです。確かにピュアな良作だし、映画史の中に残っていきそうな作品です。本国では同年公開の『パラサイト 半地下の家族』と比肩されたのだとか。
1994年を舞台に、14歳の主人公ウニが家庭と学校や塾で周りの人とコミュニケートする、その小さな世界の物語。でも、それがウニにとっての世界のすべてであり、そこから逃げる術はないのです。そのいらだちと絶望と諦念。それでも人生はまだまだ続くのです。
家族ともうまくいかない、むしろひどい家族に見えてならない。友だちやボーイフレンドともうまくいったり、いかなかったり。うまく行かない日々は、本当につらいわけです。逃げ場がないわけですから。
それを救ってくれる素晴らしい大人=ヨンジ先生との交流を描く一連の場面が、この映画のいちばんの美点。ウーロン茶を入れてくれる先生、歌を歌ってくれる先生、夜の町を散歩してくれる先生、そして…。
ヨンジ先生を演じたキム・セビョクが素晴らしいのです。涼し気な佇まいと、その裏に湛えらえた哀しみのようなもの。慈愛に満ちた表情と美しい笑顔。にじみ出る知性と、人間性の奥行き。少女のこれからの人生に決定的な影響を与え導いた「メンター」を、見事に演じました。1986年生まれの女優さんですが、大江戸の助演女優賞候補ですね。
時代との関りなどは、韓国の人だったらもっとピンとくるんでしょうね。でも、普遍的な作品たり得ていますし、日本から出て来てもおかしくない映画です。実際、このレベルの映画は、日本からも時々生まれていますから。
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