「土を喰らう十二ヵ月」:食べ物と生と死 #土を食らう十二ヵ月 #沢田研二 #松たか子 #奈良岡朋子
映画『土を喰らう十二ヵ月』は、74歳!になった沢田研二を主演に、日本の自然に根差した食べ物を通して生と死を描く作品。
とは言っても、そんなに重苦しくなることはなく、あくまでも淡々と軽やかに進んでいきます。立春、啓蟄・・・と、二十四節気(すべて出てくるわけではないが)に沿って、1年の物語が進みます。物語と書きましたが、むしろ生活ドキュメンタリーに近いような、暮らしと食の風景を切り取ってつないだ作品です。
雪に閉ざされる期間も長い山中の一軒家での、文明社会から隔絶した「昔ながら」の生活。テレビも携帯電話もPCも無縁の、世捨て人のような仙人のような暮らしです。なので、ほぼ自給自足の食生活。野菜や野草を中心に、ベジタリアンな(かなりヴィーガンに近いほどの)精進料理です。新鮮な素材による食べ物本来のおいしさはあるのでしょうけれど、うーん、大江戸は3日以上ここにはいられないですねー。お肉も甘いものも食べたいし…。そもそも寒そうだし。
沢田研二も『キネマの神様』より自然体でいいし、松たか子もいかにも彼女な役で安定してます。でも役者では久々に見た奈良岡朋子さんが場をさらってましたね。まもなく93歳だってのに、さすがです(遺影になっても場をさらってたし…)。
主人公の「死の影」はあるものの、軽くさらりと描写し続けた感じで、映画としてはとりとめもなくって、そんなに素晴らしいとは思いませんでした。でも、本当の主役である食べ物が、素材の生命力を湛えて映像化されていたのは良かったですね。
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