「その手に触れるまで」:不寛容と寛容 #その手に触れるまで #ダルデンヌ兄弟 #カンヌ映画祭監督賞
映画『その手に触れるまで』は、カンヌの常連ダルデンヌ兄弟が昨年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞した作品。84分と小体(こてい)ながら、見事に無駄のない、立派な映画です。
ほんのひと月ほどの間にすっかり(洗脳されたかの如く)筋金入りのムスリムになってしまった少年。その彼がとった行動と、その後の日々を描きます。いや、もう語り口がうまいこと! 映画と言うものを知り尽くした演出で、描かずにわからせる、微妙な心情を感じさせる、描いてないことを想像させる---こういった難事をやすやすとこなしているのです。監督賞も当然と言える手さばきなのです。
ムスリム、移民、洗脳、ジハードといった題材を描きながら、そこには特定の人種や宗教を越えた普遍性が浮かび上がって来ます。イスラム教に限らず、どの宗教だって大なり小なり「我々=正義、異教=邪悪」という危うい考え方を持っているわけですから。「自分の正義は他者の不正義」を意識的に頭に置いて、「物事を他者の立場で考えてみる」行為を通じてしか、望むべき明日はやって来ないでしょう。だって、KKKとかヒトラーとかドナルド・トランプなんて、その真逆ですもんね。
つまり、この映画が全体として訴えているのは、不寛容と寛容ということです。物事の多様性を認め、自分とは相容れない他者を許す寛容性。ラストにもそれが現れておりました(が、大江戸はいささか唐突な印象を持ちました)。とはいえ、わかっちゃいるけど「行うは難し」なんですよねー。でも、あきらめずに心掛けることが大切なのでありましょう(と自戒します)。
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