「茜色に焼かれる」:これでいいのか! #茜色に焼かれる #石井裕也 #尾野真千子 #片山友希 #スターサンズ
映画『茜色に焼かれる』は、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』の石井裕也監督渾身の力作。青い夜空から茜色の夕空へと変わったわけですね。小生は今一つ評価していない『夜空~』ですが、『キネマ旬報』ベストテンの第1位に輝いたりしています。でも、確実にあの作品よりも良いですよ。コロナの時代に、病んでる日本社会への真摯なメッセージたり得ています。キネ旬ベストテンの上位を狙える作品です。
やっぱりスターサンズが配給に加わっています。近年の骨のある話題作はすべてここがらみです…『新聞記者』『宮本から君へ』『MOTHER マザー』『ヤクザと家族 The Family』そして本作。凄い打率です。どの作品も、「これでいいのか!」という我々の怒りを噴出させてくれます。
大江戸が好きな石井裕也の映画は『舟を編む』とか『川の底からこんにちは』であり、社会派方向に振れた時の彼とは相性が良くないのですが、この作品はそんな好き嫌いを超えた強さを持っています。その柱となっているのはやはり尾野真千子で、本年度の賞レースの主演女優賞部門の有力候補に違いありません。日本映画の歴史の中で、なんだかんだ描かれ続けて来た「ひどい運命の女が強くたくましく生きる」作品の流れに、大いなる足跡を残したと言っていいでしょう。この主人公のような人々が、ひどい目に遭わない社会になってほしい、政治の力で少しでもそういう方向に持って行ってほしいと切に願います。
尾野の中学生の息子を演じる和田庵くんや、風俗店の店長を演じる永瀬正敏もいいけれど、助演女優賞クラスだなと思ったのがケイさん役の片山友希! これまでノーマークだった人ですが、いやー、素晴らしいですよ。魂に訴える演技を見せてくれました。
観ていて怒りや憤りを覚える場面も多いのですが、ユーモアもクスッと笑える場面もあるってあたりが石井裕也作品。ラストなんか、なんだかわからんけど救われちゃいます。 そして、マスクやアクリルボードや消毒液がこれだけたっぷり出て来た映画は、今のところ初めてでしょう。時代の証言としても、後年意味を持ってくることと思います。
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