「マーティン・エデン」:骨太だけど、徒労感 #マーティンエデン #ルカマリネッリ #イタリア映画
映画『マーティン・エデン』は堂々たるイタリア映画ですが、原作はジャック・ロンドンなので、もともとの舞台はアメリカでした。それをイタリアの物語に変換したのですね。この映画の広告を見た時、「原作:『マーティン・イーデン』ジャック・ロンドン」と書いてあったので、「なんだよ、イーデンとエデンの統一ぐらい、ちゃんとやれよ」と思ったのですが、こんな事情があったのですね。映画の中ではもちろん「エデン」と発音されています。
学のない下層階級の男が、売れっ子小説家に上り詰めるものの…といった物語ですが、ジャック・ロンドンの自伝的作品なんですってね。ま、イタリアが舞台なので、よりヨーロッパの貴族の血を引く上流階級と庶民との階級差が強固にいやらしく描かれます。
主人公を演じたルカ・マリネッリがアラン・ドロンを思わせるとかで注目されているようですが、ドロンの『太陽がいっぱい』も下層階級と上流階級の葛藤が根底にありましたもんね。でも、イタリアンってことで、むしろガタイを良くしたアル・パチーノみたいな感じです。いずれにせよ、「影」があるのが魅力なのでしょう。
大江戸が注目した役者は、物書きになった主人公に影響を与える老人役のカルロ・チェッキ。一癖も二癖もある味わいでした。ジョン・カサヴェテスやジョン・ハートやイアン・マッケランみたいな感じ。
最近は骨太なイタリア映画の公開が続きますね、『シチリアーノ』とか本作とか(しかも冒頭の映画会社のマークが次から次へ延々と出て来る。何であんなに多いの?)。でも本作は徒労感のあるむなしい物語で、大江戸はあまり好きになれませんでした。「だから、何なの?」です。それを言っちゃあおしまいだけど…。
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