「すずめの戸締まり」:「絵の力」と「物語の力」 #すずめの戸締まり #新海誠
映画『すずめの戸締まり』は、新海誠監督作品として『君の名は。』『天気の子』以上に気に入りました。堂々たる名作です。
とにかくアニメーションとして、その絵で眼福を提供してくれます。「絵の力」があります。色彩の美しさ。風景の素晴らしい描写。中でも東京の街には感嘆しました。前2作以上に感嘆しました。 そして、禍々しい「ミミズ」の描写や椅子の動き、空中浮遊描写など、アニメーションならではの素晴らしい表現をたっぷり見せてくれます。
しかし、それ以上なのが「物語の力」。シンプルに物語の面白さで引っ張っていきます。1シーンもダレ場がなく、見事なものです。単純に面白くってワクワクハラハラします。そして、ロード・ムービーにもなっていて、その魅力にも溢れています。行く先々で触れ合う人々との交流の妙味。それが映画に厚みを持たせています。
ダイレクトに東日本大震災を描いて残そうとしたその意気や良し。もう11年たってるわけですから、こういうフィクションとして昇華させる試みは必要なのだと思いますし、それがここまでの完成度でできれば言うことなしです。それにしても「どこでもドア」みたいな扉だとか、カエルならぬ「椅子」に変えられた「王子様」とかのファンタスティックな仕掛けが、ごくごく自然に溶け込んでいるのもアニメーションならではの強みです。
妙にたっぷりな懐メロ(1970-80年代のニュー・ミュージックや歌謡曲)の使用は監督の趣味なんでしょうか? あれだけ使った意味がちょっと??でしたが…。
新宿のバルト9で観たのですが、ロビーにはあの扉がありました。そして、(これは全国でやってるようですが)来場者プレゼントで『新海誠本2』なるB5版20ページのブックレットをくれました。太っ腹ですね。
| 固定リンク
« 「月の満ち欠け」:有村・目黒の恋愛パートはステキだけど… #月の満ち欠け #廣木隆一 #有村架純 #目黒蓮 #早稲田松竹 #柴咲コウ | トップページ | 「宮松と山下」:ひっそりとアイデンティティ哲学 #宮松と山下 #香川照之 »
コメント