「学生野郎と娘たち」:風刺喜劇から悲劇へ #学生野郎と娘たち #中平康 #芦川いづみ #シネマヴェーラ
映画『学生野郎と娘たち』(1960年)を渋谷シネマヴェーラの中平康監督特集で観ました。その楽し気なタイトルと、このほのぼのとした明朗快活ちょいオトボケなポスターからは想像もつかないような終幕を迎える作品でした。あと、ネットで予告編を見たら、「喜劇」とか大きく書いてあったんですけど、いいのか??
いやまあ前半はこのポスターと「当たらずと言えども遠からず」な感じなのですが、後半一気にシリアスな展開になっていってねえ…。芦川いづみ出演ってことでこれを観た大江戸としては辛かったですが、一方では「ああ、彼女がこういう役をやっていたんだ」という発見もありました。
東京の大学や街が舞台ということで、中平康のモダンで都会的なセンスは生かされています。基本的に風刺、諧謔だらけの作品なので、そこらへんも得意な領域でしょう。そんな群像劇の中で、中谷昇の大学学長や、とにかく軽い岡田真澄が見事にフィットしています。
(以降ネタバレあり) だけど、芦川さんがらみの場面が重くなってからは、悲劇的要素が色濃くなります。彼女が騙されてレイプされる場面ではかなりガッツリと何度もビンタされるのが、今見ても強烈です。60年以上前の映画だから、その後は場面が切り替わって…となるのですが、さらにその後に「事後」の芦川さんが放心状態で横たわっている場面があります(顔のそばには数枚の紙幣)。そこでの彼女の顔が妙にかわいすぎて(呆然自失と言うよりは、子供みたいで)、なんか変でした。
そして、最後に彼女が凄惨な結末を迎える場面もなかなかショッキングです。なんでこれで「喜劇」なんだ?! 中原早苗が上空を飛ぶ飛行機に向かって「うるせえぞ、ロッキード!」と叫ぶラストも含め、今やかなり「怪作」に近いと思います。
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