「あちらにいる鬼」:アクの強いけったいな人々 #あちらにいる鬼 #廣木隆一 #荒井晴彦 #広末涼子
映画『あちらにいる鬼』は、瀬戸内寂聴と井上光晴の恋とその顛末を描いた(井上の娘)井上荒野の小説の映画化。脚本=荒井晴彦×監督=廣木隆一で、主演は寺島しのぶ・豊川悦司・広末涼子と、確実に高いレベルの作品に仕上げてくれそうな布陣です。
それにしても廣木隆一! 68歳にもなるのに、今年公開作が5本(+配信作品も)とは!(しかも11-12月には本作と『母性』『月の満ち欠け』の3本が公開!) 乗りに乗ってますね。荒井晴彦も近年の作品はかなり高評価が多く、本作でも彼ならではの男女の世界の奥底に迫るようなホンを書いております。
昭和中期の時代再現もきちんとしてますが、それ以上にこの時代のものの考え方やものの言い方に「うーむ、なるほど」と思うことが多かったですね。隔世の感ありです。でも、ここに出て来る3人は、そんな時代の一般論からは離れて、独自の道を行く人たち。それぞれの開き直りや覚悟が突き抜けていて、だからこそ映画で見る意味があるような人たちであり、その恋愛や生き方なのです。アクは強いけどね。
寺島や豊川は当然高いレベルの芝居を見せているのですが、本当に驚いたのは広末涼子。これがヒロスエかと思うような表情を何度か見せており、むしろ寺島・豊川を「食って」おりました。とにかくこの妻の人物像が面白くて。映画賞の助演女優賞が狙えるぐらいの位置にいると思います。
まあ、「ほえー」と思いながら、この世間の道徳とやらから外れたけったいな人たちを見ておりましたが、さすがに2時間19分もかけなくてもいいんじゃないかと思いました。うっとりできるような恋愛じゃないだけにね。
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