「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」展 #石岡瑛子 #石岡瑛子展 #ggg #グラフィックデザイン
ggg(スリージー)ことギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の展覧会『石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか』前期(~1/23)に行きました。前期は「アド・キャンペーン篇」だそうです(後期は「グラフィックアート篇」)。
尊敬すべきアートディレクターの一人である石岡瑛子さんのデザインを一言でいえば、「強い」だと思う大江戸ですが、この展覧会にもその強さは溢れていました。
まず会場に入ると、・・・赤い! 壁も床も光線も真紅の世界が広がって(というほど広くはないのですが)います。まあ、赤という色(特に赤と黒のコントラスト)は石岡瑛子を象徴していますからね。
両サイドの湾曲したスクリーンには、さまざまな作品が映写されておりました。見覚えのあるものが多いですし、どれも見事な傑作で感嘆してしまいます。そして柱というか壁というかには、石岡さんの言葉が書かれています。この言葉がまた、強いんですよねえ。この人の生き方とか作品とかには、「抜き身」の迫力がありますもん。
地下の会場は、パルコを中心としたキャンペーン・ポスターに加えて、雑誌広告、新聞広告、装丁、ジャケットデザインなど。こちらも石岡さんの言葉がつるしてありますし、彼女のナマ声(元の音源はインタビューなのか、講演会なのか?)が流れ続けています。うーん、やっぱり強いです。昔の広告のゲラに石岡が赤を入れたものも展示されており、その精緻かつ厳密な指定におののきながら唸りました。やっぱり凄いです。真剣勝負なのです。
そして、パルコにしても何にしてもハダカ(ヌード)の広告ビジュアルが平気で出てきます。思えば、昔はそうでした。街にも普通にハダカが出ていました。石岡作品におけるハダカは、もちろん力強いし、美しいし、人間を極めていった究極の本質として迫って来ます。何でもかんでも「ハダカだから表に出しちゃダメ」みたいな近年の風潮は、よろしくないですよねえ。それは、「女性の性を搾取している」とかそういう議論とは別ものです(実際、沢田研二ら男性もハダカにしていますし)。『ヴィーナスの誕生』に服を描き足そうとするようなものです。
ぬるいデザインで溢れた昨今ゆえ、出て来るデザイン出て来るデザインに目を洗われるような気がしました。見ていて、この研ぎ澄まされ方が気持ちいいですし、「広告ってこういうもんだったよな。なんで今は変わっちゃったんだろう?」と思わずにはいられませんでした。バブル崩壊以降の広告って(あるいは、マックのDTPになって以降の広告って)表現が突き詰められていないし、アイディアがないか足りないのです。あるものを表現するにあたって、あまりにも単純すぎるというか、ほとんど何も考えていないというか、一番重要な部分がごっそり抜け落ちているのです。表面的には一応形になっていても、からっぽで芸がなくて、虚しい限りです。コピーライターの力、クリエイティブ・ディレクションの力が弱くなったことも、大いに関係しています。それらが当たり前になっているというのも、また悲しいことですよね(まあ、全ての広告がそうだとは言いませんが)。
そんな時代だからこそガツンと来ました、この展覧会。入場無料なのにありがたや。良いキュレーションですし、良い展示構成・会場づくりでした。映画好きとしては、昔の大映画館を思わせる湾曲スクリーンを見ただけで嬉しくなっちゃいますしね。 2月3日からの後期も楽しみです。そして、東京都現代美術館で開催中の(こっちが本命のはずの)石岡瑛子展も観に行かなきゃです!
| 固定リンク
« 有楽町・葡萄屋のとりめし #葡萄屋 #有楽町葡萄屋 #とりめし #葡萄屋のとりめし #銀座インズ | トップページ | 「STAND BY ME ドラえもん2」:中盤がダレて、のび太がダメで #STANDBYME #映画ドラえもん2 #ドラえもん2 »
コメント