「大綱引の恋」:太鼓を叩くだけなので… #大綱引の恋 #佐々部清 #一番太鼓
映画『大綱引の恋』は、昨年急逝した佐々部清監督の遺作。エンドロールの後には、佐々部監督のお写真と言葉が画面に出ました。
鹿児島県川内のご当地映画です。こんな大綱引があるんですね。ある種の「奇祭」の範疇かも知れません。両軍で3000人もの男たちが引き合い押し合い、長時間をかけて戦います。何百メートルもある巨大な綱は保管してあるのではなく、毎年藁から現場で綯(な)われるんですね。9時間もかけて…とか、映画の中で言ってました。びっくりです。
佐々部清さんの作風は、愚直というか、誰からもわかりやすいもの。センスとか洗練とか才気とかとは対極にある作風で、大江戸は正直好きではありません。本作も、とにかくオーソドックスであり、ごく普通に、時には笑っちゃうほど強引に物語が進みます。家庭内のケンカとか、キスシーンとか、「これはコントか?」ってぐらい描写がヘタなんですけど、そこらも「らしさ」でしょう。
でも明らかに良くないのは、大綱引の勝負の行方を映像で説明しないで、言葉でだけ示すこと。それはないですよねー。映画にする意味ないじゃん。まあ、そもそもこの競技の花形であり、主演の三浦貴大がその役を務める「一番太鼓」ってのが、地味! 陣太鼓を手にもってお箸みたいな棒で叩き続けるだけ。戦いようがないじゃないですか(皮がヘタったので、太鼓を入れ替えるなんてドラマはありましたけど)。腕が疲れるでしょうけど、そしてやってる人は真剣勝負なのでしょうけど、申し訳ないけど映画にすると変に見えます。練習風景だって、川べりで上向いて太鼓をたたくだけですもんねー(申しわけないけど、これまたギャグみたいで…)。『ロッキー』みたいにする術がないのです。
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