「手」:しみじみとした佳作 #手 #映画手 #ロマンポルノナウ #松居大悟 #福永朱梨 #金田明夫
映画『手』は、日活のロマンポルノ50周年企画「ロマンポルノ・ナウ」3作品の一番手。5年ほど前にも「ロマンポルノ・リブート」と称して5人の監督がチャレンジしてましたが、まああれと同じ企画ですよね。 本作の監督は松居大悟。まさに日本映画の良さって感じで、狭い範囲で小さく悩んだりして、最後はちょっといい感じにしみじみとします。松居大悟作品の中でも、かなり上出来なのではないでしょうか。
ポスターや予告を見る限りでは若い男女の物語かと思えますが、実態は若い女性の物語であり、家族の物語であり、父と娘の物語でもあるのでした。 主人公のさわ子を福永朱梨が、「どこにでもいそうな」リアリティで好演してます。最終盤の父との会話で見せる表情が、もう絶妙なのでした。
彼女が「おじさん好き(おじさんマニア?)」という独特な趣味嗜好を持っているってところが、物語の原動力として効いておりまして、まあ津田寛治もそんなおじさんの下心を好演しているわけです、「かわいい」と言われたり、ハラスメント的思考を指摘されたりしながら。ジェンダー差別などの現代的なテーマを、いい塩梅に&上手に描いています。
(以降ややネタバレあり) で、終盤に父親役の金田明夫の出番が増えて来ると、娘のさわ子とのギクシャクした関係が雪解けしていく見事なドラマが展開します。そこらへんがあたかも小津安二郎の父娘ものを観るかのようで、しみじみ、そくそくと胸に沁みるのです。いつもは特に目立たない金田明夫が、やはりポーカーフェイスで好演してます(妙に好演だらけですね)。あのオヤジさんの発する「さわちゃん」の件りは、最高でしたね。
というわけなので、特にロマンポルノである必然性がなかったようにも思うのですが(実際、からみ場面も多くないし)、まあ都市の大人の物語として、それ以上に家族や父娘の物語として、愛すべき佳作となっているのでした。
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