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2022年10月10日 (月)

「ヘルドッグス」:邦画を超えた高質クライムアクション    #ヘルドッグス #HELLDOGS #原田眞人 #岡田准一 #吉田光夫 #酒向芳

1_20221010230401 映画『ヘルドッグス』は、圧倒的なクォリティのクライム・アクション。原田眞人監督、73歳にしてこのアクションのハードさとキレの良さ、サスペンスの巧みさ、暴力描写の生々しさと激しさ、キャラクターたちの心情描写の苛烈さとビジュアルの美しさなど、どれもこれも日本映画離れした見事さなのです。とりわけ、観客の知的レベルを高めに設定しているというか、バカ丁寧でレベルの低い説明台詞とかは用いない。ハリウッド映画のレベルで、言葉で明かすことは最小限にして、頭を使って理解させる。そこが奇跡的に成功しているのです。

思えば、原田眞人作品はずっと日本映画離れしていました。まずは映像のルックがそうですし、カット数多めでイキのいい編集や、早口で多くの台詞を語らせる演出もそうです。前作『燃えよ剣』ではそれが裏目に出て、連続ドラマのダイジェスト版みたいな映画になっていましたが、本作は大成功です。この手の映画を日本で作ると、陳腐になるかマンガになるかなのですが、そのハードルを軽々超えて来ました。とにかくカッコイイし、密度が濃いのです。重厚かつスピード感のある銃撃アクション場面なんか、マイケル・マンとかジョニー・トーとかを思わせてくれましたよ。

役者たちが圧巻の芝居を見せて輝やいています。ヒゲをたくわえた岡田准一の影のある二枚目ぶりは実に苦み走っていて、アクションともども最高です。主演男優賞ものです。対するMIYAVIも、その個性をいかんなく発揮して健闘しております。その点、坂口健太郎はやや弱かったですし、松岡茉優に至っては明らかにミスキャストでした。残念ながら、この役が彼女の個性には合っていませんね。

そして脇を固める役者たちに、あまり他の映画では見かけないナイス・キャスティングを行うのも原田映画の特徴。今回は、かじられた鼻を隠す鮫皮マスクを常にしている大場泰正とか、刺客役の中島亜梨沙とか、黒メガネのリーゼント女将の赤間麻里子とかが、新たな発見でした。 中でも熊沢役の吉原光夫が、その大きな体躯を生かして抜群の存在感でした。劇団四季の人なんですってね。どうりで上手にオペラを歌っておりました。こういう役者は、絶対日本映画(とTV)界で需要があると思いますよ。演劇界から中年以降突然にブレイクするという、吉田鋼太郎パターンになりそうな気がします。

そして、酒向芳が実にカッコ良かったのです。あんな顔のハゲたオッサンなのに、プロの優秀さを体現してどの映画の彼とも違うカッコ良さでした。思えば、この人がブレイクしたのも中年後だったし、その作品は原田眞人監督の『検察側の罪人』だったではありませんか! 彼も助演男優賞候補ですね。

それはそうと、MIYAVIが回し蹴りでボトルを砕いた場面の最後に、自分で瓶の破片をちまちまと拾い集めておりました。あれは何だったんですかねえ? ギャグ??

 

 

 

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