「オー! スジョン」:早くも洗練のグダグダ芸 #オースジョン #ホンサンス
特集上映(と言っても2本ですが)「作家主義ホン・サンス」の2本目は、『オー! スジョン』。この作品も日本では未公開ながら、DVDが『秘花 ~スジョンの愛~』というあやしげなタイトルで出ていたそうです。2000年のモノクロ作品で、監督作3本目。126分もあります(短い作品の多い近年とは違いますねえ)。でも、ホン・サンス作品に色って無くてもいい気がしますね。人間を描くのがメインですし、かえって映像が締まって、美しく感じられます。
例によって男と女のグダグダの物語、例によって、しょちゅうお酒を飲んで酔っ払ってます。でも、そんなことの繰り返しが、この上なく面白いんですよねー。本作は『カンウォンドのチカラ』に比べると洗練度がだいぶ増して、ほとんどホン・サンス作品として完成しちゃってますね。大江戸としては、断然こっちの方が好きです。さすが経験豊富(に違いない)なホン・サンス、男女のあれこれをよーくわかっていらっしゃるって感じです。生々しいです。
本作は登場人物Aの視点からの物語を、途中から登場人物Bの視点からの物語に替えて反復するという趣向。ホン・サンスらしいですね(『正しい日 間違えた日』とか)。そこに生じる差異に潜むズレが人間のズレであり、女と男のズレでありというあたりを面白がるタイプの作品でしょう。
何にしても(『カンウォンドのチカラ』と違って)主演女優が魅力的なので、作品が成功しております。そして主演のイ・ウンジュが、角度によってキム・ミニにそっくり! そんなところにもホン・サンスの一貫性を感じて、感心してしまいました。
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