「宮松と山下」:ひっそりとアイデンティティ哲学 #宮松と山下 #香川照之
映画『宮松と山下』は、ほとんど「市川崑かよっ!」って感じの瓦屋根ショットの積み重ねからスタートします。監督集団「5月」(佐藤雅彦・関友太郎・平瀬謙太朗)による作品(監督・脚本・編集)。かなり渋いけど、かなり実験的な作風でもあり、なかなかの映画作品です。
まだ騒動のほとぼりも冷め切らない香川照之主演ってこともあってか、ひっそりと公開されています。映画自体もひっそりとしたトーンを持っています。そして音楽や映像が不安をかき立てます。香川照之の表情もやはり不安をかき立てます。
(以降少々ネタバレあり) 虚と実が入り乱れています。映像作品のエキストラとしての主人公が、オフのプライベート空間にいるのかと思いきや、それもエキストラ仕事の一つだった…というような軽く驚く描写がいくつも出て来ます。そういった虚実と記憶喪失を絡めながら、人間のアイデンティティに迫っていきます。哲学的です。しかも、そのあたりの手触りは、ぬるっと不気味です。
映像作品作りの舞台裏みたいな描写も、リアルで楽しめるものでした。映像も細部もしっかりしている作品なので、信用が置けます。香川照之はもとより、津田寛治も中越典子もいい味出してました(尾美としのりはいつも通り)。
でも秀作には至っておりませんね。「映画をよくわかってる」って感じられるし、かなりユニークなんだけど、あと少しヒューマンな味わいも増量してもらいたかった気がします。
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