「異邦人」(1967):太陽がまぶしかったから #異邦人 #ルキノヴィスコンティ #マルチェロマストロヤンニ
映画『異邦人』('67)のデジタル復元版(イタリア語版)がこの3月5日から新宿のシネマカリテ他で公開されたのですが、その時は観逃してしまいました。で、昨日から下高井戸シネマ(都内で営業している数少ない映画館の一つ)で上映してるというので、行って来ました。もう半世紀以上前の作品ですが、日本公開時(’68年)の「キネマ旬報ベストテン」では第8位だったそうです。
監督=ルキノ・ヴィスコンティ、主演=マルチェロ・マストロヤンニ、製作=ディノ・デ・ラウレンティス、撮影=ジュゼッペ・ロトゥンノという鉄壁のイタリアン・オールスターズです。もちろん原作のカミュや、共演のアンナ・カリーナ、ブルーノ・クレメルなどはフランス人ですけど、まあ言語がイタリア語ですからね。
(以降少々ネタバレあり) 舞台となったアルジェの暑さにこだわった映像です。まあ、暑さと太陽にやられちゃって人を殺したって話ですから、そこは重要ですよね(でも、あまり説得力を持って描かれているとは思えませんでした。そこは小説ならではの世界なんでしょうか…)。マストロヤンニのライトグレーのスーツは、常に背中が汗で濃グレーになっちゃってますし、誰も彼もがハンカチで汗をぬぐい続けています。法廷ではみんなが団扇みたいなものであおいでいます。
終盤、闇の中にマストロヤンニの顔だけが浮かび上がる映像ってのは、「斬首」を連想させるもので、うまいと思いました。その一方で、今では絶対に使わないような変なズームが 多いのは、’60年代後半から’70年代前半の映画に見られる当時の流行。今は違和感たっぷりですねー。 ま、でも全体的には面白かったですよ。そして、全編を通してジュゼッペ・ロトゥンノの撮影が見事です。
それはそうと、海の場面でマルチェロが着てた水着が女子のスクール水着みたいなやつだったのが、へんちくりんでありました。第2次大戦前という時代を表しておりますねえ。
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