「ケイコ 目を澄ませて」:役者を活かす三宅唱演出 #ケイコ目を澄ませて #岸井ゆきの #三浦友和 #三宅唱
映画『ケイコ 目を澄ませて』は、全編16㎜で撮られています。16㎜特有のざらつきは感じられないほどきれいな映像なのですが、でも闇の暗さに弱かったり、独特なルックと味わいになっています。
女性ボクサーの映画というと、安藤サクラが神がかり演技を見せた『百円の恋』が思い浮かびますが、本作の岸井ゆきのも、負けず劣らず瞠目させてくれます。時間をかけてしっかり練習したんだろうなあと思わせるジムでの練習シーンの技量。表情も雰囲気も、いつもの岸井ゆきのとは違います。普段から達者な人ではありますが、ここでは全身から「ケイコ」の匂いが出ています。
彼女以外にも、役者がみんな素晴らしくて感動的です。最近の三浦友和は枯れた味わいが良いのですけれど、本作もその例外ではないどころか、にじみ出るケイコへの深い愛が見事に表現されています。(以降少々ネタバレあり) そう、門下生への愛情ってもんではなくて、ケイコと会長の間にははっきりと「愛」があり、映画としてそれを描く手腕(読み取る気で観ていくと、読み取れるように)が見事なのです。
ジムのトレーナー役の三浦誠己も、会長夫人役の仙道敦子(いい感じに年を重ねていてびっくり。誰かと思いましたよ)も、いい味出してました。三宅唱監督は、役者を活かしますねえ。
オープニングの「文字を書く音」から、エンドクレジットにかぶる「東京の街や大気の音」まで、音が重要な映画でもあります。それはこの世界の音だけど、ケイコが耳にすることのできない音でもあるのです。これからも彼女はそういった音に「目を澄ませて」いくのでしょう。
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