「Mank マンク」:映像は凄いが… #マンク #デイヴィッドフィンチャー #ゲイリーオールドマン #市民ケーン
映画『Mank マンク』は、12月4日配信開始予定のネットフリックス作品ですが、11月20日から小規模に劇場公開しているのです。予告編に接して、その映像にぶっとんで俄然観る気になったデイヴィッド・フィンチャー監督作品です。
「マンク」とは、『市民ケーン』の脚本を書いたハーマン・J・マンキーウィッツの愛称。演じるはゲイリー・オールドマン。ほぼ出ずっぱりの彼のワンマンショーです。とは言え、全編モノクロで8~90年前のハリウッドの裏側を地味に描く作品ですから、今日び普通に通る企画ではありませんよね。地味な割に金もかかってますよ、これ。なのに自由に作らせちゃう懐の広さを見せつけられると、(大江戸の敵である)ネットフリックスのことを認めなきゃいけないのかと、ちらっと思ったりもしちゃいます。ちらっとだけですけどね。まあ、何はともあれ映画館で公開してくれて良かったです。
とにかくモノクロ映像が凄いのです。1930年代頃の映画を模した映像が、まさにあの頃のモノクロ映像のテイスト。近年製作されたモノクロ映画のモノクロとは全然雰囲気が違うのです。結構コントラスト強めで、光の効果が鮮やかで。
ただ、内容的には今一つ。『市民ケーン』の脚本執筆裏話というよりは、マンクを通して描く当時の業界のスケッチといった趣き(序盤のオーソン・ウェルズ登場場面などは、素敵でしたけどね。ウェルズ役の俳優さんの声と話し方が、本人そっくりでしたし)。幹になるようなストーリーがあるわけではなく、スケッチの積み重ねで描いていきます。しかも、台詞に頼った会話劇だったりするので、映像の素晴らしさを生かしておりません。台詞の多いオールドマンは満足だったでしょうけど、映画としてのダイナミズムが引き出されていなかったんですよね。前半はむしろ退屈でした。 選挙結果を待つ、ある種のパーティーみたいな場面での怒涛のモンタージュ!だけが、映画的魅力が炸裂してワクワクする場面なのでした。期待が大きかっただけに、残念なのでした。
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