「冬薔薇」:No one was saved. #冬薔薇 #ふゆそうび #伊藤健太郎 #阪本順治 #毎熊克哉 #エリナーリグビー
映画『冬薔薇(ふゆそうび)』は、伊藤健太郎がひき逃げ事件で謹慎を続けた後の復帰作。阪本順治が脚本・監督で、彼にアテ書きした渋い作品となっております。
その昔の東宝映画『連合艦隊』の主題歌が谷村新司の『群青』で、サビの歌詞が「せめて海に咲け 心の冬薔薇(ふゆそうび)」だったよなあなどと思い出す小生は、古い人間でござんす。
それはさておき、今日び珍しいタイプの日本映画らしい日本映画です。で、暗くてやるせなくて辛い映画です。普通、興行の事を気にしたりして作れないタイプの作品です。それを作っちゃうんだから、阪本順治にはやはり周囲からの人望があるってことなんでしょうか。
半グレがうろついている港町なんで、どこの地方かと思いきや、横須賀なのでした。絵からはもっと北陸や東北の感覚が溢れているんですけどね。そこで描かれる人々が誰も彼も不完全っていうか、むしろしょうもない人たちばっか。しょうもなさの比べっこをしてるみたいで、気が滅入ります(そういうのが好きな人もいるんでしょうけれど)。そういうところが、大江戸が阪本作品をあまり好きになれない理由の一つでしょうね。
主人公の伊藤も相当しょうもない奴なんですが、もっと卑怯でサイアクなのが永山絢斗演じる美崎。好青年役も多い永山が演じるこの役に、ほんっとムカつきました。一方、人としての基本がしっかりしている毎熊克哉の方は、カッコ良かったですねえ。 あとはシニア組の小林薫、余貴美子、眞木蔵人、石橋蓮司、伊武雅刀らが余裕のある芝居で、みんな観ていて面白かったです。
でもやっぱりみんな哀しい人々です。唐突ですが、ビートルズの『エリナー・リグビー』の歌詞、“Ah, look at all the lonely people. (中略)No one was saved. ”を思ってしまいました。
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