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2020年10月23日 (金)

「大幹部 無頼」(1968年):芦川いづみが哀しくも美しい   #大幹部無頼 #渡哲也 #芦川いづみ #田中邦衛

_20201023_233536_copy_468x646 神保町シアターの追悼・渡哲也特集で、『大幹部 無頼』(1968年)を観ました(初見)。実は、芦川いづみ目当てです。

小澤啓一の初監督作で、助監督に澤田幸弘がついていたりします。脚本は池上金男と久保田圭司。渡哲也の「人斬り五郎」シリーズ第2弾なのですが、第1弾のタイトルが『無頼より 大幹部』って…。まぎらわしいにも程があります! どちらも1968年作品で、3か月半しか公開に差がないのだから、二番館、三番館がわんさかあった当時だけに、ややこしくて大混乱だったのではないかと思います。なんでまた、こんなことにしたんでしょうか??

典型的なジャンル映画ではありますが、いやー、思ったよりも断然素晴らしかったですよ。そりゃあプログラム・ピクチャーですから、いわゆる「名作」ではないのですが、日活のヤクザ映画として面白かったです。ヤクザの汚さ、辛さ、悲しさを通俗的に力強く描いて、かなり感情が揺さぶられてしまいました。ラストのドブ川での渡と内田良平の死闘なんて、すさまじいアクションですし、そこに女子がバレーボールをする場面が妙なクロスカッティングで挿入されるというケッタイな編集も含めて、忘れがたい作品です。

小澤演出はシャープに冴えていて、テンポも良く、アクションにおいても心情ドラマにおいても、時折挟み込まれる見事なロングショットが非常に生きているのです。

本作のヒロインは松原智恵子なのですが、それ以上に印象深かったのは芦川いづみ! 彼女が32歳の時の作品で、同年に藤竜也と結婚して引退している彼女の最後に近い映画です。かわいさと味わい深さを兼ね備えて、まさに「憂いを含んでほのかに甘く」(昨年発刊された芦川いづみ本のタイトル)でした。渡と彼女が二度ならず三度も偶然出会っちゃう展開にはちょっと笑ってしまいますが、でも彼女と渡と田中邦衛をめぐる恋情のあれこれは、かなり心に迫るものがありました。哀しいねえ。

で、終盤に田中邦衛が「北海道にでも行こうと思う」みたいなことを言う場面があるのですが、これまたちょっと笑ってしまいました。そうか、それで富良野に行って、渡から「五郎」って名前をもらって、子供二人と暮らしたのですね、って、それは『北の国から』!

 

 

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