「宮本武蔵」「宮本武蔵 般若坂の決斗」:5部作の1と2 #宮本武蔵 #宮本武蔵般若坂の決斗 #東映 #中村錦之助 #丸の内東映
中村錦之助=萬屋錦之介 生誕90周年記念特集上映(デジタルリマスター版)ってことで、内田吐夢監督の『宮本武蔵』5部作を丸の内TOEIでリバイバル(丸の内東映と書かないと、感じ出ないなあ)。大江戸は未見でしたし、東映城の本丸である丸の内TOEIでの上映っていう折角の機会なので、観てみることにいたしました。
まずは第1作の『宮本武蔵』。1961年の作品です。ここから毎年1作ずつ作っていき、完結作は1965年の公開。壮大な大河映画です。 音楽が伊福部昭なのも壮大っぽさを増幅させます。そして「時代劇の東映」の威信を示すように、立派なセットをいくつも作っています。
この1作目では中村錦之助(やはり公開当時の名前で書きたいですね)がまさに「野生児」で、全編にわたって目をむいて叫びまくり吠えまくります。野獣のようで、かなり鬱陶しくもあります。(以降ネタバレあり) そんな男が、最後に城の天守閣に幽閉されて、中の本を読んで3年たったら驚くなかれ、目に知性の光が宿って、別人のようになっているというラストには、ちょっと「ひえー!」ってなっちゃいます。大江戸なんか「そもそもあいつ文字読めたのか?」って思っちゃいましたもん。でもまあ、昔の映画ですから…。 沢庵和尚役=三国連太郎の濃い顔と、あの『おちょやん』で杉咲花が演じた浪花千栄子(おばば)の小憎らしい芝居を拝めたのも、観た甲斐があったってもんです。
そして第2作『宮本武蔵 般若坂の決斗』(1962年)。1作目のように騒ぎまくる武蔵じゃなくて、礼儀正しい武蔵なので、心安らかに観ていられます。1作目もそうなのですが、1時間40~50分の映画なのに、けっこうゆっくり会話を延々と描く場面も多く、もう少しテンポ良く描けばいいのになと思ってしまいました。昔の観客はこれで良かったんでしょうか?
この5部作の予告編もYouTubeで見たのですが、この2作目のにはクライマックス場面にかぶせて「流麗 撮影 坪井誠」とか出るんですよ。監督名すらないがしろにされる現代においては、考えられないことですよ! 昔の観客は撮影監督までしっかり意識していたということなら、オドロキです。
2作とも「滅法面白い」とまでは行きませんが、まあとりあえず最後まで観るつもりです。それが修行ってもんです。休日や土曜の割には場内がガラガラだったのがちと寂しくはありましたけど、だからこそ東映さんの(自社の遺産へのリスペクトをこめた)こういう意義深い企画は応援してあげたいと思うのです。丸の内TOEIのあの圧倒的な高さを誇る天井を持つ空間もあとどれだけ拝めるかわかりませんからね(ずっと前から建て替え計画も出てたりしますし)。
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