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2022年12月30日 (金)

「フラッグ・デイ 父を想う日」:ショーン・ペン=市川團十郎?    #フラッグデイ父を想う日 #ショーンペン #ディランペン #市川團十郎

1_20221230231501 映画『フラッグ・デイ 父を想う日』は、脚本・監督がショーン・ペンで、実の娘ディラン・ペンが主演し、実の息子ホッパー・ジャック・ペンとショーン・ペン本人が共演というファミリー・ムービーのごとき作品。娘も息子もショーンとロビン・ライトとの間の子です。なんかほとんど市川團十郎一家の襲名披露公演みたいなノリですね。

それにしても、ホッパー・ジャック・ペンって・・・、デニス・ホッパー+ジャック・ニコルソン;ショーン・ペンですよ! それで俳優やってるっていうんですから、どうしても名前負けしちゃいますよねえ。

ショーン・ペン演じるアウトローな父親は「馬鹿は死ななきゃ治らない」の典型で、息をするように嘘をつき、「ちょっとトイレ行ってくる」ぐらいの感覚で犯罪を重ねてしまうような人物。娘視点で、そんな父を描いています。こういうロクデナシを演じさせたら天下一品のショーン・ペン。還暦を超えて、枯れた味わいが出てきましたね。

一方のディラン・ペンも沈黙の表情から絶叫芝居まで、ちゃんと演技のできる逸材だということを証明しています。この作品自体、父が娘に贈った最高のプレゼントになっています(息子の役は大したことないのですが、原作のせいでもありましょうし、まあ男親ってのはそんなもんかも知れません)。

本作は16㎜フィルムで撮影されたのだそうです。先日観た『ケイコ 目を澄ませて』もそうだったので、同時期の偶然にちょっと驚きます。こちらの方がいかにも16㎜らしいざらついた画面ですけどね。それが1970年代っぽい、もっといえばニューシネマっぽい風合いを作品に与えています。ただ、映画としては「そこそこ」レベルで終わってしまったのが、ちと残念ではありました。

 

 

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2022年12月29日 (木)

「恋は光」:ステキな変化球ラブコメディー    #恋は光 #小林啓一 #西野七瀬 #キラキラ映画 #変化球ラブコメ

1_20221229232901 映画『恋は光』は、秀作『殺さない彼と死なない彼女』の小林啓一脚本・監督による恋愛をめぐる(広義の)コメディー。もともとは「遅れて来たキラキラ映画」なのかと思って観ずにいたのですが、ヨコハマ映画祭で作品賞に輝いたと聞いて、その時に『殺カレ死カノ』の監督ってことも知り、慌てて大森まで足を運んだ次第。

いやー、まさに文字通りの「キラキラ映画」でしたが、それ以上のものでもありました。『殺カレ死カノ』には届かないけれど、愛すべき作品です。コミック原作の映画ではありますが、変化球ラブストーリーを映画として見事に昇華させております。ショットの一つ一つが極めて映画的、魅力的なのです。撮影自体も美しいのですが、画角とか構図とかサイズとかが完璧なのです。

クロースアップがかなり多いのですが、この会話劇の中で限られた登場人物の心情をしっかり描くために、非常に有効でした。アップもバストショットもフルショットも、一人あるいは二人を正面から撮ったショットが多く、その揺るぎなさが気持ちいいのです。

たぶん原作マンガの功績なんでしょうけど、ダイアローグが見事です。単純に面白いし、それぞれのキャラを表現し肉付けする台詞となっております。それを実写の表現として違和感なく演じた4人と小林演出にも拍手を贈りたいと思います。西野七瀬もかなり魅力的でした(やっぱり彼女はメガネ姿がいいですね)。またヒール役の馬場ふみかも、強烈に憎たらしいインパクトでした。

小林監督は2011年の『ももいろそらを』(これはあんまり好きではなかったなあ)以来11年間に5作とやや寡作です。三木孝浩監督ぐらい売れっ子になっていいのになあと思う大江戸なのでした。

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2022年12月28日 (水)

笹塚のビャンビャン麵専門店    #ビャンビャン麵 #西安ビャンビャン麵 

Dsc_12132_copy_1134x768 これまで「ビャンビャン麵」に関して、2回書きました ↓

ビャンビャン麵の漢字(画数最多)    #ビャンビャン麵 #最も画数が多い漢字 #ビャンの字が書けます #カルディのビャンビャン麵: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

冷凍食品のビャンビャン麺    #ビャンビャン麵 #冷凍食品のビャンビャン麵 #ビャンの字が書けます: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

Dsc_12142_copy_768x1115 そしてこれが3回目。 京王線の笹塚駅下車すぐというか線路下のモールに、先日ビャンビャン麺の専門店がオープンしました。その名も「西安ビャンビャン麵」。あの漢字の「ビャン」もしっかりとあしらわれております。

 

Dsc_12112_copy_600x880 さっそく大江戸が食べてみたのは、人気商品だという「麻辣牛肉ビャンビャン麵」。なんかテッパンな気がしますね。

Dsc_12113_copy_877x600 しかーし、さにあらず。この店、従業員さんをはじめディープなネイティブ系ガチ中華のようでして、なかなか日本人の舌に合いにくい味なのです。

Dsc_12123_copy_734x600 つまり、全体的にワイルドで、だしが効いてない(コクとかマイルドさがない)お味。牛肉もゴロンとした塊が無造作に入ってる感じで、味付けはナシ。なかなか手ごわい感じです。幅広麺もそれほどコシがあるわけでもなく、「これなら麻辣刀削麺の方が(コシが強くて)いいじゃん」って思いました。

 

Dsc_12122_copy_1047x768 お店の壁には「ビャンビャン麵の由来」なるボードが貼ってありました。あれって、麺を打つ音に由来してるんですよね。

お勘定の時に「私はビャンの字が書けるんですよ(正しい書き順で書けるんですよ)」と日中友好を図りたかったのですが、別のお客さんも待っていたのでやめました。

 

Dsc_12284_copy_800x522_1 で、後日もう一度確認せねばと再訪し、今度は「黒ごま担々麺」を頼みました。麺はもちろんビャンビャン麵です。で、やっぱり同じような感想でした。なんか「優しさ」とは対極に位置するような厳しい味わい。具材の食感や風味もなんだか険しいのです。その割にはやはり麺のコシが弱くて頼りない感じ。

「でもこれが本場のビャンビャン麵なんだ。こういうものなんだ。」と言われればその通りなのかも知れませんが、残念ながら大江戸の味覚には今一つ二つ合わないのでありました。

 

 

 

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2022年12月27日 (火)

「RRR」:濃さとパワーに脱帽    #RRR #アールアールアール #インド映画 

1_20221227233601 インド映画『RRR』は公式では3時間8分とか9分のはずなのですが、実測では3時間をちょっと切るぐらいでした。途中で「インターバル」と出ても休憩を入れないで上映していたので、休憩込みの上映時間を示していたのかもですね。

いやー、濃い! 久々に観たインド娯楽映画ですが、もう胸焼けがしそうに濃くって、笑っちゃいます。その荒唐無稽さに、マスク越しに声を出して笑っちゃった場面がいくつもありました。もう終始パワフル過ぎて、観終えるとぐったりしてしまいます。

例によって濃い顔のヒゲ男二人が繰り広げる、勇気と友情と愛と怒りと笑いとアクションとミュージカルと…とにかく全部乗せのド派手巨編です。そのサービス精神旺盛なこと!  悪者はとにかく悪くて、正義はとにかく正義。わかりやすく我々の血潮をたぎらせてくれます。

しかも肉体を使ったアクションの激しいこと激しいこと。マーベルやDCの作品なんか、その娯楽性やスペクタクル性において、完全に負けてますよ。川にかかる橋を使った一大アクション場面なんて、その迫力やパワーの凄さに、あっけにとられつつ感動してしまいました。猛獣たちを使った派手な集団バトルも「さすがインド」って感じで圧巻でした。

植民地宗主国であるイギリスは完全に悪者。そのラスボスは、セルティック(その前は横浜Fマリノス)のポステゴグルー監督によく似ておりました。

インド映画のパワーに脱帽です。でも小生は昔観た『ムトゥ 踊るマハラジャ』のょうな明るく楽しい世界の方が好きですけどね。

 

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2022年12月26日 (月)

「死ぬまでに観たい映画1001本」(第五版)    #死ぬまでに観たい映画 #死ぬまでに観たい映画1001本 #映画の本

Dsc_12284_copy_725x1024 この『死ぬまでに観たい映画1001本』(ネコ・パブリッシング)は2003年末に初版が発刊された時から書店で見かけてはきになっていたのですが、20年近くたって第五版(この9月の発売)になって、ようやく買いました。まあ、あんまり好きじゃない作品が表紙になってたりすると、今一つ買いたくなくなっちゃうんでね。その点、今回は『2001年宇宙の旅』なので、相手にとって不足なしというか、「2001年で1001本」で何となくブラボーなので(?)買っちゃいました。

厚いですよー。重いですよー。筋トレにも使えそうです。実測で(空気で広がらないように押さえつけながら測って)58mmほどの厚さ。体重計で差し引きで測って2.1kg。960ページ+表紙・見返し。しかもオールカラー。堂々たるものです。これで5,500円(税込)はむしろ安いです。1作品あたり5円ほどですからね。

Dsc_12295_copy_1024x745 原題は“1001 MOVIES  You Must See before You Die”。スティーブン・ジェイ・シュナイダーという方の総編集ってことで、この人のセレクトした1001本が載ってます。版を重ねるごとに新しい作品が追加されていくので、当然落ちていく作品も出るわけです。ぱらぱらと見た中では、ワイラーの『噂の二人』やヴィスコンティの『ベニスに死す』やリーンの『ライアンの娘』あたりが抜けているのが、困ったもんだって感じです。

時系列の編年体ですので、1902年の『月世界旅行』から2021年の『コーダ あいのうた』まで120年分を納めています。世界の映画が対象なので、『羅生門』『東京物語』から『ドライブ・マイ・カー』まで、日本映画も時々入ってます。三池崇史の『オーディション』まで入っていたのには驚きましたし、高畑勲の『火垂るの墓』が入っていたのはちょっと嬉しかったですね。Dsc_12304_copy_1024x722

寝る前に毎日1作ずつ読んだとしても、3年近くかかるわけですから、かなり読みでがあります。楽しみなような恐ろしいような…。でもいい本です。バイブルです。映画好きの人には、勢いで買っちゃうことをお勧めします(プレゼントにも好適です)。

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2022年12月25日 (日)

「ケイコ 目を澄ませて」:役者を活かす三宅唱演出    #ケイコ目を澄ませて #岸井ゆきの #三浦友和 #三宅唱

1-1_20221225222401 映画『ケイコ 目を澄ませて』は、全編16㎜で撮られています。16㎜特有のざらつきは感じられないほどきれいな映像なのですが、でも闇の暗さに弱かったり、独特なルックと味わいになっています。

女性ボクサーの映画というと、安藤サクラが神がかり演技を見せた『百円の恋』が思い浮かびますが、本作の岸井ゆきのも、負けず劣らず瞠目させてくれます。時間をかけてしっかり練習したんだろうなあと思わせるジムでの練習シーンの技量。表情も雰囲気も、いつもの岸井ゆきのとは違います。普段から達者な人ではありますが、ここでは全身から「ケイコ」の匂いが出ています。

彼女以外にも、役者がみんな素晴らしくて感動的です。最近の三浦友和は枯れた味わいが良いのですけれど、本作もその例外ではないどころか、にじみ出るケイコへの深い愛が見事に表現されています。(以降少々ネタバレあり) そう、門下生への愛情ってもんではなくて、ケイコと会長の間にははっきりと「愛」があり、映画としてそれを描く手腕(読み取る気で観ていくと、読み取れるように)が見事なのです。

ジムのトレーナー役の三浦誠己も、会長夫人役の仙道敦子(いい感じに年を重ねていてびっくり。誰かと思いましたよ)も、いい味出してました。三宅唱監督は、役者を活かしますねえ。

オープニングの「文字を書く音」から、エンドクレジットにかぶる「東京の街や大気の音」まで、音が重要な映画でもあります。それはこの世界の音だけど、ケイコが耳にすることのできない音でもあるのです。これからも彼女はそういった音に「目を澄ませて」いくのでしょう。

 

 

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2022年12月24日 (土)

「チーム・ジンバブエのソムリエたち」:ワイン版「クール・ランニング」    #チームジンバブエのソムリエたち #ブラインドテイスティング 

1_20221224232301 映画『チーム・ジンバブエのソムリエたち』は、ウソのようなホントのドキュメンタリー。過酷で危険なジンバブエから南アフリカに逃げてきた難民たちがワインに目覚め、4年ほどの猛訓練の末にフランスのブラインド・テイスティング・コンテストに「チーム・ジンバブエ」として出場するという驚くべき実話を追っていきます。何しろ白人社会のものであるワインの大会に、唯一黒人だけのチームとして出場したのですから。

ここで描かれるブラインド・テイスティングはスポーツのようであり、「ワイン版『クール・ランニング』だな」と思ったら、広告コピーにもそう書いてありました。ドキュメンタリーなのに劇映画のような気すらしてくるのは、一人一人のキャラクターが(脇の人物も含めて)立っているからでしょうか。

それにしても4年やそこらでよくブラインド・テイスティングなんてできますよね。大江戸なんか細く長く飲み続けていても、典型的なセパージュ(ブドウの品種)を当てるのが精一杯で、その先はかなり難しいと思います(まあ、国や地域でわかりやすいものもありますが)。ニュー・ワールドまで含めると、かなり似た風味なのに違う国ってこともありますからね。だからヴィンテージ(生産年)を当てるなんてのは、信じられません。よくぞそこまで!

(以降ネタバレあり) 大会用に雇ったフランス人コーチがすっごいクセの強いおっさんで、この人が大会前の練習でちゃんと機能せず、大会本番でチームの足を引っ張り、混乱の渦に叩き込みました。観ていて腹が立つような、「こういう人、いるんだよねー」って感じの人でした。で、笑っちゃうのがラストシーンの後のおまけ映像。翌年、このコーチ抜きで大会に再チャレンジしたら・・・。もう、いったい何だったんだよー!

 

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2022年12月23日 (金)

PETボトルや缶のコーヒー    #コスタコーヒー #ジョージア贅沢クリーミーカフェゼロ #タリーズバリスタズカプチーノ

Dsc_1201_copy_768x1365 コスタコーヒーはやっぱりおいしいですね。高いだけのことはあります。でもシネコンのコンセッションだとカフェラテで500円もするので、ちょっといかがなものかと思っちゃいますけどね。その点、コンビニや自販機で売ってるやつは、高いと言っても170円とか180円とかなんで、まあ許せるのであります。

で、そのPETボトルのシリーズにいつの間にか加わっていたのが『ラテエスプレッソ』。まあ、定番の『カフェラテ』よりもコーヒー分が濃くてほろ苦いいってことなんでしょうね。もちろん悪くはないんですけど、大江戸の好みとしては『カフェラテ』の方が上ですね。ミルク感とコクのバランスが良いのです。

 

Dsc_12152_copy_600x991 同じコカ・コーラ社の販売する「ジョージア」は、缶&ボトル・コーヒーの中では、ボスやファイアーやワンダよりもずっと高く評価している大江戸です。しかし、こいつはいただけませんでしたね。『贅沢クリーミーカフェ ZERO』。糖類・砂糖ゼロだそうです。

でもお味の方が、うーん、極めてずいまー!です。コーヒー味もミルク味も、どちらも「へんな味」と呼ぶのがふさわしい感じなっておりまして、いやー、頑張って半分飲むのが精いっぱいでした。信頼のジョージア・ブランドを傷つけてくれちゃいました。まいったな。おまけにクリーミーカフェなのに糖類とかがゼロって、なんか悪い甘味料を使ってるんじゃないかと心配になってしまいます。

 

Dsc_12122_copy_768x1165 で、気を取り直して間違いなくおいしいやつ。伊藤園の『タリーズコーヒー BARISTA’Sカプチーノ』。180mlの小ぶりの缶ですが、こいつは数年来の小生のごひいきです。コクとミルク感とシナモンとちょうどいい甘さ。こりゃいい品もんです。←だじゃれ ちびちび飲む、その一口ごとがしみじみおいしいのです。

甘過ぎないし、量が少なめなので「罪悪感」もありません。だてにタリーズのマークつけてませんね。大江戸はシナモン好きなので、こういう系統のカプチーノドリンクがもっと出回ってもいいなじゃないかと思っております。

 

それはそうと、冬場なのに赤い「HOT」ではなくて青い「COLD」でコーヒーとか売ってる自販機って、バカですね。たいていは青の段と赤の段がミックスになっているのですが、お茶とか含めて全部赤で良し! 寒がりの大江戸としては冬場にコールドで缶コーヒー飲む人の気が知れません。人生で2回ぐらい、冬場の自販機で間違えて冷たいのwを買っちゃったことがある大江戸なのでした(あったかいのを買い直しましたとも!)。

 

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2022年12月22日 (木)

「あのこと」:辛くて痛くて衝撃的    #あのこと #アニーエルノー #オードレイディヴァン #アナマリアバルトロメイ

1_20221222134901 映画『あのこと』は、1960年代フランスを舞台に、ある女子大生の予期せぬ妊娠からの苦闘の日々を描いた力作。いや、まいりました。男の小生でも主人公に同化して、彼女と一緒に心と体の痛みを体験してしまうような映画。重いです。辛いです。

ただ、現代にもつながるメッセージとして真摯に作られたこの作品の持つ力は、只事ではありません。どんどん画面から目が離せなくなります。そして独りで試みる堕胎のためのあれこれや、闇の堕胎師との描写や、終盤の衝撃場面など、かなり具体的に映像で見せていきます。そこに観客を追い詰めるほどの辛さと痛さ、「逃げるな!目をそらすな!」というパワーが感じられます。

それにしても、強いメッセージを発しております。一つには今も妊娠中絶を認めない国や地域や宗教があることへの異議申し立てであり、もう一つは若年層への「ちゃんと避妊しないと、女性は大変なことになるのですよ」という教育的忠告。これ、中高大生に学校で観せるべき作品なんじゃないかって気がします。でも観たら、トラウマ必至でしょうねえ。

これまでの類似テーマの映画のように生易しくはありません。女性の原作者(この秋ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノー)、女性の監督(オードレイ・ディヴァン)、主演女優(平愛梨のようなアナマリア・バルトロメイ)の真剣な思いが、観る者に突き刺さります。大江戸にとっても、決して忘れられない一作となりました。

 

 

 

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2022年12月21日 (水)

「殺しを呼ぶ卵」:謎の養鶏サスペンス怪作    #殺しを呼ぶ卵 #映画史上唯一の養鶏サスペンス #トンデモ映画

1_20221221222601 映画『殺しを呼ぶ卵(最長版)』(1968年)は、タイトルすら知らなかったイタリア映画の珍品。「最長版」(これも初めて聞いた)ってことで、なぜか再公開されております。キャッチコピーに「映画史上唯一の養鶏サスペンス」とあります。そりゃそうでしょうね。それにしてもタイトルからして笑っちゃいます。

怪作です。トンデモ映画です。鶏卵や鶏肉の業界が舞台になっております。そこで三角関係をめぐるどうでもいいような本筋にからませて、猟奇テイストだのバイオホラーだの資本社会の闇だのがおざなりに描かれます。その描写がとにかくヘタで、ストーリーが全然伝わりません。後からネットで調べて、ああ、こういう物語だったのかと驚いた次第。てか、そういう風に描けてないじゃん。まるでエド・ウッドが作った映画みたいにヘタです。でもジュリオ・クェスティ監督はそんなこと全然気にせずに、アヴァンギャルドに突き進みます。

序盤からして、学生の自主映画みたいなショットと編集でした。気合の入った大切な場面ほど、わけがわからなくなります。きっと客観性のない人なんでしょうね、監督さん。いやー、ドイヒーです。ジャン=ルイ・トランテイニャンやジーナ・ロロブリジーダがよく出演したもんです。

肝腎のクライマックスからラストにかけても、説明不足というか描写力不足というか、必要なカットがなくて伝えたいことが伝えられていないので、??? 後世に語れる貴重な鑑賞経験となりました。

それはそうと、この宣材のキービジュアルである交通事故の場面って、映画の本筋とは何の関係もない回想シーンなんですよね(演出が唐突なので、回想シーンであることすらよくわからなかった)。一番派手だから使ってるんでしょうけど、変なの。

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2022年12月20日 (火)

(番外編)「江口寿史イラストレーション展 彼女」@千葉県美    #江口寿史 #江口寿史イラストレーション展彼女 #江口寿史彼女 #千葉県立美術館 #パパリンコ物語

Dsc_12243_copy_962x576 『江口寿史イラストレーション展 彼女』(~1/15)を、千葉みなと駅下車の千葉県立美術館で観ました。以前より「観たいなあ」と思っていた展覧会の関東初開催。千葉県は江口さんの故郷ですからねえ(『すすめ!!パイレーツ』は千葉パイレーツ)。

Dsc_12263_copy_869x576 ’70年代後半から現在に至る江口寿史45年のイラストレーション約500点を揃えた展覧会。

おまけに千葉会場では、『すすめ!!パイレーツ』の生原稿なども特別展示しておりました。

 

Dsc_12273_copy_1024x535 結論として、「いやー、千葉まで行って良かった。本当にいいもん見せてもらった!」って感じ。

Dsc_12284_copy_576x889 江口さんの絵は、いつ見ても良いです。とにかく女性、とりわけ「おんなのこ」たちを、ひたすらかわいく描いております。

Dsc_12293_copy_576x773 そしてファッショナブル。ご本人も言っているように、ハイファッションではなく、ヌケ感のある普段着カジュアルがこの上なくオシャレに描かれているのです。

 

Dsc_12303_copy_576x751 このメガネっ娘の『パパリンコ物語』。ほんの数話で休筆となり、復活しなかった伝説の作品。大江戸は、ミスドの『パパリンコ物語』グラスをいくつか持っております。

 

Dsc_12313_copy_576x920 最新のうさぎ年用イラストもカワユス。江口さん、めっちゃ絵が上手に見えるんだけど、もともとはヘタで、それが3年ぐらいの間にやたらと上達したんですよね。

 

Dsc_12323_copy_576x796 例の芦川いづみさんのイラストもありましたよ。いいですねえ。江口さんも大江戸も芦川さんのファンです。

 

Dsc_12333_copy_655x576_20221220225201 「女に生まれなかった悔しさが、絵の原動力になっている。」なんて言葉もありました。これは江口作品を読み解く上で、結構重要なキーワードですね。

 

Dsc_12342_copy_1024x576

500点もあるんで、かなり見ごたえがあります。千葉県美の広い会場を使って、しっかり見せてましたが、単調にならないよう、展示にも工夫が凝らしてありました。

 

Dsc_12382_copy_1024x576 この連作は、数年前に吉祥寺のサンロードでバナーになっているのを見ました。女の子たちの全身像。

Dsc_12392_copy_1024x576 こういうの見てると、江口イラストは後世にファッションや風俗の貴重な資料になるよなあと思ってしまいます。カラーもステキだけど、モノクロもステキですね。

Dsc_12353_copy_576x769 江口さんの描く女の子の絵を見てると、とても幸せな気分になります。線の魅力、表情の魅力、キレイな色に、すてきなファッション。まさに眼福!

 

Dsc_12373_copy_576x856 今年の夏に(一旦)日本から消えたアンナ・ミラーズへの愛を込めた1枚も。

 

Dsc_12403_copy_859x576 ワイン雑誌(季刊)の年4回の仕事も70回を超えたそうで、これまた完成度が高いんです。

 

Dsc_12413_copy_835x576 最後のコーナーには、これまでの他会場で描いてきた公募女性モデルのイラストがずらり。また、そのライブ描画の動画も流れていました。なるほど、こう描くのかあ。

ちなみに入場料金は大人500円。1点あたり1円ってことで、コスパも最強。

ああ、江口寿史と同じ時代を生きて良かったとさえ思わせる展覧会なのでありました。

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2022年12月19日 (月)

W杯、歴史に残る決勝で閉幕    #ワールドカップ #ワールドカップ決勝 #アルゼンチン対フランス #フットボールの頂点 #影山優佳

Dsc_12233_copy_600x9172 FIFAワールドカップ2022カタール大会が、閉幕しました。決勝のアルゼンチン対フランスは、0時のキックオフから3時間近くかかってようやく決着のついた世紀の熱戦でした。最後の最後まで両チームが最高レベルのせめぎ合いで、攻守にわたり奇跡のようなプレイの連続。まさに、フットボールの頂点を見せてくれました。

だって、誰が想像できたでしょう、前半2-0にしたアルゼンチンが、後半35分までそのままリードを保っていたアルゼンチンが、たった2分ほどで同点にされてしまうとは! そして、延長後半にメッシのゴールで2-3とされたフランスが、それでもまた追いついて結局3-3のドローになろうとは! 結局はPK戦でアルゼンチンが優勝チームとなったわけですが、これはもう、どちらも優勝ですよ。延長後半のそのまたアディショナルタイムにも、両チーム一つずつの決定的チャンス!があったし。しっぽの先まであんこの入ったたい焼きのように充実した試合でした。

得点も、得点を防いだプレイも、本当にレベルが高くて、奇跡がいっぱい。ワールドカップ決勝にふさわしいクォリティの高さでしたし、「うーん、やっぱり日本とはレベルが違い過ぎる」と思ったものでした。メッシもエムバペも、センス・オブ・ワンダーに満ちた超人的なプレイを見せ続けてくれました。

今大会は、日本の大活躍のみならず、いつも以上に驚きと感動に満ちた予想外だらけのすごい大会でした。ドラマチックでした。それだけに、次回大会からの48チームへの拡大が心配でなりません。

大会を通して、クロアチアは本当に強い、勝てるチームでしたし、モドリッチは最後まで素晴らしかった。そしてモロッコもベスト4にふさわしい、うまくて強いチームでした。日本はまだまだモロッコのレベルには達していません。これからです。いずれにしても、2022カタール大会は、随分と楽しませていただきました。ありがとうございました。

そして、日本メディアのMVPは、(本田圭佑なんかじゃなくて)影山優佳ですね。神予想もすべて試合結果を的中させてるし、それ以上にコメントや分析が的確だし、何よりも「サッカー愛」が深いし。大江戸は尊敬の念を抱きながら、賞賛を送ります(数年前からリスペクトしております)。ブラボー!

 

 

 

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2022年12月18日 (日)

「鎌倉殿の13人」が完結    #鎌倉殿の13人 #三谷幸喜 #小栗旬 #大河ドラマ

NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が最終回を迎えました。いやー、面白かった。三谷幸喜の大河は『新選組!』『真田丸』に続いて3作目ですが、だんだん時代がさかのぼってますね。このままいけば、そのうち『ヤマトタケル』とかやるのかしらん?

歴史に弱い大江戸は、3~4月ごろまではこの世界や人物を捉えるのに苦労して、どうにもよくわからなかったし、面白いと思えませんでした。しかーし、その後はどんどん面白くなっていき、折り返し地点(つまり頼朝の死ですね)あたりからは、むっちゃ面白い状態が最後まで盛り上がっていきました。それは主人公・北条義時がどんどん悪く(冷酷に)なっていく過程であり、その経年変化を演じた小栗旬は実にあっぱれなピカレスクぶりなのでありました。

そう、本作はピカレスク・ロマンとして成功しておりまして、義時の他にも盟友・三浦義村(山本耕史)をはじめ悪い奴らが大勢出て来ます。そして、悪い女もたくさん出て来ます。マクベス夫人のようだったりく(宮沢りえ)とか本当に憎たらしかったのえ(菊地凛子)とか。強い女(巴御前とかトウとか)も。大量の登場人物のそれぞれにキャラが立っていて、血が通っておりました。さすがですね、三谷さん。それにしてもいっぱい死んだし、いっぱい殺されたなー。物騒な時代ですね。

でも三谷幸喜らしいユーモアも随所にあり、殺伐とした物語の中、ほほえましかったです。最終回の冒頭には、来年の大河『どうする家康』の主演=松本潤が家康として登場して、「どうすりゃいいんだ?」とか言ってましてからねー。

大江戸が観た大河の中ではベストの一作かも知れません。(以降ネタバレあり) 最終回に『ファントム・スレッド』が出て来るとは思いませんでしたねー(わかる人にはわかる)。そして、エンディングの黒地白抜きのスタッフリストにかぶる政子の嗚咽の声! お見事でした。

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2022年12月17日 (土)

「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」:ただただ長い    #アバター #アバターウェイオブウォーター #ジェームズキャメロン 

1_20221217230101 映画『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』は、本来3Dで観るべき作品なのでしょうが、しかも今回の3Dはハイ・フレーム・レート上映ってことで、通常24コマ/秒のところを48コマ/秒で撮影・上映するスクリーンもあるってことなのですが、大江戸は2Dで観ました。だって、3時間12分もあるんだもーん。目が死にかねないと思ったんだもーん。

13年ぶりの第2作となるのですが、大江戸は第1作にまったく惹かれなかったので、今回も何の期待もしておりませんでした。で、やっぱり感想は「つまらないなー。長いなー。」に尽きました。最初から最後までアクション場面の連続で、物語は大したことなくて、とにかく前半は眠かった。クジラのような巨大海獣が出て来たあたりからようやく面白くなってきたのですが、結局終盤も既視感アリ(『タイタニック』的な場面までありました)で大したことなかったのです。どうもジェームズ・キャメロンは『アバター』を5作まで作るのだそうですが、「もう勘弁してください」と言いたい気持ちです。

そもそもの根本として、なんでこんなに長い時間が必要なのかさっぱりわかりません。こんなの2時間あれば十分描けるではありませんか。同じような場面、同じようなアクションがたんまりあって、いくら凄くても「おなかいっぱいでもう食べられません」って感じ。なぜなのかをキャメロンに聞いてみたいですね。「若者が2時間も画面に集中して映画を観られない」とか言われている昨今なのに。まあ、今年68歳なのにこれだけ長くてパワフルなものを作れるのは凄いことだと思いますけど…。

水族館的な楽しみが得られる海中の描写はさすがでした。この部分は3Dで観ても良かったかなと思った次第。でも水と海中が大好きなキャメロン的映画としては、大江戸はむしろ『アビス』('89)の方を推しますけどね(あれは「夫婦映画」の名作であります)。

結局ケイト・ウィンスレットは誰を演じてたの?とか、シガニー・ウィーバーが実は14歳少女の役も演じていたとか、後から情報を読まないとわからないよー。それって、役者的にはOKなんですかね?

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2022年12月16日 (金)

「MEN 同じ顔の男たち」:怪作アート・ホラー    #メン同じ顔の男たち #MEN #映画メン #アレックスガーランド

1_20221216133501 映画『MEN 同じ顔の男たち』は、美的感覚に優れた『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランド監督の新作。A24であります。娯楽とアート性の両立ってことにおいて、実にA24らしい作品です。でも、かなりの怪作なのでありました。

なかなかコワイですよ、これ。最近ないタイプのじんわりぞくぞく系ホラー。美しい田舎のカントリーハウス内外で繰り広げられる審美的で静けさに満ちた恐怖譚。静かな田舎であんな広い家に1人で住むなんて、ムリですよね。コワすぎます。でも終盤に至ると、恐怖の方も直接的かつファンタジー的になっていきます。そこらは評価の分かれるところでしょうね。

いずれにしても、映像の美しさは特筆すべきものです。あの草木の緑の美しいこと。花の色や果実の色も幻想的なまでですし、それらと深い闇との対比もなかなかです。

(以降少々ネタバレあり) 邦題のサブタイトルに「同じ顔の男たち」とあるのですが、その気で見てると「ああ、この人同じ顔なのね」と思いますが、知らずに見ていたら普通に見過ごしてしまいそうです。それぐらい、違うと言えば違う顔に見えていた大江戸は変ですかね?だって、髪型はじめ、いろいろと違い過ぎますもん。

それもこれもヒロインの男性恐怖、男性嫌悪のなせる技なのでしょうけれど、それにしてもこのラストにはあっけにとられますね。なんなんだこれ? クローネンバーグですか? メタファーを読み取れるような読み取れないような…。 まあ、デイヴィッド・クローネンバーグのみならず、全編にわたってデイヴィッド・リンチとかラース・フォン・トリアーとかスタンリー・キューブリックとかの影響が感じられます。そんな所も含めて、「アート・ホラー」と呼ぶにふさわしい“怪作”でありました。

 

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2022年12月15日 (木)

寒いけどアイスあれこれ    #ラミーチョコアイス #牧場しぼり北海道産十勝あずき #パリッテ #チョコバッキー #あいすまんじゅうカヌレ

Dsc_11482_copy_724x586_20221215215101  寒いっすね。でも(いやがらせではありませんが)やっちゃいます、アイス特集。

まずはロッテの『Rummy ラミー・チョコアイス』。あの洋酒チョコナンバーワンの『ラミー』のアイス版です。これはさすがに『ラミー』です。

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ラム酒の濃さがかなりのもんですよ(アルコール分1.9%ですが、それ以上に感じられます)。チョコもなかなか質がよろしいですね。

 

Dsc_11933_copy_800x620 続くはグリコの『牧場しぼり 北海道産十勝あずき』。「しぼって3日以内の国産生乳使用」だそうです。全体的にバランスがよく、悪くないです。おいしいです。

 

Dsc_1141_copy_768x1365 同じくグリコの『パリッテ』。バニラ&ショコラです。カカオポリフェノール170mg入りでもあります。Dsc_1143_copy_768x1365 パリパリチョコが中までしっかり入っております。ワッフルコーンを含めて、しっかりした商品ですね。

 

Dsc_12113_copy_1365x670 で、パリパリアイス系ではこちらもはずせない、シャトレーゼの『リッチ チョコバッキー 発酵バター』。「リッ」がつくぐらいなので、上級品なのでしょう。発酵バターってのがいいじゃないですか。コクが出ます。悪くないですね。

 

Dsc_12103_copy_800x475 最後に、福岡県久留米市・丸永製菓の『あいすまんじゅう カヌレ』です。これがなかなかどうして、外見がカヌレ。そして、チョコがカラメル風味で、カヌレを感じさせますし、中にはカスタードあんもはいっているのです。Dsc_12115_copy_584x475 けっこういい感じに再現しておりますね。

 

てなわけで、アイス界も手を変え品を変え新たなチャレンジを続けているようであります。

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2022年12月14日 (水)

「夜、鳥たちが啼く」:暗さと湿り気とほの明るさ    #夜鳥たちが啼く #山田裕貴 #松本まりか #城定秀夫 #高田亮

1_20221214225001 映画『夜、鳥たちが啼く』は、日本の映画屋さんたちがみんな大好きな佐藤泰志原作。2010年の『海炭市叙景』以降、『そこのみにて光り輝く』『オーバー・フェンス』『きみの鳥はうたえる』『草の響き』と、過去の佐藤原作作品はすべてベストテン級の高評価を得てますからねえ。で、城定秀夫監督による本作も、しっかり高レベルに仕上がってました。

脚本は高田亮。高田が佐藤泰志作品を手掛けるのは、『そこのみにて光り輝く』『オーバー・フェンス』に次いで3本目です。相性が良いのでしょうね。脚本も演出も、佐藤原作らしい「やりきれない暗さ」を描きながら、ほの明るさもところどころ差し込んでおります。

主要登場人物はほぼ一家三人。せいぜいそこに一人二人追加される程度です。低予算なのでしょうね。でも安さを感じさせない「質」があります。撮影も(城定作品『愛なのに』を撮った)渡邊雅紀による映像の透明な空気感と湿り気が悪くありません。

山田裕貴も松本まりかも、そのパブリック・イメージ以上にしっかりした演技で、この世界になじんでおりました。特に松本まりかは、「あの声で大丈夫なんだろうか、この役?」と思っていたのですが、ぜんぜん大丈夫でした。子どもへの愛情から、性への渇望までを的確に精妙に演じておりました。

作品中にこれだけ瓶ビールが出て来る映画ってのも、今日びありません。確かにこの作品世界では、缶よりも瓶の方がさまになりますよね(そして、瓶の方がおいしいんです)。グラスで飲むところがいいんです。

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2022年12月13日 (火)

「国宝 東京国立博物館のすべて」@東博    #国宝展 #国宝東京国立博物館のすべて #東博 #150年後もお待ちしています

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東京国立博物館(東博)で展覧会『国宝 東京国立博物館のすべて』を鑑賞。それほど長い会期ではなかったもので、なんだかんだと行き遅れてしまい、終盤になってようやく予約しようと思ったらもう全日完売。ご縁がなかったものとあきらめていたら、まさかの1週間会期延長!(しかも連日夜8時まで)   今度は販売開始まもなくに予約して、本日上野に赴いた次第。館としてもできるだけ多くの人の願いに応えようとの思いと作品保護の観点と両面から考えて、なかなか大変だったことと思いますが、よくぞあれこれを乗り越えて延長してくれました!と感謝感謝。

日時指定制なのでめちゃめちゃ混んでるわけではありませんでしたが、これ以上人がいると観にくい。いや、場所によってはこれでも観にくい、ってぐらいの混み具合。そこらも多くの人に見せてあげたい、でも作品を観られないようでは本末転倒って中でギリギリの人数を探った末の定員なのだろうなあって気がしました。

広告コピーに「すべて公開。」「史上初、所蔵する国宝89件を公開。」とあるように、東博が持ってる89件の国宝を全部見せちゃうという150年の歴史で初めての企画。もちろん作品保護のため、会期中の展示替えはいろいろ行いますので、一度で全作品を観ることはできません。絵画の目玉も少ないのが、ちょっと残念。長谷川等伯『松林図屏風』や狩野永徳『檜図屏風』などの超目玉は展示が終わっちゃってましたからねえ。『洛中洛外図屏風』ぐらいでしょうか。

そして「書跡」、つまり手紙やら和歌やらの文字を見るための巻物などの展示がやけに多くて、あれって展示としてはかなり地味だし「人を選ぶ」ので、文字への造詣がほとんどない大江戸としては、かなり飛ばし見をしました。

多いといえば「刀剣」セクションもかなり多くて、19作品。まあ展示替えの必要はありませんからね。でもみんな刀身だけで、柄や鍔や鞘がないので、大江戸なんかには「みんな同じ」に見えてしまいます。それにしても、刀って突き詰めれば人を斬るための道具(凶器)なので、それをこのように有難がって「ふむふむ」と鑑賞するってのも、相当変な気もいたします。

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で、この展覧会のユニークな所は、(国宝だけだと平成館の広い展示スペースが余ってしまうこともあり)国宝の展示が終わった後に第2部『東京国立博物館の150年』という展示がついていること。こちらには、重要文化財や重要美術品も数多く展示されており、むしろこっちの方が楽しいし見ごたえもあります。大江戸はかねてより「国宝よりも重文、重美の方がいい作品(自分にフィットする作品)が多い」と思っているのですが、はからずもそれが証明された感じです。なにしろキリンの剥製(今は科学博物館にある)とか安本亀八の生人形まで展示されておりましたもん。

年間展示可能日数の関係で、尾形光琳の『風神雷神図屏風』や菱川師宣の『見返り美人図』などは、「コピー」表示をつけてレプリカを展示しておりました(本会期には、本物を展示していたようです)。

Dsc_12132_copy_1024x625 その『見返り美人』(コピー)と、平安時代の『金剛力士像』が展覧会の最後を飾ります。後者は今年東博に収蔵されたばかりの初お披露目。この二つだけは撮影OKだったのですが、いやー、力士像、さすがの迫力と貫禄です。でかいし。

Dsc_12113_copy_625x836 会場出口と東博外壁には、ご覧のような「150年後もお待ちしています。」のボードが。「いやー、そう言われても、生きてねーし。」と誰もが思ったことでありましょう。

 

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2022年12月12日 (月)

「宮松と山下」:ひっそりとアイデンティティ哲学    #宮松と山下 #香川照之 

1_20221212223601 映画『宮松と山下』は、ほとんど「市川崑かよっ!」って感じの瓦屋根ショットの積み重ねからスタートします。監督集団「5月」(佐藤雅彦・関友太郎・平瀬謙太朗)による作品(監督・脚本・編集)。かなり渋いけど、かなり実験的な作風でもあり、なかなかの映画作品です。

まだ騒動のほとぼりも冷め切らない香川照之主演ってこともあってか、ひっそりと公開されています。映画自体もひっそりとしたトーンを持っています。そして音楽や映像が不安をかき立てます。香川照之の表情もやはり不安をかき立てます。

(以降少々ネタバレあり) 虚と実が入り乱れています。映像作品のエキストラとしての主人公が、オフのプライベート空間にいるのかと思いきや、それもエキストラ仕事の一つだった…というような軽く驚く描写がいくつも出て来ます。そういった虚実と記憶喪失を絡めながら、人間のアイデンティティに迫っていきます。哲学的です。しかも、そのあたりの手触りは、ぬるっと不気味です。

映像作品作りの舞台裏みたいな描写も、リアルで楽しめるものでした。映像も細部もしっかりしている作品なので、信用が置けます。香川照之はもとより、津田寛治も中越典子もいい味出してました(尾美としのりはいつも通り)。

でも秀作には至っておりませんね。「映画をよくわかってる」って感じられるし、かなりユニークなんだけど、あと少しヒューマンな味わいも増量してもらいたかった気がします。

 

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2022年12月11日 (日)

「すずめの戸締まり」:「絵の力」と「物語の力」    #すずめの戸締まり #新海誠 

1_20221211231501 映画『すずめの戸締まり』は、新海誠監督作品として『君の名は。』『天気の子』以上に気に入りました。堂々たる名作です。

とにかくアニメーションとして、その絵で眼福を提供してくれます。「絵の力」があります。色彩の美しさ。風景の素晴らしい描写。中でも東京の街には感嘆しました。前2作以上に感嘆しました。 そして、禍々しい「ミミズ」の描写や椅子の動き、空中浮遊描写など、アニメーションならではの素晴らしい表現をたっぷり見せてくれます。

しかし、それ以上なのが「物語の力」。シンプルに物語の面白さで引っ張っていきます。1シーンもダレ場がなく、見事なものです。単純に面白くってワクワクハラハラします。そして、ロード・ムービーにもなっていて、その魅力にも溢れています。行く先々で触れ合う人々との交流の妙味。それが映画に厚みを持たせています。

Dsc_12145_copy_768x1092 ダイレクトに東日本大震災を描いて残そうとしたその意気や良し。もう11年たってるわけですから、こういうフィクションとして昇華させる試みは必要なのだと思いますし、それがここまでの完成度でできれば言うことなしです。それにしても「どこでもドア」みたいな扉だとか、カエルならぬ「椅子」に変えられた「王子様」とかのファンタスティックな仕掛けが、ごくごく自然に溶け込んでいるのもアニメーションならではの強みです。

妙にたっぷりな懐メロ(1970-80年代のニュー・ミュージックや歌謡曲)の使用は監督の趣味なんでしょうか? あれだけ使った意味がちょっと??でしたが…。

Dsc_12104_copy_600x838_20221211235001 新宿のバルト9で観たのですが、ロビーにはあの扉がありました。そして、(これは全国でやってるようですが)来場者プレゼントで『新海誠本2』なるB5版20ページのブックレットをくれました。太っ腹ですね。

 

 

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2022年12月10日 (土)

「月の満ち欠け」:有村・目黒の恋愛パートはステキだけど…    #月の満ち欠け #廣木隆一 #有村架純 #目黒蓮 #早稲田松竹 #柴咲コウ

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映画『月の満ち欠け』は、またも廣木隆一監督作品。ここのところ毎週末に廣木隆一作品を観てます(『あちらにいる鬼』と『母性』と本作)。ただ、観た順に出来が悪くなっていきました。

(以降ネタバレあり) というわけで、本作はかなり欠点が多いと思います。交錯する時制が、ただ混乱を招いている気もします。そもそもこの映画で一番キモとなる「生まれ変わり」という設定が唐突すぎて、説得力を持って描かれていません。大江戸は特に「死後の世界」とか、そういったものを全然信じていないので、まったく興味を惹かれませんでした。それでも、この大泉洋の怒りんぼなリアクションには違和感を感じないわけにはいきません。生まれ変わりってことに対して、なんでそんなに怒るの??

一方、一番の美点はやはり有村架純と目黒蓮の恋愛パート。ここのみずみずしさと甘酸っぱさだけは、かなり心に響くものでした。むしろこっちのパートだけの作品だったら、『花束みたいな恋をした』と競えるレベルまで行ったかもしれないのに…。1980年ごろの高田馬場駅前の再現とか、神田川沿いでビールの場面とか、早稲田松竹とか、いいですねー。それはそうと、早稲田松竹の上映作で、『東京暮色』と『地球に落ちてきた男』の2本立てって、何??? あまりにもかけ離れて関連性のない2本なので、あっけにとられてしまいました。これ何か裏の意味でもあるの?

ジョン・レノンの『Woman』とヨーコ・オノの『Remember Love』、この2曲の良さに救われた部分もありますね。 そういうわけで、大泉パートなしだったら好きになれたのになあって作品でした(柴咲コウは、キレイでかわいかったけどね)。

それにしても田中圭、いつもいつもこんな役が多いですね。役柄のひどさが蓄積して、顔を見ると嫌悪感が走る大江戸です。事務所的には(本人的にも)それでいいのでしょうか?

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2022年12月 9日 (金)

どうした、森永    #森永アイス #チョコの森永アイス #チョコモナカジャンボ #森永チョコフレークバー #トリプルチョコモナカ #いちごチョコモナカ

Dsc_11552_copy_693x464 森永の名作ロングセラー『チョコモナカジャンボ』が、発売50周年ってことで、限定商品が出ております。センターチョコ増量ですと。まあ、言われないとわからないぐらいかと思うのですが、まずは喜ばしいことですし、変わらぬおいしさを誇っております。ま、大江戸は森永だと『板チョコアイス』の方が好きだってのは、前にも書きましたけどね。

しかーし、良いのはここまで。その後は「どうした、森永!?」ってお話。

 

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こちらの『森永チョコフレークバー』、まあ見ての通りの商品ですが、お味の方はねえ・・・ムムムです。チョコ自慢の森永アイスにしては、チョコがうまくないんです。まあ、チョコフレークのチョコのまんまといえば、そうなのでしょうけれど…。けっこう残念。

 

Dsc_11964_copy_800x480 で、こっちも森永の『トリプルチョコモナカ』。外側のチョコモナカとその下のチョコとセンターのチョコアイスでトリプルチョコ。でもその3つがことごとく大したことないんです。「チョコの森永」が泣くってもんですよね。もう少しチョコの分量を増やすべきではないかなあ。まことに残念。

 

Dsc_1203_copy_600x10672 そしてこっちは、その姉妹品で『いちごチョコモナカ』。うーん、味がぼんやりしてますね。何ともパンチの無い味。

実はこの二つのチョコモナカは、「まいばすけっと」で初めて見かけて買ったもの。スーパーやコンビニでは見たことがありません。お値段も抑えた商品だったので、やっぱり原価を低く抑えましたってことなんですかね。やっぱり食いもんは値段相応になりますからねえ。でも「チョコの森永」アイスというブランドを守るためには、そこんところしっかり整理して対処、改善した方がいいんじゃないでしょうかねえ。消費者としての願いでもあります。

 

 

 

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2022年12月 8日 (木)

「チケット・トゥ・パラダイス」:応援したいが不出来です    #チケットトゥパラダイス #ジョージクルーニー #ジュリアロバーツ #大人のラブコメ

1_20221207135101 映画『チケット・トゥ・パラダイス』は、久々に目にするハリウッド流大人のラブコメ。ジュリア・ロバーツ、ジョージ・クルーニーの二大スター共演で、リゾート地(バリ島)を舞台に、笑いと家族愛で見せる予定調和の娯楽作です。こういう作品、もとも減っていたのに、コロナでほとんどなくなっちゃいましたから、復活は喜ばしいですね。

しかし、作品のクォリティはイマイチイマニ。ゆるゆるすぎます。1時間半で十分なネタを1時間44分にしているので、テンポが悪くて閉口します。製作側が、この「タイパ」の時代に「1時間半じゃ短すぎて貫禄がない。入場料が割高になっちゃう。」とでも思っているとしたら、大間違いでありますよ。

そしてなんか垢抜けない。もっとソフィスティケーションがほしいところです。リゾート地が舞台だって、都会的な洒脱さというのは(名人なら)出せるものです。でもそういうのって、製作本数が少ないジャンルだと難しいですよね。脚本の問題であり、監督の問題でもあります。あのおバカなパイロットの描写なんて、あまりにも安直、あまりにも軽薄です。

ジョージとロバくんのケンカ友達ぶりというか、腐れ縁の掛け合いは悪くありません。ハリウッドらしいスター・ムービー感が漂います。でも、ジュリアってもともと顔のパーツはかなり難ありだったんですが、年取ってそこらへんが目立つようになってきましたね(ルッキズムのネタなので、こんなこと書くのは適切ではないのでしょうが、どうしても往年の輝きとのギャップが気になってしまいます)。そこはやっぱり(少なくともまだ現時点では)女優の難しいところなのであります。

 

 

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2022年12月 7日 (水)

「の方へ、流れる」:フランス映画のような東京映画    #の方へ流れる #唐田えりか #東京映画 

1_20221207222501 映画『の方へ、流れる』は、62分の中編。でも、もっとそれぐらいの長さの作品が増えてもいいと思います。それぐらいの長さで描くのがちょうどいい題材ってのもあるわけですから。

ようやく劇場公開作に復活の唐田えりか目当てで観たわけですが、オーディションで得たというこの役が何とも攻撃的で腹の立つキャラクターでして…。それと、例の騒動以降の彼女を思わせるような台詞もいろいろあって(偶然なのでしょうが)、そのあたりでも気が散ってしまいました。ただ唐田さんはフランス映画の女優のようで、健闘していたと思います。

そう、この作品はまさに1950~60年代のフランス映画を思わせるテイストなのです。清澄、深川、木場あたりを二人が歩き回るのですが、隅田川がセーヌ川に見えてました。東京がパリに見える映像感覚なのです。そしてダイアローグも直訳調というか、ちょっとスカシた台詞の応酬で、そこらへんに拒否反応を覚える人もいるんだろうなーと思いました。でも大江戸は、むしろ当時のフランス映画の影響下に生まれた日本映画の台詞みたいだなあと思います。あの時代の人たちって、この映画みたいな話し方をしてますもんねえ。そう思って見ると、遠藤雄弥が森雅之のニュアンスを放っていると気づきました。

更に本作は、優秀な東京映画でもあります。隅田川沿いの下町といいながら、今はとってもオシャレなあのエリアを、現代の生き生きとした東京として昼景~夜景をフィルムに、いや、データに(味気ない言い方だなあ)収めてあります。その風景の描き方が、東京人の大江戸としてはとてもしっくり来て、「しみじみいいなあ」って感じなのです。

そういえば、このタイトルは二つの名作を想起させます。一つは森田芳光の『の・ようなもの』。あの作品でも主人公が隅田川沿いを延々歩きました(千住の方から降りて来て浅草までなので、本作のエリアまでは来ていませんが)。 もう一本は成瀬巳喜男の『流れる』。あの映画にも、隅田川や清州橋が出ておりました。この二つほどの名作とはなりませんでした(特に、シニカルな終幕が今一つうまくいかなかったのでは?)が、素敵な東京映画にはなっておりました。

(追記)  大江戸は本作を池袋のシネマ・ロサで観たのですが、本編の前に東出昌大主演の『天上の花』の予告編がかかっておりました。うーむ。偶然でしょうけれど…

 

 

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2022年12月 6日 (火)

日本、今回もベスト16で終戦    #ワールドカップ #サッカー日本代表 #日本対クロアチア #町野脩斗 #忍法死んだふり

Dsc_11964_copy_600x10742 FIFAワールドカップ・カタール大会、日本チームの旅が終わりました。今回も4度目のベスト16止まり。ベスト8の高い壁はまたも崩せませんでした。あと少し。何とも惜しく、悔しい敗退です。

ベテラン揃いのクロアチア、やっぱり試合巧者ですね。そしてディフェンダーが滅法強かった。1対1では、必ず勝ってました。延長に入ってからは、無理をせずに堅く試合を終わらせてPK戦に持ち込んでました。しかしながらどちらが勝ってもおかしくなかった試合。1-1引き分けは妥当です。

それでも遠藤航はめっちゃ強かったですねー。守田や鎌田ともどもモドリッチにほとんど仕事させなかったし、あきれるほどのデュエル勝率の高さ。4年後は彼が全盛期をちょっと越えてしまうことが心配になって来ます。

PK戦に持ち込まれたところで勝負ありでした。120分の中で勝たねばいけない試合でした。オシムさんなら「2010年南アフリカ大会のパラグアイ戦の教訓を生かさなかったのか? リスクを冒して果実を掴み取りに行かなかったから、罰が当たったのだ」とか言いそうですよね。 それにしても、もうちょっとPK戦対策しといてくれよー。

フィールドプレイヤーで出場できなかったのは、柴崎と町野の二人。悔しいでしょうね。特に柴崎は、年齢的に今回が最後のチャンスだったでしょうから。町野脩斗は最後まで「秘密兵器」のままでした。さすがは忍者。もっともドイツ戦、スペイン戦でチームに「忍法死んだふり」を授けたのは町野だと思ってるんですけどね(4年後は頼むぞ!)。

グループステージからの4試合で考えると、日本は2勝1敗1分の勝ち点7。クロアチアは1勝3分の勝ち点6。勝ってます。 ちなみに韓国は1勝2敗1分の勝ち点4。オーストラリアは2勝2敗の勝ち点6です。強いぞ、日本。そして、4試合すべてブルーのホーム・ユニフォームで通せて、白いユニフォームの出番がなかったというのも、かつてなかったことです。珍しいねー。

さあ、これからは気楽に最高峰の試合を見て楽しみましょう。でも、早くも「日本代表ロス」な感じです。4年後までに、今のチームを超えるレベルにたどり着けるか? 絶対できますよ。あとは、今回の躍進によってまたサッカー人気、代表人気が復活してくれることと思います。それをこの先につなげるためにも、地上波テレビ局さん、頼みますよ!

 

 

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2022年12月 5日 (月)

「グリーン・ナイト」:絵づくりは完璧だけど、眠い    #グリーンナイト #デイヴィッドロウリー

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映画『グリーン・ナイト』は、あの蓮実重彦氏が「ショットが撮れている」と絶賛するデイヴィッド・ロウリー監督の新作。アーサー王伝説の映画化ってことで、中世の騎士のファンタジー物語です。

大江戸はファンタジーってやつも中世の騎士の世界も、どうにも苦手です。その世界観に全然惹かれることがなくて、ビジュアル的にも泥だらけ、ホコリだらけだし、剣や鎧は重そうだし、できれば勘弁してほしい世界なのです。宗教の締めつけもきつそうですし。しかもこの作品の描写は、静かに淡々としていて、ひどく眠気を誘います。眠りの魔法をかけられたのかと思いました。

それでも絵づくりは完璧。美しく、しかも映画的です。とりわけ騎士が馬に乗って荒野を進むいくつかの移動撮影の見事さといったら! また、中盤のガイコツが印象的な森の中の場面だとか、霧の中に巨人たちが浮かび上がる絵とかも、息をのむ素晴らしさでした。巨人の場面って、まさに『進撃の巨人』でしたよ。樋口真嗣版でがっかりした我々としては、改めてデイヴィッド・ロウリー版を作ってもらいたいぐらいです。

で、グリーン・ナイトさんですけど、これが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートが老成したみたいなじいさんでした(でもいろいろしゃべります)。逆に“I am the Green Knight.”しか言えなかったら、面白かったのにね。

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2022年12月 4日 (日)

ベレーザ、レジーナに0-1敗戦    #ベレーザ #beleza #ベレーザ対レジーナ #北村菜々美

Dsc_12033_copy_768x1088 ワールドカップさ中ではありますが、久々に試合を生観戦したくなって、味の素フィールド西が丘に日テレ 東京ヴェルディ ベレーザ 対 サンフレッチェ広島 レジーナを観に行きました。思ったほど寒くなかったので、スタジアムビールもいただきました。

Dsc00350 でもベレーザの試合内容はかなり寒かったですね。相性が良いはずのレジーナに、なかなか良い形が作れず、シュートも力の入ったものが少なかったです。結局は0-1でベレーザの敗戦。

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失点場面も、DFがぜんぜん甘いんで、楽に突破されちゃってます(ま、角度のないシュートも見事でしたが)。やっぱりベレーザの今のディフェンスは心もとないなあ。  プレスに弱いし、スピードもないし。

Dsc00349 逆に広島の守りは堅くて、植木も藤野も良いシュートを打てませんでした。もっとミドルとか打っても良かったんじゃないかなあ。

Dsc00341 今日の北村菜々美選手は3トップの左としてFWで先発し、69分までプレイ。球を失うプレイもあり、どうもパッとしなかったです。

Dsc00347-1 北村さんは先月の日本代表のスペイン遠征メンバーに選ばれたのですが、2試合とも出番なし。1分たりとてピッチに立てなかったのは、残念でした。でもそれをバネに、そして他の代表選手から受けた刺激で、WEリーグでガンガンやってくれると思っていたのですが、今日はさほどうまくはいきませんでした。

そして彼女はいつも長袖。周りはみんな半袖でしたが、今日も当然の長袖です。そして初めて見る鮮やかなオレンジのシューズが目立ってました(ちょっと前まではピンク)。グリーンのユニフォームや芝によく合いますね。

Dsc00352 大江戸の年内のサッカー生観戦も、これで最後でしょう。今年もいろいろ楽しみました。そして、今日も1,586人だったのですが、WEリーグの観客数がもうちょっと増えてくれるといいなあと思います。そのためにも来年のワールドカップで良い成績を納めて、女子サッカーを盛り上げる必要があるのです。来年の植木、藤野、北村には、代表として是非そこをお願いしたいと思っております。もちろんクラブの方もね。

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2022年12月 3日 (土)

「母性」:謎の実年齢11歳差母子    #母性 #映画母性 #廣木隆一 #戸田恵梨香

1_20221204002501 映画『母性』は、「イヤミス」の巨匠=湊かなえの原作を廣木隆一監督が映画化。またも廣木隆一です。でもいろいろうまくいってないですね。

まずはイヤな感じの人たちを見るのが辛い。まあイヤミスなんだから、しょうがないんですけど、戸田恵梨香のぶっ壊れ方や、大地真央や高畑淳子の気味の悪さや胸糞悪さを見ていると、本当にいやーな気持ちになります。

それから、本作は母の視点、娘の視点、それらを総合した視点から描かれているのですが、その構成があまり成功していません。昨年の『最後の決闘裁判』以上に成功していません。もしかしたら原作小説では成功していたのかも知れませんけど(そもそもそういう構成だったかどうか知りませんが)。

そしてさほど面白くないまま話は進んでいき、最後は「え?どこがクライマックスだったんですか?」「え?そこからもう一回ひっくり返すとか、ないんですか?」って感じであっけなく終わってしまいます。なんだよー、つまんないじゃないかよー。

ごひいきの中村ゆりさんがあまりいい感じに撮られていなかったのにも、ちょっとがっかり。そして、男の影の薄さというか、三浦誠己演じるお父さんの存在感のなさに驚きました。本作は女性の役割性の呪縛(母だとか嫁だとか…)を描いてもいますが、登場人物たちはほぼ女性です(あとの男は神父役の吹越満ぐらいかなあ)。そこに関しては、かなり珍しい作品だと言えるのではないでしょうか。

それにしても1988年生まれの戸田恵梨香と、1999年生まれの永野芽郁、11歳差なのに実の母子役だなんて・・・なぜ? 謎のキャスティングです。

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2022年12月 2日 (金)

ブラボー! スペインに勝った日本!!    #ワールドカップ #サッカー日本代表 #日本対スペイン #ブラボー! #忍法死んだふり

Dsc_11992_copy_800x478 一度ならず二度までも!!の奇跡が起きました。いや、奇跡と言ってはいけませんね。二度起きたことは真実です。地力です。

日本2-1ドイツに続いて(コスタリカには敗れたが)日本2-1スペイン。 いやー、最高です!幸せです!誇らしいです!  朝4時前に起きた甲斐があっておつりが来たってもんです。ブラボー!!

それにしても、前半0-1で何とかしのぎ切り、後半に選手交代が奏功(堂安・三苫の活躍)して逆転し、必死の守りでアディショナルタイム7分も防ぎきるという、ドイツ戦と全く同じ展開。またもや「忍法死んだふり」でした!(やはりこのために町野は呼ばれたんだな)

 

(ドイツ戦のレポートはこちら ↓ )

ドーハの歓喜:忍法死んだふり    #ドーハの歓喜 #日本対ドイツ #ワールドカップ #忍法死んだふり #オシム: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

とにかくスゴイことが起きました。対戦国決定ドローの際には、誰もが森保監督のくじ運の無さを嘆き、3試合で勝ち点1か?3連敗もあり得ると思ったはずです。それが結局は日本の首位通過。いやー、これだからサッカーは何が起こるかわからない。ドイツが予選敗退(2大会連続)ですもんねー。

大江戸は今日の選手たちが躍動できたのも、2戦目で先発を5人替えたターンオーバーのおかげだと思っております。日本のサッカーは消耗するし、体が小さく脚が短い分必死にたくさん動かなきゃいけないのです。今日は遠藤航が先発で出られない状態だってことに暗雲を感じましたし、実際守田、田中のダブルボランチは前半途中まで出来が悪かったのです。でも時間と共にだんだん良くなりました。

それにしても、堂安の1点目。目の覚めるような強烈ミドルでした。あの球速と弾道。圧倒的で気持ち良かったです!日本人離れしたシュートでした。 一方田中碧と谷口は世界にイケメン・アピールしてました(三苫もいいけど、ちょっと泥棒ヒゲだから…)←3人ともフロンターレ出身or在籍。

その三苫が折り返して田中が決めた2点目のボールがゴールラインを割った割らないが随分世界を賑わせているようですが、これは文句のつけようがない話でしょう(それでも文句つける気持ちはわからないでもありません)。コーナーキックの時なんかも大抵の角度からは、「ボール置く位置、はみ出てる」って見えるもんですから。真上から見る「カーリング的な目」で考えないとね。

コスタリカ戦では危うかった森保監督ですが、この勝利でもう「名将」になってしまいました。これで、「森保もう4年続投」が既定路線になるんでしょうね。 そして大江戸的にはこの試合もやっぱりオシムさんに見てもらいたかったなー。きっと、「ブラボー!」とほめてくれたことでしょう。

さあ、決勝トーナメント初戦は対クロアチア。モドリッチも37歳だし、4年前ほどの凄さはないさ!と言えども、絶対に強い相手です。でも「強い相手に強い」日本としては願ったり叶ったり(まあ、16強になるとどこのチームもほぼ強いですけど)。「ベスト8」、良い目標でした。さあ、その果実をもぎ取る時です! ブラボー!

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2022年12月 1日 (木)

今年最後の変わり種自販機ご紹介    #変わり種自販機 #オモシロ自販機 #変な自販機 #リンゴ自販機 #東京メトロのカレンダー自販機 #近江牛ガチャ自販機 

これまでにもいろいろご紹介して来て、最近もあれやこれやを紹介した自動販売機情報(↓)ですが、また新作をどうぞ。

またも自動販売機    #珍しい自動販売機 #変な自販機 #ドールバナナ自販機 #メガネスーパーの自販機 #ハローキティのやさいチップス自販機 #ど冷えもん: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

羽田のネオ自販機たち    #羽田の自動販売機 #羽田空港の自販機 #オモシロ自販機 #変わり種自販機: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

 

Dsc_11782_copy_768x1365 まずは銀座の地下コンコースでみかけたコレ。リンゴ関連商品の自販機です。スライスしたリンゴや、リンゴジュース各種を販売しております。前回紹介したバナナのお友だちってところですね。

 

 

Dsc_11882_copy_768x1254 次に、東京メトロ・有楽町線の有楽町駅で見かけたこいつ。「メトロの缶詰」なるステッカーが貼ってあります。地下鉄の模型でも売ってるのでしょうか?

Dsc_11893_copy_768x813 いえいえ、なんと東京メトロのカレンダーなのでした。1,000円のようですね。ってか、見る限り「缶詰」じゃないじゃん。

 

 

Dsc_12003_copy_768x1285 で、気を取り直して、3台目はアッと驚く「近江牛ガチャ自販機」! 「1万円のサーロイン当たる!」って書いてありますね。なるほど、買うだけじゃなくてガチャの「何が出るか」的楽しみもあるってわけですね。

Dsc_12022_copy_1274x768 なるほど、ハズレなしで、2,000円いれれば必ずお値段以上のものが出て来て、最大は1万円相当なんですと。

Dsc_1201_copy_1067x6003 しかも牛肉のみならず、「びわサーモンガチャ」もあるんですと。1/25の確率で、1万円相当の「幻のいくら醬油漬け丼」、「びわサーモンのユッケ丼」が当たるんですと! いやー、冷凍自販機、すごいですねー。京王線・笹塚駅そばにありました。

 

 

Dsc_11906_copy_768x1292 最後におまけ。先日オシムの追悼試合でフクアリに行ったときにJR蘇我駅にあったJEFユナイテッド千葉のドリンク自販機。ま、これJリーグのどのホームタウンに行ってもあると思います。いろんな所で見かけるのが楽しいのです。

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