「メタモルフォーゼの縁側」:後ろ姿の映画 #メタモルフォーゼの縁側 #芦田愛菜 #宮本信子 #岡田惠和
『メタモルフォーゼの縁側』は、後ろ姿の映画。こんなに後ろ姿だらけの映画って、観たことありません。
特に主人公の芦田愛菜が徹底して後ろ姿です。いや、もちろん前向きや横向きもありますよ。でも印象的なショットがことごとく後ろ姿ですし、走る姿なんかもほとんど後ろから撮っていて、表情を見せません。最後の方では走りが横から撮られていたりしますし、暗いながらも前向きに撮ってある場面もあったりするのですが、そこに込められた意味は明解になっていないような気がします。「後ろ向き=自身の無さ、ネガティブさ」で、そこからの脱却で前を向いたとか、そういう単純な話ではないと思います。ただ、その後ろ姿が特に気にならないのです。ぼーっと見てたら、「え?そんなに後ろ姿だらけだった?」と思うかも知れません。でも考えてみれば、人はリアルには他人を正面から見ているばかりではありません。後ろから見ていることって結構多いわけです。それに後ろ姿って、表情が見えないだけに想像力の「余白」がありますもんね。
いずれにしても、心がほっこりする素敵な作品でした。やっぱり岡田惠和脚本ですね。あ、もちろん原作マンガの力もあるのでしょうけれど。「みんないい人」の作品って、岡田さんの得意とするところであり、そこが大江戸は大好きなのです。
そして言うまでもなく、芦田愛菜と宮本信子のコンビネーションが最高です。芦田さんは『星の子』で圧倒的な演技力を見せましたが、ここでも見事に「演じて」います。しっかり計算して演技しています。後ろ姿の「走り」にも、気持ちが溢れています。彼女が固まっちゃう場面、サイコーでした。
やっぱり「大好きなものがある」ってこと、「同好の士がいる」ってことは、素晴らしいですね。ラストの静かな幸福感も、得難いものでした。狩山俊輔監督、良い仕事をしましたね。
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