「NOPE ノープ」:ジョーダン・ピールのうまさと見事な絵作り #ノープ #NOPE #ジョーダンピール
映画『NOPE ノープ』は、『ゲット・アウト』『アス』でいま最も注目されているジョーダン・ピール監督の新作(とはいえ、大江戸は『アス』を未見なのでが)。低予算映画からスケールアップしましたね。興行的にも好調のようで、これからますますハリウッドの中心で活躍していく存在となるのでしょう。例えばかつてのスピルバーグのように。
本当に映画として「うまい」のです。多くを語らずに、でもきちんとわからせる演出力。見せないで想像させる力量。不穏と不安を少しずつ積み上げていく繊細なテクニック。こういう技量をしっかり持っているあたりも、初期のスピルバーグを連想させます。
しかも、本当に良い「絵」を撮っているのです。まあ、撮っているのは撮影監督ですが、監督としての絵作りの見事さは明白です。構図の完璧さ! 力のあるショットばかりです。
ただ、131分はこの題材にしては少々長いと感じられました。本作は前2作同様ジョーダン・ピールが脚本も書いていますが、脚本家が監督もすると(自分の書いたものを切らないので)しばしば冗長になるという大江戸理論を逃れることはできなかったかも知れません。2時間以内で描いたら、もっと締まったのでは?
(以降完全ネタバレあり!) クライマックスで登場するアレは(その前から小出しに登場してはいますが)、なかなか独創的でインパクトもありますね。特に終盤に至って、宇宙大怪獣ドゴラを想起させるものに変容しましたが、あの造形はやっぱり作り手が意識したんじゃないでしょうかねえ? しっかし、あんなもんにいきなり吸い上げられて、狭い食道みたいな所を通される恐怖といったらないだろうなあ。「あ、自分、食われたんだ」とわかった時の恐怖。やっぱりジョーダン・ピールはこれまでになかった「恐怖」を追究する作家なんでしょうね。
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