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2021年8月29日 (日)

「ドライブ・マイ・カー」:良作以上傑作未満   #ドライブマイカー #濱口竜介 #村上春樹 #西島秀俊 #ワーニャ伯父さん

1_20210829223801 映画『ドライブ・マイ・カー』は、前作『寝ても覚めても』が大江戸のその年のベストワンだった濱口竜介監督の新作だし、カンヌ映画祭をはじめ評判は高いし、大江戸は村上春樹のファンでもあるし、ってことで期待ヒートアップ気味で観ました。何しろチェーホフの『ワーニャ伯父さん』を、予習として読んでしまったぐらいです。

確かに素晴らしい作品でしたし、あの短編がこういう風に濱口映画になるんだなあって感じに翻案されておりました。でも、『寝ても覚めても』や『ハッピーアワー』に較べると、理詰めに計算された感じが強過ぎて、アラはないんだけど衝撃や深い感動は少なかったんです。あくまでも小生の中で、ってことですけど。

ワンカットごとの完成度は非常に高いと感じました。撮影監督の四宮秀俊の見事に映画的な絵が、作品のクォリティや緊密さを支えてくれています。もちろん役者たちの演技も素晴らしいです。西島秀俊、三浦透子、岡田将生は誰もが称賛しておりますが、大江戸的には、『ワーニャ伯父さん』でソーニャを演じたパク・ユリムに感銘を受けました。清楚で感じが良くて、一所懸命に生きている人の美しさがにじみ出ておりました。彼女が(手話で)西島と演じた『ワーニャ伯父さん』のラストは圧巻でした。感動しました。

あと、西島をはじめキャストたちの「喪失感を抱えた」感じと、下世話な生活感がない感じが、いかにも村上春樹作品の登場人物でした。中でも西島の妻を演じた霧島れいかは、いかにも村上作品に出て来る女性の顔です。小説だけど、絶対にそういう顔なんです。と思ったら、彼女はトラン・アン・ユン監督の『ノルウェイの森』にも出てたんですって!(全然覚えておりませんでした。)ほら、やっぱり村上作品的な顔なんですよ。

広島のゴミ焼却所の映像は、なんか良かったなあ。なぜなんだろう? それが映画ってもんかな。 一方で、ラストの韓国シークェンスの意味はよくわかりませんでした。ああとかこうとか想像はできるんだけど、あまりにも観客の想像力に委ね過ぎでは? もう少し観客を導くためのヒントが欲しかったですね。

本作のオープニングタイトルは、物語が進行して45分ほどたったところで出て来ました(もうオープニングじゃないけど)。2時間59分の作品とはいえ、大胆にやってくれましたよね。車の走る映像にかぶせて「西島秀俊」と出て来た時には、何が起きたのかと一瞬驚いてしまいました。

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