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2022年12月 7日 (水)

「の方へ、流れる」:フランス映画のような東京映画    #の方へ流れる #唐田えりか #東京映画 

1_20221207222501 映画『の方へ、流れる』は、62分の中編。でも、もっとそれぐらいの長さの作品が増えてもいいと思います。それぐらいの長さで描くのがちょうどいい題材ってのもあるわけですから。

ようやく劇場公開作に復活の唐田えりか目当てで観たわけですが、オーディションで得たというこの役が何とも攻撃的で腹の立つキャラクターでして…。それと、例の騒動以降の彼女を思わせるような台詞もいろいろあって(偶然なのでしょうが)、そのあたりでも気が散ってしまいました。ただ唐田さんはフランス映画の女優のようで、健闘していたと思います。

そう、この作品はまさに1950~60年代のフランス映画を思わせるテイストなのです。清澄、深川、木場あたりを二人が歩き回るのですが、隅田川がセーヌ川に見えてました。東京がパリに見える映像感覚なのです。そしてダイアローグも直訳調というか、ちょっとスカシた台詞の応酬で、そこらへんに拒否反応を覚える人もいるんだろうなーと思いました。でも大江戸は、むしろ当時のフランス映画の影響下に生まれた日本映画の台詞みたいだなあと思います。あの時代の人たちって、この映画みたいな話し方をしてますもんねえ。そう思って見ると、遠藤雄弥が森雅之のニュアンスを放っていると気づきました。

更に本作は、優秀な東京映画でもあります。隅田川沿いの下町といいながら、今はとってもオシャレなあのエリアを、現代の生き生きとした東京として昼景~夜景をフィルムに、いや、データに(味気ない言い方だなあ)収めてあります。その風景の描き方が、東京人の大江戸としてはとてもしっくり来て、「しみじみいいなあ」って感じなのです。

そういえば、このタイトルは二つの名作を想起させます。一つは森田芳光の『の・ようなもの』。あの作品でも主人公が隅田川沿いを延々歩きました(千住の方から降りて来て浅草までなので、本作のエリアまでは来ていませんが)。 もう一本は成瀬巳喜男の『流れる』。あの映画にも、隅田川や清州橋が出ておりました。この二つほどの名作とはなりませんでした(特に、シニカルな終幕が今一つうまくいかなかったのでは?)が、素敵な東京映画にはなっておりました。

(追記)  大江戸は本作を池袋のシネマ・ロサで観たのですが、本編の前に東出昌大主演の『天上の花』の予告編がかかっておりました。うーむ。偶然でしょうけれど…

 

 

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