「川っぺりムコリッタ」:死を考察する荻上直子 #川っぺりムコリッタ #荻上直子 #ムロツヨシ
映画『川っぺりムコリッタ』のタイトルにある聞き慣れない言葉「ムコリッタ」とは、仏教における時間の単位で48分(1/30日)のことだそうです。この作品の主要登場人物たちの住まいが「ハイツ・ムコリッタ」という名前になっております。
予告編を見ると、『かもめ食堂』の荻上直子監督ということで、おいしそうな食べ物満載ののんびりした作品って印象だったのですが、実際は食べ物はほとんど白飯&イカの塩辛と味噌汁と漬物と生野菜が繰り返される感じです(すきやきはおいしそうでしたけどね)。まあ、のんびりゆったりしたテンポなのは、やはり荻上監督作品。でもこれまでとは違って、本作ではかなり「人の死」を中心的なテーマに据えています。というわけで、「らしくない」不気味描写もあったりします。
死、骨、葬儀、お墓などを重要なモチーフとしているのは、やはり荻上監督に近年そういう個人的体験があったからなんじゃないかなあと推測してしまいました(実際どうなのかはわかりませんが…)。
松山ケンイチ、満島ひかり、吉岡秀隆らも、期待通りの好演ですが、本作で瞠目したのはムロツヨシ。いつものムロとは、ぜんぜん違うのです。『神は見返りを求める』のムロも、いつもと違うムロをイメージしていたようですが、その実かなりいつものムロでした。しかし、本作の彼は別人のようにムロ臭を消しています。その上で突飛なキャラクターに命を通わせ、複雑な味わいを持たせているのです。演技賞ものだと思います。
でもこの作品、最終的にはゆったりし過ぎていて、あんまりノれませんでした。 それはそうと、荻上監督の映画作品、2012年『レンタネコ』、2017年『彼らが本気で編むときは』、2022年『川っぺりムコリッタ』と5年に1本ペース! 寡作(を余儀なくさせられているのかな?)ですねえ。
| 固定リンク
« 「ガブリエル・シャネル展」@三菱一号館美術館 #ガブリエルシャネル展 #ガブリエルシャネル #シャネル #三菱一号館美術館 | トップページ | 「地下室のヘンな穴」:日常の中の奇天烈 #地下室のヘンな穴 #12時間進んで3日若返る »
コメント