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2022年7月 9日 (土)

「PLAN75」:SF=社会を深くえぐる    #PLAN75 #早川千絵 #倍賞千恵子 

01_20220709111801 映画『PLAN75』は、今年のカンヌ映画祭「ある視点」部門でカメラドール特別表彰を受けた作品。

この作品、実は2018年公開の『十年 Ten Years Japan』という短編オムニバス( ↓ )の冒頭の一編を、脚本・監督の早川千絵自身が長編に拡大したものです。

「十年 Ten Years Japan」:最初と最後が良作  #十年: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

大江戸はその短編も良い出来だと評価しておりましたが、この長編は更に瞠目すべき出来となりました。いろんな登場人物たちのリアルな生が加わり、作品に厚みが出ました。そして一番のポイントは、倍賞千恵子が参加したこと。彼女の存在や演技力によって、この作品がパワフルになったことは間違いありません。そして非常に感情移入(彼女に)できる作品になりました。短編の方はもっとソリッドで観念的なSFだったのですが、こちらはより現実的で、それだけに恐ろしいSFとなっております。SFは「社会を深くえぐる(SF)」ものですから、架空の物語を通して重大なメッセージを発信しているのです。

本作の中で主人公(倍賞さん)の日々の暮らしや苦境のあれこれを目の当たりにしてしまうだけに、なんだか身内のように感情移入してしまいます。だから、涙腺に来る場面も多いのです。この作品を観ると、自分に関わりのある高齢者(家族とか)のことを思ってしまう人がほとんどなのではないでしょうか。

早川千絵の脚本と演出は、「映画をよくわかっていらっしゃる」って感じでした。言葉で説明し過ぎない。皆まで描かない。間接的に想像させて伝える。勇気をもってそういうことをやっております。説明過多で観客を信じていないような日本映画が多い中、貴重です。影の多い画面も日本映画離れしていて、確かにヨーロッパなどで評価されそうです。

いたたまれない場面も多いし、観て気分が重くなる辛い作品ではあります。でも最後には微かな希望があったりして、美しい作品でもあります。今年の日本映画を語る上で、外すことのできない秀作の一つでしょう。

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