「オフィシャル・シークレット」:葛藤と恐怖と勇気 #オフィシャルシークレット ギャヴィンフッド #キーラナイトレイ #レイフファインズ
映画『オフィシャル・シークレット』は、大江戸の2016年洋画ベストワン作品『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』の監督=ギャヴィン・フッドの新作。今回もしっかりした名作に仕上げてくれました。この監督、信頼できます。
英国内で起こった実話をもとにしたイギリス映画です。恥ずかしながら大江戸は知りませんでしたが、なるほどあの時代(2003年)の子ブッシュ政権下のアメリカとブレア政権下のイギリスでならありそうな話ですし、あったのですね。ただ本作ではあくまでも、諜報職員としてのルールを破って告発したキャサリン・ガンの心理と行動を中心に展開していきます。彼女の葛藤、彼女の恐怖、彼女の正義と勇気が、我々一人一人に「あなたならどうする?」と問いかけてきます。重い問いです。そして、多くの人が「彼女の勇気を見習いたい」と思うことでしょう。大江戸もそう思いました。こういう人がもっと多ければ、世の中もっと良くなるはずですもんね。
しかし、ポリティカルで倫理的でありながら、サスペンスフルなエンターテインメントとして良くできているのです。面白くて、骨があって、ある種の格調もある・・・『アイ・イン・ザ・スカイ』もそういう映画でしたね。
主人公が高潔なだけではなく、ごく普通の人間であり、後から自分の行動に恐れおののく(けっこうビビる)あたりも描いているあたりが、リアルですし、作品に奥行きをもたらしてもいます。そんなキャサリンを演じたキーラ・ナイトレイは、よくやりました。彼女のパーソナル・ベストでしょう。
そして、弁護士役のレイフ・ファインズは助演賞ものの見事さ! ほんのちょっとの表情の変化で、多くのことを表現し、滋味まで漂わせて、作品自体の格をも引き上げてくれました。彼がからむラスト・シーンの素晴らしさといったら!! 今年の最優秀ラストシーンかも知れません。気骨を感じさせるし、映画表現としてうまいし、ちょっと小粋でもあるのです。
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