「空に住む」:気持ち良さと気持ち悪さの同居 #空に住む #青山真治 #多部未華子 #高橋洋
映画『空に住む』は、30歳になったことがプラスに作用したのか(1989年生まれ)、テレビに映画に絶好調の多部未華子主演作。しかも『共喰い』以来7年ぶりの青山真治監督作品です。
(以降多少ネタバレあり) 映像にも物語にも「気持ち良さ」と「気持ち悪さ」が同居しています。それがとても不思議。素晴らしい高層マンションからの東京の眺めとか広々とした空間や日本家屋の職場の気持ち良さがある一方で、両親の死とか愛猫の死とか何かしら不穏や不安が漂っているのです。そもそも、窓外の景色自体が「あの世」のようでもありますし、ベッドの脇の壁は石を積み上げたもので、地震とかあればすぐに崩れて頭を直撃しそうな異様なものです。美しく快適に見えてその実、猫が精神的ダメージを受けたのももっともなヤバイ部屋です。
そしてラストがあまりにもオープン過ぎて、これからどうなっていくのか?ってところ。うーむ、スケッチとての面白さ以上に、もう少しずっしりと背骨を入れてほしかった気がします。
多部さんも岸井ゆきのも良い演技ですけれど、本作で小生が瞠目したのは柏木編集長を演じた高橋洋(よう)。いやー、この俳優さんこれまでまったくノーマークでしたが、いかにも文学青年上がりの知的職業人を実にナチュラルにインテリらしく演じて、素敵でした。いい味出してました。マフラーやメガネの「こなし方」も見事でしたもん。もちろん台詞の発声も。大江戸としては、これからも注目しておくことにいたしましょう。
| 固定リンク
« 「鬼滅の刃 無限列車編」:予習を終えて劇場へ #映画版鬼滅の刃 #鬼滅の刃無限列車編 | トップページ | 「朝が来る」:聖なる傑作、そして永作博美の名演 #朝が来る #河瀨直美 #永作博美 #主演女優賞候補 »
コメント