「竜とそばかすの姫」:大きな世界と小さな世界の絶妙な融合 #竜とそばかすの姫 #細田守
映画『竜とそばかすの姫』は、細田守監督の傑作。大江戸はこの監督の『時をかける少女』や『サマーウォーズ』は大好きですが、近作の『バケモノの子』『未来のミライ』は「好きくない」ので、今回はどうなるのかなあ?と思ってましたが、総合的には細田監督のベストではないでしょうか。
「総合的には」と書いたのは、本作はスケールが大きいから。インターネット上の仮想空間「U」のスケールが大きいし、緻密でカラフルな映像が圧倒的なのです。そこに『美女と野獣』が絡んでくるし、世界的なヴァーチャル歌姫の物語や巨大なライブの光景が展開するのですから。
ただ、最終的には高知県の地味な女子高生とその周辺および家族の物語であり、そこに素敵な味わいがあるあたり、やっぱり細田守作品であり、彼の集大成的な傑作だと思うのです。そして、『時かけ』や『サマーウォーズ』に結構似ているのです。
「U」の世界のプロダクションデザインは、建築家のエリック・ウォン。音楽は、多くのゲーム音楽を手掛けてきたルドウィグ・フォシェルやKing Gnuの常田大希を含む5人のチーム。その他のスタッフも世界の一流であり、映像と音楽は、説得力のあるものになっています。歌姫ベルのカラフルな場面や、キラキラ感の凄いすずの一大ライブの風景も凄いのですが、高知の山河や空を描いたシーンの懐かしい美しさ、特に横長画面の効果を発揮した川岸の場面なども見事でした。そして、今回もすずとベルは「宙に浮かぶ少女」となっておりました。
ラブコメ的場面のステキなことも言っておきたいですね。このピュアネス。すずを応援するおばちゃんたちも効いてます。そして、エピローグ的なラストの心地よさ、味わい深さ。大きな世界と小さな世界の絶妙な融合。やっぱり細田守の最高作と言えるでしょう。
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