「無頼」:堂々たるヤクザ年代記 #無頼 #映画無頼 #ヤクザ映画 #井筒和幸 #松本利夫
映画『無頼』は、井筒和幸監督(共同脚本も)の集大成的ヤクザ年代記。1956年に始まり、21世紀まで(2001年のNYワールドトレードセンターへの旅客機激突テロの映像がTVに出てました)約半世紀の流れを、一人のヤクザ者(EXILEの松本利夫)を通して描き出します。
誰もが思うように、井筒版『ゴッドファーザー』や『グッドフェローズ』であり、それなりに堂々とした大作感があるのです。何しろ2時間26分もあるし。予算は大きくなかったでしょうから、頑張りましたね。で、昭和の戦後というヤクザの時代を中心に、抗争やら家族やら政治家とのつながりやらシノギやら、ヤクザ映画の全てを詰め込んでいます。近年、こんなに本格的なヤクザ映画はなかったものですから(『アウトレイジ』や『孤狼の血』よりも、その昔の東映マークを感じさせます)、こんな小規模公開ではなく、東映のコヤにもかけてもらいたいものですねえ。なにしろ深作の『北陸代理戦争』を再現した映画内映画も出て来ましたから!
でも、大江戸が観たのは新宿のk’s cinema。つまり、昭和館(ヤクザ映画の聖地)の跡地の劇場ですから、これはこれで意義深いものがあります。
出て来る俳優たちのヤクザ顔がとにかく見事! 『アウトレイジ』や『孤狼の血』のヤクザたちも結構凄い顔を集めていましたが、この作品の奴らはより「本物っぽい」(役者っぽくない)感じ。井筒組って、チンピラ顔や頭の悪そうな顔を集めることに関しては、昔っからお得意でしたから…。その中で一番カンロクなさそうなのが(岡本信人っぽい顔の)親分役の松本利夫なのですが、そういう狙いなんでしょうねえ(それとも営業上の理由?)。あと紅一点の柳ゆり菜が意外に健闘しておりました。
井筒組といえば、本作の松本の組名は「井藤組(いとうぐみ)」。井筒組も「いとうぐみ」って読めるではありませんか。なるほど。
なぜか泉谷しげるの『春夏秋冬』がテーマ曲に使われているのですが、これはあまり合っていなかったですねえ。でもまあ、井筒監督の趣味なんでありましょう。
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