「私をくいとめて」:こじらせ女子の成長物語 #私をくいとめて #のん #林遣都 #大九明子 #君は天然色 #新宿タイガー
昨日公開の映画『私をくいとめて』をテアトル新宿で観ました。公開前のトークショー付プレミア試写会も、本日の舞台挨拶も「チケット瞬殺!」で手に入れられず、何でもない夕方の回に行ったら、なんとあの「新宿タイガー」さんも観に来ていて(映画館でしばしばお見かけします)、いつも通り最前列に座っていらしゃいました。お元気で何より。
ロビーには、舞台挨拶来場時のものでしょうか、のんや多く監督らのサイン入りポスターが貼ってありました。
で、映画の方ですが、うーん、まあ面白いんですけど、期待が大きかっただけになー…。今年の大九明子監督作としては、あの繊細な『甘いお酒でうがい』の方を上に置かざるを得ないですねー。
結局このお話で2時間13分ってのは、ちと長いんですよね。ローマの場面をはじめ、もっとつまめる箇所があります。でもローマでの橋本愛とのんの共演場面は、『あまちゃん』からの年月を思うところがあり、感慨深かったです。
のんは、実年齢より4つ上の31歳を演じるため、声のトーンを下げたり、かなり俳優としての技術を使っています。『キネマ旬報』のインタビューでも大九明子監督がのんの演技を「職人」と評していたのが印象的でしたけれど、この人本能だけで演じているように見えて、意外と計算した緻密な演技の人だったりするんです。てなわけで、まあこの時代、こんな31歳もいるだろねって芝居になっています。ただ、相当めんどくさいというか、こじらせちゃったキャラですので、そこらへんの危うさをどう表現するかしないかっていう難しさはあったでしょうね。回想場面が2年前なら、ヘアメイクも芝居もきっちり2年前になっているのはさすがだったんですけど…。
林遣都は、「おまえ、桃子ちゃんはどうしちゃったんだ?」って感じ・・・いや、それはTVドラマ『姉ちゃんの恋人』のことでして(桃子は有村架純の役名)、こっちはきちんと違うアプローチで役を作ってました。
片桐はいりのバリキャリ風デキル女ってのが、なかなかハマっておりました。こういう役もイケルんですね。と同時に、ここも『あまちゃん』同窓会なのでした。 あと、主人公の脳内の相談役「A」の声が中村倫也だったのも、事前に知らなかったので驚きました(観始めてすぐに気づきました。あの声ですから)。
なんで唐突に今使うの?ってところはあるけれど、この映画、『君は天然色』(大瀧詠一)に救われてますよねー。ラスト(というかタイトルロール序盤)なんかも、あの曲で強引に気分をアゲてくれちゃいました。
(以降ネタバレあり) ラストの「よろしくお願いします。」の一言は、自意識過剰だった主人公が、「他人に自分をゆだねる」ことを覚えたって意味で、成長物語になっています。それができれば、彼女の前途も明るいでしょう。良かった良かった。
いつもの通り、テアトル新宿のロビーにあるガラスケース内は、こんな展示が。神社になっておりまして、その右横には今秋の東京国際映画祭で受賞した「観客賞」の「症状とトロフィーが、誇らしげに展示してありました。
それと、この作品のプログラム(パンフレット)、小さなサイズなれど中身が大変充実しています。ユニークな企画も多く、読みごたえ十分。近年出色の出来栄えでした。
| 固定リンク
« 白と黒、そして… #ガトーフェスタハラダ #グーテデロワホワイトチョコレート #グーテデロワノワール #ティグレスレッドベルベット | トップページ | 「無頼」:堂々たるヤクザ年代記 #無頼 #映画無頼 #ヤクザ映画 #井筒和幸 #松本利夫 »
コメント