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2020年7月23日 (木)

村上春樹の「一人称単数」   #一人称単数 #村上春樹

15955070096723 7月18日に刊行された村上春樹6年ぶりの短篇集『一人称単数』(文藝春秋)を、さっそく読みました。やっぱり村上さんは短篇の名手ですね。いろんなタイプの8篇が収められており、7篇は『文學界』に2018~19年にかけて掲載されたもの。最後の『一人称単数』(本書のタイトルでもあります)だけが書き下ろしです。

すべて一人称の小説です。村上さんなので、「僕」なんですけど、『一人称単数』だけは「私」となっていて、最初のうちは「女性が主人公なの?」って思っちゃいました。 「僕」って書かれていると、村上さん自身が語っているような気がして、フィクションであることを忘れてしまうのですが、気がついて、「おっと、小説だよな」と軌道修正するのです。『「ヤクルト・スワローズ詩集」』だけは実際村上さんの話で、小説というよりはエッセイですね。

タイトルにチャーリー・パーカーやビートルズが入る作品があったり、シューマンの『謝肉祭(Carnaval)』をタイトルにした作品があったりというのも、村上さんらしい。

そして、すべての作品にいつも以上に寂寞感や喪失感が感じられました。そういった中で、『品川猿の告白』のとぼけたユーモア(と『「ヤクルト・スワローズ詩集」』のゆるさ)に、ほっとするところはあります。

さて、『騎士団長殺し』以来の長篇は、いつ目にすることができるのでしょうか? 村上さんのことだから、新型コロナをメタファーにした傑作を書いてくれそうな気もするのですが…。

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