「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道」:本造りのお仕事映画としても上質 #映画森山大道 #過去はいつも新しく未来はつねに懐かしい #写真家森山大道
映画『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』ってタイトルを聞いてまず思ったのは、クレイジーケンバンドの『愛があるなら年の差なんて』という曲の歌詞:「昔誰かが言ってた言葉 過去はいつでも新しくて 未来はつねに懐かしいって なんとなくわかる気がした」ってフレーズ。ググってみたけど、誰の言葉かわかりませんでした。同名の大道さんの本が2000年に出てるので、そこが元なのかなあ?
緊急事態宣言で4月30日の公開が延びてましたけど、ようやく公開された本作、いやー、素晴らしいドキュメンタリーでした。2年前に当時80歳の森山大道に密着して、東京の街でコンパクトカメラ(ニコン・クールピクス)を手に撮り続ける彼の姿と、過去からの作品、そして半世紀前(1968年)のデビュー写真集『にっぽん劇場写真帖』の新生プロジェクトの様子を描きます。
80歳になっても変わらず創作意欲旺盛な大道さんも面白いのですが、実は編集者と造本家と組んだ出版プロジェクトの描写の方が更に面白かったりして、一作で二本分楽しめる構成になっておりました。何しろ造本家が北海道で材料木を伐採するのを見つめるところから本造りが始まっていくし、その木材~製紙~印刷・製本と言う過程の映像が素晴らしく(これだけでもドキュメンタリーになりそうですし)、並行して描かれる編集打ち合わせ~資料の整理~製作~用紙決定~校正~擦り出し立ち会い~完成品チェック~森山さんのチェックという流れも(この方面の隅っこをちっとはかじったことのある大江戸としては)面白くてたまりませんでした(森山さんのチェックの、あの緊張感!)。「お仕事映画」としても上質なのです。あのおしゃれなプリンティング・ディレクターさん、「1㎏中に5gのスミ・インクを足す」という職人の感覚で見事な結果を出すあたり、カッコ良すぎます!
撮影も、音楽も、映画的に上質です。そして大道さんの写真はやっぱり力があるし、凄い。街中で面白いと感じる対象なんて、小生と似ていて、親近感を感じもしました。でも、あんなコンデジであの世界を作ることができるなんて、やっぱりマジックです。
監督・撮影・編集の岩間玄さん、良い仕事をしましたね。
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