「パラレル・マザーズ」:語り口の名人芸 #パラレルマザーズ #ペドロアルモドバル #ペネロペクルス
映画『パラレル・マザーズ』は、ペドロ・アルモドバル監督の最新作にして、またも傑作。この監督、若い頃は色彩やアート感覚がとんがった鬼才(奇才?)ってイメージで、映画全体の構築は弱かったのですが、『オール・アバウト・マイ・マザー』('99)や『トーク・トク・ハー』('02)以降は、本当に映画の語り口がうまくなって、今やストーリーテリングの巨匠っていうイメージです。本作でも、「ああ、うまいなあ」「見事だなあ」と、そのがっしりした構築となめらかな語り口に感心することしきりでした。
一方で色彩感覚やアート感覚は衰えることを知らず、本作でも「眼福」といえる映像やカラーリングを楽しませてくれます。本作でも赤と緑を中心に、さすがの色彩に目を奪われっぱなしになります。そして構図を含め、とにかく見ていて気持ちの良い映像なのです。俯瞰ショットの多さも特色です。
けれども、何と言ってもペネロペ・クルス! 名コンビであるアルモドバルとの7作目となるこの映画が、彼女の最高作なのではないでしょうか。不安や秘密を抱えて悩む複雑な心境を、繊細に好演しておりました。しかも美しい。今年48歳の彼女が、「40手前」の役を普通に演じておりました。若いですよね。
彼女はフォトグラファーの役なのですが、本作ではフジフイルムのカメラを使っておりました。映画で写真家が使っているカメラというとニコンかキャノンがほとんどだと思うのですが、珍しいですよね。もっとも、終盤ではキャノンを使ってましたが…。
スペイン内戦を重要なモチーフとして入れ込んで、家族の物語、受け継がれる血と思いの物語に仕上げておりましたが、これに関してはやや難あり。映画のバランスを崩しているように思えました。それでも、こうしたかったというアルモドバルの「思い」を感じずにはいられません。だから、歴史上の悲劇を踏まえた上で希望の輝きを感じさせるこのラストは正解なのでしょう。これで(も)いいのだ。
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コメント
ペネロペ・クルスはいいですよねぇ
最高傑作なら見ようかしら
投稿: 明石四楼 | 2022年11月13日 (日) 16時18分
ほう、明石さん、ペネ推しですか。
どうぞご覧あれ。
投稿: 大江戸時夫 | 2022年11月13日 (日) 22時10分
オープン・ユア・アイズ→ハモンハモンですね
その後バニラ・スカイ
どれもDVDですが。
LUXスーパーリッチ、LANCOMEとか
かなり好きです
投稿: 明石四楼 | 2022年11月14日 (月) 16時56分