「ナイトメア・アリー」:美術と映像に驚嘆 #ナイトメアアリー #ギレルモデルトロ #シェイプオブウォーター
映画『ナイトメア・アリー』は、ギレルモ・デル・トロ監督が『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー作品賞を受賞して以来初めての監督作。本作もオスカーの作品賞にノミネートされました。2時間30分、堂々の古典的ノワールです。
見世物小屋の禍々(まがまが)しさと田舎の匂いでいっぱいの前半、1930年代アメリカの都会のリッチな魅力にあふれた後半。どちらもテンポ良く進行し、物語の面白さで魅了してくれます。だから、長めの上映時間があまり気になりません。でも、終始不穏な気分にさせられますけどね。
ギレルモ・デル・トロ独特のクセの強さ、そして物語の持つ暗い胸騒ぎ、終盤のけっこうヴァイオレントな描写など、『シェイプ・オブ・ウォーター』や他の監督作との共通点も多いですね。苦手な人もきっと多いことと思います。
アクの強い役者たちが、それぞれに魅力的です。ブラッドリー・クーパーの「結局は小物」感がとても生かされてます。一方で、ケイト・ブランシェットの彼を軽く上回る悪女感はさすが。ルーニー・マーラの可憐さとの対比もなかなかです(そういえば、ケイトとルーニーは『エデンより彼方へ』の2人でしたね)。あと、すっかりおばあちゃんになったメアリー・スティーンバージェンも出ておりました。
そして美術と映像が見事。後半のアールデコ尽くしには魅了されますね。ケイトの心理学者の事務所なんて、ゴリゴリのアールデコ+ロールシャッハ・テスト的な図柄ですもん。衣装も含めて、高いレベルの美意識が感じられる仕事となっておりました。サーカス小屋の美術、大金持ちの屋敷の美術など、どれも感嘆してしまいます。大江戸的には、これがオスカーの美術賞を取らなかったら何が取るんだって感じです(発表は明日ですね)。
あのラストは初めのうちから、「ああ、こういうラストが待ってるんだろうなあ」と思った通りでした(ひねた映画ファンになると、読めちゃいますよね)。いずれにしても、こういう上質な大人向けのエンタテインメント作品がめっきり減っている現在、とっても貴重だと思いました。
| 固定リンク
« 湘南、ルヴァン杯で3連勝ならず #湘南ベルマーレ #ベルマーレ #ルヴァンカップ #東京湘南 | トップページ | アカデミー賞雑感 #アカデミー賞 #オスカー #ドライブマイカー #濱口竜介 #ウィルスミス »
コメント