「WAVES ウェイブス」:なめてるとヤケドします #WAVES #ウェイブス #A24
映画『WAVES ウェイブス』は、今を時めくA24(アメリカの映画製作・配給会社)の作品。実験精神を持ったクールな若者映画を作り続けていて、感度の高い人々に注目されているのですが、最近では『ミッドサマー』がヒットしましたね。
とにかく色が美しいですね。『ムーンライト』っぽくもあります。そして、「プレイリスト・ムービー」というキャッチフレーズが示す通り、全篇が旬のおしゃれ音楽に満たされています。ただ、大江戸にはそれらの音楽がほとんど心に響きませんでしたし、あまり印象に残りませんでした。MVのような魅力すら感じられなかったというか…。まあ、ここらへんは好みの問題なのだと思います。
で、もともとは(予告編を見た段階では)MV感覚のおしゃれ映画なのだろうと思っていたのですが、観て驚きました。シリアスで、観る者を圧倒するような剛球じゃないですか! 特に前半の重さ、苦しさ、辛さときたら…。海が出て来るキレイで音楽たっぷりのおしゃれ映画と思ってデートでやって来た観客は、面食らったことでしょうね。なめてかかると、ヤケドしちゃいます。人生がどんどん崩れていくさまが、怖いほど容赦なく描かれています。でも、映画としては見事なんです。
しかし兄が主人公の前半が終わり、妹が主人公の後半になると、トーンががらりと変わります。静かに、内省的に、人生や人間を見つめていく感じ。これはこれで悪くありません。ただねえ、前半の激しさとテンポの良さに較べると、あまりに地味でスローで、ちょっと飽きちゃいました。バランスに難ありだと思います。
それにしても、金持ちのぼんぼんのタイラー兄さん、あまりにもしょーもない奴ですよ。他人のことを全く考えず、アンガー・マネージメントがまったくできない瞬間湯沸し器。弁護の余地なしですし、そこに悲しみを見いだせといっても無理です。もう少しまともな所のある奴だったら、現代のホールデン・コールフィールド(『キャッチャー・イン・ザ・ライ』)みたいになれたかもしれないのにね(金持ちの家、親からのプレッシャーetc.)。妹は、とってもフィービー的なキャラクターだったし…。
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