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2023年3月31日 (金)

「変な家」:キャッチーだけど…    #変な家 #雨穴 

Dsc_12456_copy_600x861 2021年夏に発行されて、以降昨年あたりに新聞広告などで気になっていた雨穴(うけつ)の小説『変な家』(飛鳥新社)を、ようやく読みました。何しろ40万部突破で映画化決定と、帯にも書いてあるぐらいですからね。それに、なんか気になるじゃないですか。第一印象は、かなりキャッチーです。

でもねえ、…ダメでした。有り体に言って、無理矢理すぎてバカみたいです。うーん、なんか中学生が書いたみたいというか、プロットからも文章からも知性が感じられませんね。

そもそもこれ小説なの?って感じで、会話部分はすべてシナリオのような会話体になっているのです。「筆者 ○○○○○・・・   栗原×××××・・・」みたいな感じで。会話文を小説の表現に仕立てる文章力がなかったのかも知れません。潔い割り切りと言えましょうか…。それ以外の文章にも、小説としての味とかコクとかは一切ありません。説明するだけみたいな文章なのです。

(以降少々ネタバレあり) 発想自体は面白いし、キャッチーなのです。最初の数ページでぐぐっと引き込むところなんかは見事なもんです。でもその後の展開とか結末とかが、「え?そんな方向に行っちゃうんですかい?」「横溝正史ですかい?」って感じに、バカバカしくもおどろおどろしくて古めかしいのです。終盤はかなりあきれながら読んでおりました。

取り柄はポンポンとあっという間に読めちゃうことでしょうか。無駄な時間をたくさん使わずに済むことは確かです。

これの映画化ねえ…。だいたいどんな感じか見えるようですね。作る人も、観る人も、お疲れさまです、と今から言っておきます(大江戸は、こわいもの見たさで観てしまうかも知れませんです)。

 

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2023年3月30日 (木)

「しあわせはどこに」(1956年) :不幸と困難のつるべうち    #しあわせはどこに #芦川いづみ #葉山良二 #薄幸顔 #神保町シアター

Dsc_12456_copy_768x621 神保町シアターの芦川いづみ特集で、『しあわせはどこに』(1956年/モノクロ・スタンダード)を観ました。監督は西河克己。共演は葉山良二です(この人、この特集で大江戸が観た作品の中で4作連続いづみちゃんと共演しています)。

とにかく芦川さんがかわいそうなのです。薄幸顔の彼女ではありますが、とにかく次から次へと不幸や困難が襲い掛かってきて、中盤以降は「もうやめてー!」と心の中で叫びながら観ておりました。何しろ男の部屋で襲われそうになったり、身内に売り飛ばされそうになったり、ぬれぎぬを着そうになったり、拉致監禁されたり、もう散々なのです。

(以降ネタバレあり) それでも、葉山良二や二本柳寛という良心の塊みたいな人たちのおかげで、何とかハッピーエンドを迎えられてめでたしめでたし。あー、良かったと胸をなでおろした大江戸でした。いろいろと偶然の多い脚本ですが、まあ許しましょう。

それにしても殿山泰司と宍戸錠が、実にムカつく悪人っぷりでした。宍戸錠なんか、まだ頬をシリコンで膨らます前なので、中盤にようやく気づいて「おお!」と驚きましたもん。

芦川さんの純情で可憐な個性と、愁いの表情を堪能できる一作です。

 

 

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2023年3月29日 (水)

桜のスイーツでーす    #桜のスイーツ #桜餅風味パン #小田原桜のモンブラン #ふわもちロールこしあんアンド桜ホイップ #さくらミルクプリン #さくらもこ

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この時期のコンビニやスーパーのお菓子棚は、桜スイーツでいっぱい。大江戸は桜の香りがとっても好きなので、嬉しくてたまりません。いいすよね、チェリー感。 チチチチチチチ、チェリーか~ん♪ てなわけで、まとめてご紹介。

まずは(パンの分野ではありますが)ヤマザキの「薄皮」シリーズの「薄皮桜餅風味パン」。あの、あんパンがおいしいシリーズですね。

Dsc_12474_copy_752x575 中にはあんパンと同じあんこが入っていると共に、桜のジェリーみたいなのが入っています。当然いい香りがします。そんなわけで、あんこの分量は少な目なんですけど、まあ及第です。

 

Dsc_12503_copy_610x575 続いては、株式会社カンパーニュ製の「小田原桜のモンブラン」。スーパーマーケットLIFEでの購入。

Dsc_12512_copy_639x575 写真だとけっこう崩れちゃってますけど、モンブランです。あの焼きそば状のクリームが淡い桜色。トップには、桜の花の塩漬けが乗ってます。これはいいですね。確かにモンブランですね。栗じゃなくて桜ですけど。ステキな風味でした。

 

Dsc_12502_copy_636x576 そしてここからは、セブンイレブンの(正確には「セブン&アイの」)桜スイーツを3連打。 まずは、「ふわもちロール こしあん&桜ホイップ」。クレープのようなふわもち生地の中に、こしあんと桜のホイップが入っております。

Dsc_12514_copy_619x576 ああ、魅力的な食感です。まさにもちもち。香りも良くて、こしあんとの相性もぴったりでした。

 

Dsc_12465_copy_600x840 さて、こちらは「さくらミルクプリン」。見ての通りの商品です。でも、ミルクプリンに桜フレイバーが香るって感じなので、味わい的にはたよりないですね。クリームやジェルと合わさって、ようやく何とかです。大江戸的にはむしろ「桜×カスタード」を食べて見たかったですね。

 

Dsc_12452_copy_382x576_20230329231201 セブンの桜スイーツではやはりこれがピカイチかなと思うのは、先日紹介した「さくらもこ」( ↓ )

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2023/03/post-3696d4.html

名前といい、おいしさといい、やっぱりこれが今年のマイ「桜大賞」なのです。

 

 

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2023年3月28日 (火)

サッカー日本代表の対南米2連戦    #サッカー日本代表 #日本対ウルグアイ #日本対コロンビア #町野脩斗 #ノーマスク観戦

新生森保ジャパンというか、続・森保ジャパンの船出2連戦、キリンチャレンジカップの「ウルグアイ戦」(24日/国立競技場)と「コロンビア戦」(きょう/ヨドコウ桜スタジアム)をテレビで見ました。

昨年のW杯を戦ったメンバーと、新たに選ばれたメンバーの融合を図った2試合。特徴やレベルがわかっているベテラン勢は招集しなかったテストの2試合。FIFAランキングとしては日本20位に対して、ウルグアイ16位、コロンビア17位ですから、良いマッチメイクだと言えるでしょう。ウルグアイには1-1のドロー、コロンビアには1-2の敗戦となりましたが、この時期ですから勝敗はあまり重要ではありません。

でもまあ2試合を通して、そんなに驚きや新発見が無かったことが問題かな。三苫、やっぱりスゴイねえってことと、西村は今後も食い込んできそうだよねってことぐらいですかね。菅原とバングーナガンデの両サイドバックは悪くなかった。その一方で、瀬古はちょっと見劣りするレベルでした。

大江戸的にはコロンビア戦で、湘南ベルマーレの町野脩斗が先発ワントップを担ったことに「おお!」って感じでした。クラブと同じように、前線からのチェイス、ちょっと下がってボールを受けて簡単にはたく仕事などをきっちり遂行しておりましたし、先制点の際にもいい感じで受けて守田につないでました。解説の北沢さん、槙野さんからも高評価で、ほっと安心。前半だけで退いてしまった(上田と交代)のが残念でしたが、昨年の代表戦で「何もできなかった」時からの進歩があって良かったです。できればゴールが欲しかったけど、まあそちらはクラブに戻ってからってことで!

2戦とも、久々に代表戦の客席が満員だったのは喜ばしいこと。全席声出し応援ありの盛り上がりも喜ばしいこと。そして、観客のほとんどがノー・マスクでした。喜ばしいですね。実際東京の街中はまだまだマスク姿だらけなのですが、こうして世の中が変わっていく、戻っていくことが嬉しいです。

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「男なら夢をみろ」(1959年):衣装は森英恵    #男なら夢をみろ #芦川いづみ #石原裕次郎 #森英恵 #神保町シアター

Otoko_yume 映画『男なら夢をみろ』(1959年/カラー・ワイド)を、神保町シアターの『恋する女優 芦川いづみ』で観ました。主演は石原裕次郎。ヤクザ者(にしては良心のあるかっこいい男)の役です。対する葉山良二(学生から検事になります)と対称を成して、二人と芦川さんとの三角関係的揺れ動きで引っ張っていきます。

オープニングのタイトルバックに有楽町駅前が出て来るのですが、60年以上前なのに今とほとんど同じ眺めなのに驚きました。右手にレンガ造りの駅舎というか線路下。左手にそごう(今はビックカメラ)。あの建物もけっこう年季が入っているのですね。

で、この作品の衣装は森英恵さん。彼女は世界のハナエモリになる前に日活の衣装をけっこういろいろと手掛けているのですが、本作もその一つ。芦川いづみが洋裁学校に通っている設定なので、ファッションショーの場面をはじめ、素敵なデザインが多数登場します。最初と最後にはウェディングドレスも出て来ます。それを着る芦川さんも当然ステキです。

娯楽映画として十分楽しめる出来です。展開はありきたりですし、ヤクザが出て来たり殺人が起きたりする割には、ちっともシリアスではありません。それで良しって感じのスタア映画なのです。

(以降ネタバレあり) 各映画サイトの「あらすじ」を読むと、ラストで裕次郎が撃たれて死ぬと書いてあるのですが、死んどらんです。不自然に付け足した感じの明るいラストになってました。作りながら、暗い映画にしないように改変したんでしょうねえ。とまあ、そういうことも起こっちゃう時代だったのでありましょう。

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2023年3月27日 (月)

「BLUE GIANT」:JAZZの熱量と興奮    #BLUEGIANT #映画ブルージャイアント #ジャズかっけー 

1_20230326230001 映画『BLUE GIANT』は、あやうく観逃がすところでしたが、いやー、観て良かった! とてつもなくパワフルで、ジャズの魅力を最大限に伝えている、チャレンジングなアニメーションでした。こういうのが日本で作られたってことは、大いに誇っていいと思います。てか、世界に自慢したいですね。

これ観たら、誰もが「ジャズ、かっけー!!」と興奮することでしょう。ほんと、何度もある演奏シーンが最高です!  アルトサックスとピアノとドラムスのトリオが生み出すそのサウンドとグルーヴに怒涛のカット割りの絵が合わさって、観る者の心と体を揺さぶってきます。その熱量には、かなり興奮しますよ。

大江戸はモダンジャズが好きで、多少は聴きかじっておりますが、大系的に学習したりはしていないので、知識はさほどありません。聴けば「いいなあ」とは思います。そんなヤツにはちょうど良かったのかも知れません。新宿バルト9のドルビー・サラウンド7.1chのスクリーンで観たのですが、音の迫力もかなりのものでした。やはり音のいい映画館で観るべき作品でしょう。

終盤は何度も泣けました。自分でも驚くほど涙が出ました。ただ改めて振り返ってみると、主人公が「世界一のジャズ・プレイヤーになる」という思い(「海賊王に俺はなる」みたいなもんですかね)の裏にあるものが、少なくともこの映画では描かれていなかったのが欠点に思えました。これだけの強い思いで、練習し続け、天才的なプレイを見せる彼の「芯となるもの」が描かれていない分、「根拠のない自信」みたいに見えちゃううじゃないかなあ。深み、凄みが出にくくなくなっているんじゃないかなあ。原作マンガでは描かれているのでしょうかねえ?

まあ、それでも圧倒される作品ではあります。感動しました。続編が作られる可能性もあるのでしょうから、内面描写の更なる深化を期待して待ちたいと思います。

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2023年3月26日 (日)

「完全な遊戯」(1958年): 悲劇と正義   #完全な遊戯 #芦川いづみ #神保町シアター 

Dsc_12443_copy_410x677_20230325234601 神保町シアターの特集上映「恋する女優 芦川いづみ」(かれこれ第5回目です)で、『完全な遊戯』(1958年/モノクロ・ワイド)を観ました。原作は石原慎太郎。太陽族映画の週末を告げる作品という位置づけのようです。

なかなか見ごたえがありました。監督は舛田利雄。オープニングからいきなり雀卓の周りをカメラがぐるぐる回ったり、雀卓の俯瞰があったりで、攻めてます。その後はテンポの良い演出で、物語の面白さをたっぷり味合わせてくれます。

悲劇なのです。物事が「そっちへ進んじゃいけない」方にばっかり進むのです。そして軽いノリで始めた大学生たちの競輪ノミ屋詐欺が、中盤以降とんでもない方に転がっていきます。それにしても太陽族ってこういうことだったんですかね?単なるゴロツキどもじゃん。まあ、だからラストは正義の方を向いていることで、何とか作品のバランスをとっています。観てる方の気分的にも、あのラストで救われます。

芦川さんはかなり素敵でした。そして薄幸な役。でも彼女の顔は幸薄い役が似合うのです。(以降少々ネタバレあり) 彼女が岡田真澄演じるチンピラ大学生にレイプされたことを示す場面における、薄暗い場所での芦川さんの後ろ姿が見事でした。放心して抜け殻になったような後ろ姿と乱れ髪。これはまあ、舛田演出をほめるべきなのでしょうけれど。

小林旭が不良大学生の一人を演じているのですが(当時の大学生なので、詰襟学生服姿)、似合わないなー。大学生に見えません。まあ、そんなこと言ったら全員見えないんですけどね。特に最年長の女房持ちの学生を演じた梅野泰靖にびっくり。『ラジオの時間』をはじめとする三谷幸喜作品でおなじみの梅野さんに、こういう若い時代があったのですねえ(あたりまえですが…)。

 

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2023年3月25日 (土)

「零落」:創造の魔物    #零落 #浅野いにお #斎藤工 #山下リオ #竹中直人

1_20230325224501 映画『零落』は、まずタイトルにしびれますね。でもこれは浅野いにおの原作コミックのタイトルなんですけど、昭和文学の香りがします。そして作品は、やっぱり太宰治とか私小説とかの匂いに満ちているのでした。

とにかく斎藤工演じる主人公の「苦悩する創造者」ぶりが見事にハマっています。カッコ良さも情けなさも見事に体現して、この作品世界の中心にいます。そう、この作品は終始「創造の魔物」を描いています。ものづくり(ことに知的クリエイション)における「質」と「売れること」のジレンマ。それに対して、クリエイターとその周辺の人たちがどう臨むべきかという永遠のテーマ。いやー、大江戸は特にクリエイターではありませんが、クリエイター・コンプレックスがあるだけに、かなり刺さりました。この主人公、多くの人にとってはかなり「嫌な男」なんでしょうけど、小生は嫌いではありませんね。大衆に迎合することを良しとしない青臭さ。でもそれって、クリエイションの肝なんじゃないかと思うのであります。みんな、大切なものへのこだわりがなさすぎるよ。

斎藤工のみならず役者たちがみんな素晴らしくて・・・玉城ティナにMEGUMIに(いつもと違う感じの)趣里。でも圧巻なのはアシスタントの富田ちゃんに扮した山下リオでした。ことに後半のすっごく嫌ったらしい役への変貌には、ムカつきながら瞠目しました。そもそも丸メガネをかけて違った雰囲気になっていて、山下リオだと気づきませんでしたもん。エンドクレジットで山下リオの名を見ても結びつかず、映画館を出てからハタと気がつきました。うーん、見事に化けましたね。大江戸の本年の助演賞候補に入ってくるでしょう。

久々に竹中直人監督が良い映画を撮りました。ってか、たぶん彼のベストなんじゃないでしょうか。いかにも日本映画ならではの陰翳を持った作品。そして、ほんの少し石井隆のニュアンスを隠し持った作品でもありました。

 

 

 

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2023年3月24日 (金)

「風のある道」(1959年):通俗の強さが胸に迫る    #風のある道 #芦川いづみ #神保町シアター 

Dsc_12523_copy_353x576 映画『風のある道』(1959年/モノクロ・ワイド)を、神保町シアターの特集上映『恋する女優 芦川いづみ』で観ました。なんと川端康成原作の芸術祭参加作品であります。

でも、いきなり和田弘とマヒナスターズの主題歌が流れてくるし(ラストにも)、物語自体とても通俗的です。しかしながら王道の持つ力ってのはあるわけで、その力に乗せられました。なかなか心に残る作品です。

この作品に限ったことではありませんが、いろいろと時代を感じさせてくれます。お父さんは敬語使われて尊敬されてますし、とっても偉そう。それに限らず、女性がひどく抑圧されている封建社会。知的ハンディキャップがある児童への差別的言動の数々。貞操の重さ。その他もいろいろありますが、それらを取り上げて、今の尺度で批判しちゃあいけませんよ。そういう時代だったわけで、誰もがそういうものだと思っていたのですから。 でも、この時代ならではの「口に出さない(出せない)思い」の切なさとかは、何とも胸に迫るのです。西河克己監督、いい仕事してますね。

終盤の、ちょっとスリリングな展開だとか、ベタな結末とかが、意外にハートにくるのです。やっぱり「通俗の強さ」ってことなんでしょうね。父親役の大坂志郎が、いい味出してます。 芦川さんは、けなげで優等生的で可憐。この時代の彼女は、一つの作品の中で洋服も着物も着てますね。今回の特集で観た『堂々たる人生』『白い夏』でもそうでした。

それにしてもビリング・トップは北原三枝なのに、ポスターには芦川と清水の姿がダーン! へんなの(でも確かに北原三枝は脇役なんですけど)。

 

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2023年3月23日 (木)

「妖怪の孫」:暗澹と納得と    #妖怪の孫 #安倍晋三の映画 #パンケーキを毒見する

1_20230324000101 映画『妖怪の孫』は、タイトルだけ聞くと絶対想像できないんですけど、安倍晋三元総理のあれこれを巡るドキュメンタリー。「昭和の妖怪」と言われた岸信介の孫が安倍さんだったよなと思い至ると、合点が行くタイトルです。

あのスターサンズの作品で、『パンケーキを毒見する』の監督(内山雄人)・スタッフによるもので、もともとは今はなき川村光庸さんの企画だと聞けば、納得ですね。スタッフたちもいよいよ「本丸」に攻め込む覚悟で作ったようです。

そして『パンケーキ』よりも面白く、ためになり、暗澹たる気分になった作品でもあります。現在の日本の悪い面、ダメなことの多くが、どこらへんに端を発しているかが何となくわかるからです。あまり報じられない事実や初めて公に語られたであろうことなども多く、特にメディアと官僚の「本来の役割を忘れた保身」には暗然としてしまいます。

ニューヨークタイムズの東京支局長さんが日本のメディアの権力へのおもねりや癒着を「世界的には考えられないこと」と指摘すれば、憲法学者の教授は安倍さんや自民党が「そもそも憲法の根本をわかっていない」ことを明言します。統一教会と関係のあった議員だとか日本会議に所属している議員が内閣に占める割合を示されると、愕然としてしまいます。そして、イメージ操作で「やった感」を作るという要領の良さがこの人の本質なのだと示された時には、ぼんやりしていた絵に急にピントが合ったかのようでした。なるほどねえ。

そういった意味で、本当に多くの人に観てもらいたい作品です。地上波で放映します!なんていう勇気あるテレビ局は・・・いるわけないですよね。

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2023年3月22日 (水)

「白い夏」(1957年):何とも珍妙    #白い夏 #芦川いづみ #青山恭二 #神保町シアター

Dsc_12434_copy_1024x677 神保町シアターで開催中の特集上映『デビュー70周年記念 恋する女優 芦川いづみ』で、『白い夏』(1957年)を観ました。モノクロ・スタンダード。今の感覚で観ると、何とも変な映画でした。

原作は新田次郎ってところにびっくり。あの『八甲田山』の新田次郎が、こんな青春コメディみたいな作品を書いていたとは! でも、今「青春コメディ」と書きましたけど、そんな言葉では言い切れない要素がいろいろあります。確かに青山恭二と芦川いづみのプラトニックな恋愛に、情熱的な中原早苗(こういう役、多いですね)を絡ませて描いていくのですが、千葉県の漁師町・安房が舞台で、そこの人々がなんともはや…。

(以降ネタバレあり) よそ者の転入者を排除しようとするは、ヤクザな郵便配達員や新聞記者が嫌がらせや犯罪を重ねるは、おまけに猛アプローチをかけていた中原早苗は「いちばん大切なものをあげる」と言って迫ってくるは、郵便局長は半裸で仕事してるは…で、かなりのもんです。千葉県って昔から選挙違反の多さで有名だけど、そういう風土なんですかねえ。

まだ幼さの残る芦川いづみさんは、郵便局長の娘さん(トンビが鷹)。可憐です。そんな彼女が、暗く悩み続けるウジウジ男の青山恭二と思いを遂げることはなく、地元の犯罪者を暴き出した彼は結局安房を離れて行かざるを得ないという、何ともすっきりしないエンディング。よくこんな苦いモヤモヤラストの作品を作ったもんです。田舎のこわさ、閉鎖性を描いたってことなんでしょうか?

本心を言えなかった青山恭二が苦悩して、「好きだ!」と言ってから頭を抱えて床をゴロゴロする場面には笑っちゃいました。コントかよ!

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2023年3月21日 (火)

「死体の人」:唐田えりかのかわいさと奮闘    #死体の人 #唐田えりか #奥野瑛太

1_20230321225901 映画『死体の人』は、「未完成映画予告編大賞」の最優秀作の映画化なんだそうですけど、そんなものがあったんですね世の中には!

まあ、『の方へ、流れる』に次ぐ唐田えりか出演作品だというので観たわけですが、唐田さんは確かに奮闘しておりましたし、ちゃんとした演技者であることを示しました。デリヘル嬢という役柄上けっこうケバいメイクでいる時間が長いのですが、それでも童顔がかわいいし、終盤のすっきりしたメイクだとますます可憐ですね。

とは言え、本作の主役は奥野瑛太。ボウズ頭で目をギラつかせた凶悪な役が多い人ですが、本作ではうだつの上がらない男(まあ、「負け犬」と言ってもいいような)を地味に演じています。一方で彼と好対照なクズ男を演じるのは楽駆(という変な名前の役者)。このDVまじりのクズっぷりに、かなり腹が立ちました。まあ、その分唐田さんの薄幸が際立つんですけどね。

ただ作品自体はかなりアラが多くて、ツッコミ所だらけ。そしていろいろ既視感だらけで、新味がありませんでした。まあ、軽いお楽しみとして観てはいられますけど、感銘や驚きはありませんでしたねえ。もっと面白く出来た気もする作品だけに、ちょっと惜しかったのです。

 

 

 

 

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2023年3月20日 (月)

「シン・仮面ライダー」:まぎれもない庵野ワールド    #シン仮面ライダー #庵野秀明 #ショッカー #エヴァンゲリオン #キューティーハニー #浜辺美波 

1_20230321002101 映画『シン・仮面ライダー』は、庵野秀明が監督・脚本・その他もろもろを担当した個人映画の拡大版のような「仮面ライダー」オマージュ。

『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』との共通点も多く(もちろん『エヴァンゲリオン』との共通点も)、どこを切っても庵野秀明映画になっています。淡々と早口で台詞をしゃべらせることとか、その台詞の難しいことをカッコよく言う感じとか。「ところがギッチョン」とか「おいでなすったな」みたいな昭和調のクリシェ台詞を好んで使うところとかも、庵野ワールドですね。

Dsc_1242_copy_600x1067 石ノ森章太郎の元々の設定を借りた部分もあれば、庵野オリジナルの部分も少しあります。そして大人も見られるシリアスな作品へのアップグレード。ショッカーの戦闘員なんか、高い声で「イー!」とか言いませんもんね。死神博士も出てこないし(続編ができるのなら登場させてほしいけど)、「ショッカー」なんて「Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling」の略ってことになってますよ。絶対ネイティブ英語的にはあり得ない妙な英語ですけど。

作品は、全体的にレトロな雰囲気と暗さをまとっています。庵野作品の中で何にいちばん近いかと言われれば、それはまぎれもなく佐藤江梨子主演の実写版『キューティーハニー』(2004年)ではないでしょうか( ↓ )。陰と陽ですけどね。どっちも手塚とおるが怪人(改造人間)役で出てるし。

https://youtu.be/KnYteHOmTTI

Dsc_1243_copy_600x338 シンメトリー構図、シンメトリー決闘、線路、工場、爆破、弱くて悩む男、強くてハードボイルドな女などなど、庵野さんが好きなものがいっぱい詰まってます。庵野ワールドですねえ。そして半世紀前の『仮面ライダー』へのリスペクト。エンドクレジットに流れるのは、最初のテレビ版の主題歌です。

でも一方で、血しぶき上がる暴力性にはちょっとびっくりしましたけど。現代性ですかね? むしろ『エヴァ』のビーストモードなんかに近いかも。

池松壮亮、柄本佑、森山未來という個性派・演技派をキャスティングしたところがミソですね。今どきこんなマスクかぶってもギャグにならないだけの存在として、彼らが必要だったのでしょう。でも役者では、浜辺美波が圧倒的に良かったです。30歳ぐらいの落ち着きが感じられます。そしてどこか哀しいのが、素晴らしいところです。

Dsc_1244_copy_600x1067 新宿のバルト9で観たのですが、ショッカーのハチ女のセットやマスクが展示してありました。

Dsc_12452_copy_600x436 そして、入口で来場プレゼントとして配られた「シン・仮面ライダーカード」(2枚入り)は中身がランダム。で、大江戸はライダー1号と浜辺美波でした。かなり理想的な組み合わせであります。きっと普段の心掛けが良いので、当たったのでしょう。えっへん。

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2023年3月19日 (日)

ベレーザ、INACに残念なドロー    #日テレベレーザ #ベレーザ #beleza #ベレーザ対神戸 #WEリーグ #北村菜々美

Dsc_12437_copy_1172x822 味の素フィールド西が丘でWEリーグ、日テレ 東京ヴェルディ ベレーザ 対 INAC神戸レオネッサ を観戦。快晴で、天気予報よりも気温が上昇し、日が当たりっぱなしのバックスタンドは異常に暑かったです。ここのスタジアム、午後の試合はバックスタンドがめっちゃまぶしいんで、つば付きキャップとサングラスは必携なのです。暑いんで、スタ ジアムビールも最高でした。

Dsc00425 今日は気になっていたスタジアムグルメ=イーグルネストカフェの「オリジナルハンバーガー」(フライドポテト付きで1,000円)を買ってみましたが、表示してある通りサービングタイムが結構かかるんですよねー。やっと出来上がって席についたら、かなりキックオフ間際になってしまいました。でも、お味の方は確かに本格派で、とってもおいしゅうございました。

Dsc00433 それはさておき、首位レオネッサから勝ち点6差で追うベレーザにとって、絶対勝たねばいけない試合。先の皇后杯決勝では勝った相手ですし、気合も十分だったと思うのですが…、うーん結局は先制されて、村松のヘッドで同点にするのがやっと。最後まで頑張りましたが、逆転はできませんでした。うーん、ようやくリーグ戦の半分が済んだところではありますが、これで優勝がかなり厳しくなりましたね。神戸も浦和もなかなか負けませんからねえ。

Dsc00430 まあでも、大江戸はベレーザを見ると言うよりは北村菜々美選手を見に行ってるのでして…。本日の北村さんは悪くはなかったし積極性もそこそこあったけど、得点にからむことはできませんでした。かなり良いクロスも惜しいシュートもあったのですが、一方では失点場面が北村さんのボール処理ミスからの流れだったのが残念ではありました。

Dsc00445 少し前まではCKのときにゴール前の守りに入ったりしていた北村さんですが、ここ数試合は、ペナ内にいたり、少し下がって跳ね返りを打てる位置に陣取ったりしています。そこらを含めて攻撃に貪欲になっているし(木崎葵選手の加入効果もあると思います)、今まで無かったほど日焼けもしているだけに(あの白さも魅力的ではありましたが)、もっと結果がついてきてほしいところです。そうしないと、今夏のW杯に間に合いません。神様、頼みます!

 

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2023年3月18日 (土)

「Winny」:正義と告発の社会派裁判劇    #Winny #映画ウィニー #東出昌大 #吹越満

1_20230318125101 映画『Winny』は、なかなか骨のある社会派エンタテインメント。私は全く覚えていないのですが、実話の映画化です。Winnyという名のファイル共有プログラムを巡る事件と裁判がメイン。そこに県警ぐるみの裏金作りの内部告発が絡んできます。

不当逮捕、冤罪、組織防衛という名の犯罪加担、「仲間を守る」という美名のもとの悪事、権力べったりの報道機関、新しいものやわからないものを忌避する心・・・さまざまな問題を突きつけてくる作品です。しかし重苦しくはなく、時折ユーモアも交えながら、テンポ良くさばいています。アメリカ映画がお得意な、正義と告発のドラマ(裁判劇)です。

役者たちがことごとく素晴らしく、東出昌大なんて彼のベストなのでは? 世間知らずで、極度に偏った天才である主人公を、憎めないキャラクターとして適切に演じています。三浦貴大も、吉岡秀隆もいつもより格段に素敵ですし、吉田羊なんてワンシーンなのにしっかりと泣かせてくれちゃいました。でもキレ者弁護士役の吹越満が、助演賞ものの魅力。知性と経験の醸す大人の魅力と枯れた味わいを、しっかり放っておりました。

『新聞記者』などのスターサンズだけではなく、別の角度からこういう作品が生まれたってことは、もっともっと評価して、応援してあげたくなります。日本で、この題材で、よく頑張りました。松本優作監督も、変な自己主張のない手堅さで、しっかりとまとめ上げました。

ただ法律事務所の紅一点を演じた木竜麻生が、あまりに「物知らず」に設定されていて、「女はバカ」みたいな描き方になっているのでは?って気がしました。法律事務所に勤めているのに「幇助」って言葉も知らないなんて、ありえなくないですか?(まあ、オーウェルの『1984』を知らないのは、しょうがないかも知れませんけど) 観客に説明するための道具として使っているのなら、ちょっと現代には合わないし、方法が上等ではないですね。

まだ公開から1週間なのに、上映館や回数が減っているようで、遺憾です。もっともっと多くの人に観てもらいたい作品です。

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2023年3月17日 (金)

「アンドレ・レオン・タリー 美学の追究者」:巨体のファッション・レジェンド    #アンドレレオンタリー #アンドレレオンタリー美学の追究者 

1_20230317224601 映画『アンドレ・レオン・タリー 美学の追究者』は、ファッション業界のレジェンド=『VOGUE』のクリエイティブ・ディレクターを務めたアフリカ系アメリカンのアンドレを描いたドキュメンタリー。とにかく全編をこの人のキャラクターとインパクトでもたせます。

巨体と派手なファッションでランウェイの最前列に座り、各種メディアに登場する、知性と感性溢れるカリスマです。他のファッション・ドキュメンタリー映画にも出てましたよね(具体的に何かは忘れちゃいましたが)。この人、キャラクターといい言動といい着てるものといい、ほぼ「アメリカのマツコデラックス」ですよね。いや、そうではなく、マツコさんが日本のアンドレなのかも知れませんが、「マナティーみたいな巨体」だったり、大きな布をかぶったようなドレスなんかが、ものの見事に共通してるんですよ。

それはともかく、南部出身でアフリカ系の彼が白人支配のファッション界で確固たるポジションを築くまでには、どれだけの苦労があったことかと思います。美学とスタイルが彼を救ったんでしょうね。でもそのあたりの描写は割とあっさりで、むしろ彼のいろんな話が面白いし、豪華がインタビュイーたちが語るアンドレが魅力的です。マーク・ジェイコブズ、トム・フォード、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、マノロ・ブラニクら存命しているデザイナーや、イヴ・サンローラン、カール・ラガーフェルドら故人、ウーピー・ゴールドバーグにイザベラ・ロッセリーニに、何と言ってもダイアン・ヴリーランドとアナ・ウインター! 豪華ですねー。彼の人徳でしょう。

終盤、2016年の大統領選挙でドナルド・トランプが当選して、憤りを抑えながら悄然として幻滅している彼の姿も印象的でした。

Bunkamuraル・シネマで鑑賞しました。4月10日から長期休館に入るので、ここで観るのも最後かも知れないなあ…。

 

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2023年3月16日 (木)

ハーゲンダッツのミニカップ3つ    #ハーゲンダッツ #ハーゲンダッツのピスタチオアンドミルク #ハーゲンダッツのカスタードプリン #ハーゲンダッツのカフェラテタイム

Dsc_1121_copy_598x576 ハーゲンダッツはおいしいなー♪ ってわけで、ミニカップを3つご紹介。

まずは、「クリーミージェラート ピスタチオ&ミルク」。ジェラートなんで、濃厚だけどスッキリしてます。ピスタチオ&ミルクが地味だけどいい仕事してて、絶妙にうまいっす。大江戸はピスタチオってそんなに興味ないんですけど、でも使い方次第でかなりの活躍をするヤツなんですよねー。そこはハーゲンダッツ、しっかりと成功させております。

 

Dsc_12513_copy_586x576 続いては、期間限定の「カスタードプリン」。「~クリームリッチ~」という言葉が添えてあります。カスタードアイスの中に、カラメルソースがマーブル状に埋め込まれています。ただねえ、カラメルってやつは曲者でねえ…、少量でも風味が強過ぎて、主役を食ってしまうんですよ。こいつもその例に漏れず、カスタードがかすんでしまいました。おまけに「プリン」って何? やわらかくなきゃ、プリンじゃないじゃん。「カスタードアイス」でいいじゃん。まあ、そんな感じでした。

 

Dsc_1254_copy_540x960 3つ目は、やはり期間限定の「カフェラテタイム」。「タイム」って何? ただの「カフェラテ」じゃダメなの??  時間という概念までが風味に含まれているのなら、それはすごいことですが、さすがにそんなことはないですよね。 でもお味としてはさすがで、きっちりエスプレッソ感が出ていて、それがミルク感といい塩梅に溶け合っております。コーヒーを飲まなくても、「コーヒー飲んだ感」が出るので、経済的なのかも? でも、これとカフェラテを一緒に飲んだらどうなるのでしょう? 逆に言えば、これと合わせるドリンクは何がいいのでしょう? 紅茶と合わせても緑茶と合わせてもダメそうだし、なかなか難しいですね。ホットミルクかなあ? それとも・・・白湯(さゆ)?

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2023年3月15日 (水)

「堂々たる人生」(1961年):愉快で気分のいいラブコメ    #堂々たる人生 #芦川いづみ #恋する女優芦川いづみ #石原裕次郎 #神保町シアター

Dsc_12453_copy_435x677 神保町シアターで特集上映『デビュー70周年記念 恋する女優 芦川いづみ』が始まりました(3/11~4/14)。デビュー70周年って、・・・すごいですね。このタイトルでの特集上映も第5回目。前回は2019年と、コロナ前でした。今回のポスターは、随分と幼い写真が使われております。

で、本日鑑賞したのは、『堂々たる人生』(1961年)。源氏鶏太の原作で、牛原陽一監督作品、石原裕次郎主演・長門裕之共演であります。

いやー、面白かった。気持ちの良いラブコメです。60年以上前の日本にこんな愉快なラブコメがあったなんて、今の若い人が観たら、ある意味衝撃でしょう。ただ、女性の扱いとか女性に対する言葉とかもある意味衝撃的で、やはり時代の違いを痛感させられます。でもそれはしょうがないことなんですよね。今の視点から批判しても、意味のないことです。だって、その時代の人々の頭の中ではこれが自然、当然のことだったのですから。

芦川さん、寿司屋の娘からBG(ビジネスガール=OLの前につかわれていた和製英語)に転身するのですが、着物姿もお仕事スーツなども似合っておりました。そして気の強さがかわいいキャラクターです。やっぱり1960年前後の芦川さんは、特にいいですね。彼女と裕次郎(こちらも好演)のぎこちなく反目し合う恋が、最高におかしくて、最高に胸キュンなのです。長門裕之もコミカルに効いています。桂小金治や東野英治郎や藤村有弘といった脇役陣も適材適所。安心して楽しく観ていられました。

今回の特集は、20作品を5期に分けて週替わり上映。ごく一部しか観られないでしょうが、ありがたいスクリーン上映。できるだけ足を運びたいと思います。

 

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2023年3月14日 (火)

シュークリームあれこれ    #シュークリーム #さくらもこ #カスタードアンドホイップシュー #クッキーシュークリームチーズ #カスタードクッキーシュー #大人のレーズンバターシュークリーム

Dsc_12452_copy_382x576 東京では本日、史上最速タイでソメイヨシノが開花したそうです。てなわけで、セブンイレブンのサクラのシュークリーム。何と名前は『さくらもこ』!

Dsc_1245_copy_1024x576_12 「さくらももこ」ではありませんよ。「さくらもこ」。うーん、ネーミング大賞候補ですね。中はとろとろのサクラ風味クリーム。うっすらとさくら色です。そして皮がもちもちというか、かなりの弾力。さくらスイーツ好きの大江戸にとって、なかなか結構なお品です。

 

Dsc_12463_copy_768x618 同じくセブンイレブンの定番『こだわりたまごのカスタード&ホイップシュー』。大江戸にとってシュークリームは「カスタード」なのです。それはもう、まんじゅうが「あんこ(特に小豆の粒あん)」であるようなものです。だからこれはスタンダード+1。カスタードとホイップ両方のクリームが入っていても、邪道などとは申しません。ミックスも美味なり、です。もちろんそれは、カスタードが一定以上のおいしさなればこそです。

 

Dsc_12472_copy_600x533 一方ローソンのウチカフェからはこちら、『クッキーシュー クリームチーズ』。「クッキー シュークリーム チーズ」ではありません。「クッキーシュー クリームチーズ」です(クッキーの靴でもありません)。どうも大江戸はクッキー生地のシュー皮って、好きになれません。昔ながらのシュー皮がいちばん。でも、このクリームチームのクリーム(「クリーム」がダブるけど)が、良いのです。白いとろとろクリームがたっぷりで、クリームチーズならではのあの味、あのコクがあって、たまりませんわ。普通の皮なら、もっと評価が高かったろうにね(大江戸的には)。

 

Dsc_12422_copy_576x450 で、こちらは「ISETAN MITSUKOSHI  THE FOOD」ブランドの『カスタードクッキーシュー』。やや小ぶりです。

そしてお味の方がダメダメです。大江戸的にはクッキー生地ってだけでも減点ですが、それ以上にダメなのがカスタード。てろんとしていて、妙に光沢があって、良くないカスタードの典型。タマゴの風味がぜんぜん消えちゃって、カスタードのおいしさがありません。これは残念すぎます。

 

Dsc_12512_copy_981x576 最後に紹介するのは老舗ヒロタの『大人のレーズンバター』(期間限定)。小さなのが4つ入ってます。洋酒入りです。

Dsc_12522_copy_734x5762 クリームはかなりとろりんで、そこに細かく砕いたレーズンが入ってます。これ、ちょっと細かすぎません? もう少しラムレーズンの形が残っていた方が良くありません? そのお味の方も微妙。まずくはないけど、そう絶賛もできません。「意あって力足らず」ですかね。別のチャレンジに期待しましょう。

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2023年3月13日 (月)

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」:困ったもんです    #エブリシングエブリウェアオールアットワンス #エブエブ #ダニエルズ #エブエブが駄作な件

1_20230313142601 映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』がアカデミー賞7部門獲得しましたね。作品賞も獲得したなんて信じられません。「世も末」な感じがします。何でこの作品がそんなに評価が高いのか、理解に苦しみます。困ったもんです。

基本的に面白くありません。クスリぐらいの笑いは随所にありますが、ワハハとはいきません。それどころか、だんだん「つきあいきれない」って感じになっていきます。非常にマスタベイティングな感じ。2時間19分と長いしね。困ったもんです。

監督のダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)って、あの怪作『スイス・アーミー・マン』の監督(脚本も)なんですってね。しかも、ダニエル・シャイナートの方は、『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』の監督もやってるそうで…。どうりで品がなくて、節度がないと思いました。だから、こういう作品は一部のマニアが冗談半分で斜に構えて楽しめばいいのであって、オスカーはじめ映画賞で賞賛するような代物じゃあないんですよねー。それなのにこれでは、投票権を持った人の数を大幅拡大していろんな人種が投票できるようになったら(「白すぎるオスカー」への対策として、数年前からそうなった)おかしな結果が出ることが増えた、みたいな気がしちゃうじゃないですか。困ったもんです。

受賞した演技賞に関しても、あの人もあの人も別に大した演技じゃないじゃん。こんなにアジア人だらけでいいの? 困ったもんです。

あ、「石」の場面だけは好きでした。一瞬何が起きたのかって感じで、気がついてニヤリと笑えました。この奇想だけは、ほめてあげたいです。

 

 

 

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2023年3月12日 (日)

湘南、京都に不本意な敗戦    #湘南ベルマーレ #ベルマーレ #菊池大介 #湘南対京都 #湘南京都 

Dsc_12463_copy_851x489 レモンガススタジアムで湘南ベルマーレ対京都サンガFCを観戦。今年のホーム開幕戦はFRIDAYナイトJだったので行かず、本日が今期初のホームゲーム生観戦です。いろいろと変化がありました。

Dsc_12472_copy_1152x648 その1、スタジアム手前の大原公園の大池が「かいぼり」の最中で、水がなくなって珍しい風景になっておりました。

Dsc_12494_copy_545x434 その2、スタジアム売店やキッチンカーなど、すべてのスタジアムグルメがキャッシュレス決済オンリーとなっておりました。まあ、大江戸はいいけど、子どもに千円持たせて「買ってこい」みたいなのはできなくなっちゃうんじゃないかなあ? お年寄り対応も心配です。その場でプリペイドカードも売ってはおりましたが…。

Dsc00417_20230312223601 で、試合前には元ベルマーレの菊池大介がフットサルの選手としてベルマーレに戻って来たことのご報告。クラブ全体のお仕事もやるってことです。お帰り、大ちゃん。

Dsc00419 まだ31歳。脂ののった時期にレッズに移籍なんかしなければ、湘南でもっと花開いたかも知れない選手なんですよねえ。今度はフットサルで、大きな花を咲かせてください!

Dsc_12485_copy_885x416 さてさて試合は、前節の川崎戦で負傷交代した大橋がやっぱりスタメンにもベンチにも入っていませんでした。うーん好調だったのに…。その大橋の不在が、地味に効いてしまったゲームでした。

Dsc_12483_copy_902x541 前半はほぼ湘南が押して、ゲームを掌握していました。しかし、このままいけば先制点は時間の問題と思えながら、なかなか点が取れずにそのまま前半が終了してしまいました。すると後半、55分に先制され、74分に加点されてしまいます。そうなったら、京都は二枚のブロックを敷いてガッツリ守ります。そこを崩せずに、試合終了。悔しい0-2の敗戦となりました。勝てた流れだったんですよねえ、前半までは。

Dsc_12486_copy_603x463 せっかく最高のスタート(鳥栖戦の5-1勝利)だったのに、得点がどんどん減っていき、順位も10位まで下がってきました(第1節終了時点では首位!でしたw)。次節でまた盛り返してほしいものです。

それにしてもスタジアム、古くてサビだらけですね。改めて「ひでーな」と思いました。早く新スタジアム計画の実現を!!

Dsc_12462_copy_644x628 ホーム初観戦ってことで、ベル12会員の特典=ハンドブックとフェイスタオルをもらってきました。こうして家の中が黄緑だらけになっていくのです。てへっ。

 

 

 

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2023年3月11日 (土)

「フェイブルマンズ」:やっぱりスピルバーグが好き    #フェイブルマンズ #スティーヴンスピルバーグ #スピルバーグ

1_20230311224201 映画『フェイブルマンズ』は、スティーヴン・スピルバーグの自伝的作品。子供の時に初めて映画『地上最大のショウ』を観てから、映画業界に入るまでの若き日々を描きます。

やはり自分のことだから、ちょっとはにかみながら、謙遜しながら描いてる気がします。少なくとも大法ボラふいてるような自信たっぷりの描き方ではなく、謙虚に「佳品」を作ったという印象です。少年の成長物語として、家族の物語として、そしてもちろん映画の物語として、アメリカ映画の伝統を受け継ぎながら、質の高いエンタテインメントに仕上げてくれました。いつものように、もの凄い盛り上がりだとか「おおっ!」と唸るようなショットはなかったけれど、「映画ってこういうもんだ」って感じになっているのです。

(以降ネタバレ全開! 大江戸もまったく知らずに観て感銘を受けた場面なので、絶対鑑賞後に読んでください!) ラストにはかなり驚きました。まさかのジョン・フォード登場! アメリカ映画の王冠が、王から王子に託された瞬間。しかも、この簡潔さ! しかもフォード役の役者がうまい。でもこの声聞いたことあるなあと思ったら、エンドクレジットでデイヴィッド・リンチだと知ってびっくり&納得。助演賞ものの存在感でした。それにしても、リンチもこの出演オファーにはびっくりしたでしょうねえ。そして、撮影場面が気になります。DVDの特典映像とかにつくのかしらん?

でも現代日本の観客の大多数は、ジョン・フォードを知らないんでしょうねえ。せっかくの名ラストなのに、あのぞくぞく感とかが味わえず、わけわかんないのでは? でも、オフィスを出た後のあの幸福感はわかるかな。いずれにしても、後味の良いラストでした。

やっぱり大江戸は終始一貫して、スピルバーグのファンです。それは、アメリカ映画のファンということでもあります。

 

 

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2023年3月10日 (金)

「仲條正義名作展」@クリエイションギャラリーG8    #仲條正義名作展 #仲條正義 #クリエイションギャラリージーエイト

Dsc_12443 銀座(というかむしろ新橋から近いんですけど)のクリエイションギャラリーG8で、『仲條正義名作展』(~3/30 入場無料)を観ました。

Dsc_12452 仲條さんは、2021年10月に88歳で亡くなったグラフィックデザイナー(アートディレクター)です。もともとが資生堂宣伝部出身の方なので、資生堂関係の仕事が多いのですが、松屋銀座、スパイラル、東京都現代美術館などのCIやロゴデザインでも有名です。

Dsc_12473 仲條さんというと、資生堂『花椿』のアートディレクション歴が長かったわけですが、印象的なのは資生堂パーラーの缶やザ・ギンザのロゴだったりします。あの力強くガッチリと構築されたデザインは、資生堂の優美さと対極をなすものでしたが、一方では銀座らしいレトロ感とモダン感と本格感を持っていて、結果的に長年愛されたデザインでした。あんなパッキリした色遣いってのは、なかなか思い切ってできるものではありません。それをやっちゃうのが、仲條さんなのだと思います。

Dsc_12482 ロゴタイプに関しては、やはり力強さと、人を食ったような軽妙さが同居しています。そこらもやっぱり仲條さん。

Dsc_12492 人を食ったようなゆるゆるのポスターも数多く手がけてますよね。自分をネタに、顔や体にテープを貼って写真を撮ったヘンテコポスターなどはその真骨頂。見る者は、「お笑い?」って気持ちと「デイヴィッド・リンチ?」って気持ちを同時に感じます。いたずら描きのような絵とガッチリ構築したデザイン、その両立こそがやっぱり仲條さんです。

Dsc_12463 会場随所に出ているインタビューや名言も面白くて、読んじゃいます。「アルコールは父。ニコチンは母。」(記憶で書いてるので、ちょっと違うかも知れません)とか、壁面に書いてありましたよ。昭和っぽいですね。

というわけで、唯一無二の個性を持ったサムライでした。 R.I.P.

 

Dsc_12502_copy_1024x1452 ところで、貼り紙で知ったのですが、このクリエイションギャラリーG8とガーディアンガーデン(どちらもリクルートさんのデザインギャラリー in 銀座)が、8月でなくなっちゃうようですね。長年の功績を認めつつ感謝しながらも、うーん、ちょっと複雑。残念至極ですね。「いつまでもあると思うな親と金」みたいなもんで…。

 

 

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2023年3月 9日 (木)

セブンの変わりおにぎり    #セブンイレブンのおにぎり #牛めしおにぎり #炙り焼きソーセージおにぎり #焦がし醬油の鮭バターおにぎり #スパイスカレーの魯肉飯おむすび

Dsc_1155_copy_450x8002 セブンイレブンのおにぎりが他のコンビニよりもだいぶおいしいことは、大抵の人が知っていますよね。そういうわけで、久々に4つほどご紹介。

「塩むすび」をはじめオーセンティックなものは既に紹介したりしているので、珍しめなものを。まずは『牛めし』。しょうゆで甘辛く煮た牛肉がセンターに入っております。まあ、思った通りの味ってやつです。ガツン系を欲するときにはどうぞ。

 

Dsc_1156_copy_800x4502 二番手は変わり種を。はい、『炙り焼きソーセージ』です。で、なぜかポケモンボールになってます。結構前のやつなんで、ポケモンとコラボしてたんでしょうね。5mm厚ぐらいにスライスしたソーセージをごはんに乗せて海苔で巻いた、いわば「スパムむすび」のようなお品。これもガッツリ系ですね。

 

Dsc_12512_copy_600x785 それに続くのは、『焦がし醤油の鮭バター』。「鮭」に「しゃけ」とルビがふってあるあたりが、ポイント高いですね。鮭と醤油とバターとごはんっていったら、これはもうテッパン。おいしいに決まってるじゃないですか! 温めると更においしかったりします。

 

Dsc_1250_copy_960x5402 で、最後には変化球。『スパイスカレーの魯肉飯(ルーローハン)おむすび』。セブンで開催中の「カレーフェス」にちなんだ商品ですが、うーん、どうですかねー?

Dsc_1251_copy_960x5402 カレー味が全てを覆いつくしてしまうので、魯肉飯のあの美味しさが全然感じられません。これだったら、普通にカレーチャーハンのおにぎりを買いますよ。なんなんだ、まったく。

 

ま、でもしょっちゅういろんなおにぎりを出されると、食べてみたくなることも確かなのであります。駅や街なかにあるおにぎり専門店やお米屋さんのおにぎりの方が絶対おいしいとは思いますけど、コンビニで手に入るカジュアルさはそれなりに魅力なのです。

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2023年3月 8日 (水)

「本の森ちゅうおう」がステキ    #本の森ちゅうおう #中央区

Dsc_12332_copy_802x576 中央区の八丁堀駅そば、新富町駅からもほど近い場所に昨年12月4日にオープンしたのがこの施設、「本の森ちゅうおう」です。現時点ではまだ利用者も少なく、「穴場」です。

Dsc_12322_copy_907x576 「本の森」という名が示す通り、中心となるのは図書館。中央区役所の隣にあった京橋図書館が引っ越してきたんですよね。そこに郷土資料館をくっつけて、プラスアルファの要素も加えたのが、この建物。平らな街中に突如として「丘」が出現したかのようなイメージです。

Dsc_12312_copy_958x576 1階の入口脇にはカフェもあります。おしゃれですね。ランチもできます。

Dsc_1237_copy_324x576 とにかく外観が独特です。目を惹きます。ガラスを多用していますが、冷たい感じはなく、むしろフレンドリーな感じ。

Dsc_1238_copy_1024x576 建物の中は撮影を遠慮しましたが、ステキです。広々としてて、トイレもキレイ。1階の奥には多目的ホールがあって、大江戸が行ったときには歌舞伎の衣装や舞台美術の展示を行っていました。

そのさらに奥には郷土資料館があります。現物資料のほかにデジタル展示もあるのが今っぽいところ。中央区のいろんな街の歴史がわかる写真を見ていけたりして、楽しいです。床面の古地図もナイス。

Dsc_1235_copy_1024x576 2階には「つどいの森」、6階には「屋上庭園」(展望台まであります)があるのも、憩いのスペースとしてステキです。図書館の中にも、会議スペースや自習スペースや小さな子と遊べるスペースなんかがあって、本当に「使える」「楽しい」施設になっています。やるじゃん、中央区。

Dsc_12292_copy_323x576 コアとなる図書館は2階から5階の4フロアで、これまた見事。フロアごとに利用者層を想定した構成になっているそうで、子供からお年寄りまで、それぞれが使いやすく楽しい作りになっています。

Dsc_1236_copy_1024x576 確かに本の置き方、見せ方からして、旧来の図書館とは違うエンタテインメント性が感じられます。そして、とにかく気持ちの良い空間なんです。いやー、こんな施設に無料で入れるってのは随分とありがたいことです。随分と中央区さんを持ち上げちゃいましたが、良いことをしたら褒めてあげるべきだと思うのです。 ブラボー!

 

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2023年3月 7日 (火)

「少女は卒業しない」:中井友望の良さ    #少女は卒業しない #中川駿 #河合優実 #中井友望

1_20230307225601 映画『少女は卒業しない』は、山梨県にある高校の卒業式前日と当日のみを描いた朝井リョウ原作の映画化。監督は長編第1作の中川駿(脚本も)です。

なかなか好感の持てるマジメな青春映画、学園映画です。4人の女子を中心に、その他の男女も描く群像劇。特殊な設定とか過激さとかはなく、普遍的なものがありますね。ただ、こういうものに「死」を絡ませる必要はないんじゃないのかなあと、いつも思います。

かなり淡々とした作品ではあるのですが、クライマックスとも言うべき卒業式後のライブ場面で男の子(佐藤緋美)が歌う『ダニー・ボーイ』が、「めっちゃうまくて生徒たちの心を掴む」って設定なのに、そこまでうまくなかったのが残念。それだと映画が成り立っていきません。やはりここは人を感動させるほどの歌唱力を持った人でないと(どうも、この人も自主レーベルでアーティスト活動をやっているそうなのですが…)。ちょっと嘘っぽくなっちゃって、納得できませんでした。

売れっ子の河合優実が、らしい感じで好演しておりますが、大江戸が「おっ!」と思ったのは図書室で先生と話す作田さん役の中井友望(とも)。その内気で純真なキャラクターがカワイイと思って見ておりましたが、この名前には覚えがあって、それもそのはず…大江戸の2021年トップテンで、新人賞を与えていた子ではありませんか! あの時は、今泉力哉の『かそけきサンカヨウ』に出ていて、主役の志田紗良よりも友人役の中井さんの方がいい!と書いていた小生でしたので、こういう「予期せぬ再会」って嬉しいですね。本作でも中井さんは一番ステキでした。

 

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2023年3月 6日 (月)

「エンパイア・オブ・ライト」:映画館の美!    #エンパイアオブライト #美しい映画館 #サムメンデス

1_20230306225701 映画『エンパイア・オブ・ライト』は、1981年頃のイギリスを舞台にしたサム・メンデス監督作品。サム・メンデスって、『アメリカン・ビューティー』もやれば、『ロード・トゥ・パーディション』もやれば、『007』シリーズもやれば、『1917 命をかけた伝令』もやる人で、常に芸術性と娯楽性を両立できる才人。しかもそこにかなりの「苦み」があるのが特色。本作も、その例外ではありません。

主役はオリヴィア・コールマンと、新鋭マイケル・ウォード。二人も見事なのですが、それ以上に主役なのが彼らが働く映画館「エンパイア劇場」。いやー、このアールデコの見事な造形をもつゴージャスな劇場の美しさに圧倒されます。外観も内装も、客席もロビーも、さまざまなディテール美に彩られ、いつまででも見ていたい華麗な建築です。こんな映画館に行ってみたいなあ。でも、朝イチの売店のガラスケースに宵越しのポップコーンがいっぱい残っていて、それを使い回ししているようだったのはちょっと…。しけるし、油が参加するし、それよりもゴキブリとかがはい回っていそうだし…とても食べる気にはならないなあ。

オープニングをはじめ、エンパイア劇場の美を見事に捉えたのは名手リチャード・ディーキンスの撮影。柔らかく甘美な光と深い影がもたらす映像。海辺の光や花火の輝きも含めて、まさに映画館の映画にふさわしい光と影の映像美なのです。撮影賞ものですね。

でも、物語はサム・メンデスらしい苦さを湛えていて、ちょっと辛いです。っていうか、あまり好きになれないのです。スカッとしたり、めでたしめでたしとはなりません。そこらがやっぱりサム・メンデスなんでしょうけど。

映画館の看板の掲示や館内のポスターで、あるいは映像フッテージで、どんな映画がかかっているかわかるのですが、『ブルース・ブラザーズ』『オール・ザット・ジャズ』『レイジング・ブル』『炎のランナー』『チャンス』など、大江戸が大好きな作品ばかり。良い趣味、ナイスなセレクトの劇場です!

 

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2023年3月 5日 (日)

「アラビアンナイト 三千年の願い」:ティルダ・スウィントンの魅力    #アラビアンナイト三千年の願い #映画アラビアンナイト #ジョージミラー #ティルダスウィントン

1_20230305223101 映画『アラビアンナイト 三千年の願い』は、あの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に次ぐジョージ・ミラー監督作品。あまりの毛色の違いにびっくりです。でも考えてみればこの監督、『イーストウィックの魔女たち』も『ロレンツォのオイル 命の詩』も『ベイブ』も『ハッピー・フィート』も撮ってるんですよね。振り幅大き過ぎ!ってか、むしろこっちの方が本筋のジョージ・ミラーなんでしょうか?

で、さらに驚いたのがこの作品のある意味「地味」な展開。終盤にロンドンが舞台になるまでは、ほとんどの場面がホテルの室内だけ(ただ、そこから「物語の世界」がどんどん出て来るのですが…)。しかもティルダ・スウィントンとイドリス・エルバがかなり延々と話し合います。会話劇です。正直眠くなります。まあ、眠くなるってのは正しい『アラビアンナイト』の在り様かも知れないですけど。

でも、本作のティルダ・スウィントンはめっぽう魅力的なのです。近作ではペドロ・アルモドバルの『ヒューマン・ボイス』で一人芝居を見せておりましたが、小生ももともとこの人は好き。しかしながら、この作品で学者を演じる彼女は、とにかく生き生きと輝いていて、メガネも似合って、格別でした。全盛期のヴァネッサ・レッドグレイヴみたいなテイストで、彼女ならではの表現をしてくれています。

カラフルな衣装や美術のデザインもグッドです。でも、映画としてはあんまり面白くないんですよねー。

 

 

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2023年3月 4日 (土)

湘南、川崎に(判定勝ちの)引き分け    #湘南ベルマーレ #ベルマーレ #川崎湘南 #川崎対湘南

Dsc00401 今年初のJリーグ生観戦は、等々力陸上競技場での第3節・川崎フロンターレvs.湘南ベルマーレ。等々力もなんか久しぶり。そして、ゴール裏のサポ席も久しぶり(2階の指定席でしたが)。それにしても狭いねえ。暖かい日だったのですが、アウェイ・スタンドは日陰で風が強くてかなり寒めでした。でも今年初のスタジアム・ビールは飲みましたけどね。

Dsc00406 結果は1-1のドローでした。終始湘南がペースを握り、ついに64分に平岡太陽の見事なシュートでベルマーレが先制! 81分までは勝っていたのですが、昨年湘南に在籍した瀬川のシュートでフロンターレが追いつき、そのまま試合終了。帰ってからNHK-BSの録画を見たのですが、うーん、内容では完全に湘南が川崎を上回っておりましたね。サッカーに判定勝ちがあるのなら、ベルマーレに勝ち点3が行った試合でした。

Dsc00409 町野と2トップを組んでいた大橋がハムストリングス(?)の故障で前半の最後の方でピッチを去ったのが気になります。好調だっただけに、長引く怪我にならなければいいのですが…。

Dsc00411 それにしても今期の湘南は、開幕早々連係の取れたかなり良いサッカーをやってます。毎試合点も取れてます(まあ、試合を追うごとに5点、2点、1点と減ってきていますが…)。スタートでもたついた昨年のことを思うと、開幕3試合で1勝2分けの勝ち点5は悪くありません。ただし前節横浜FC戦も今日も、「勝てたのに」との悔しさは残ります。もっともっとやれると感じられるのです。そういった意味では、かつてないほど楽しみなシーズンなのです。

Dsc00405

満員の21000人越えの客席で、マスク越しとはいうものの声出し応援がOKになって、なかなかの盛り上がり。やっぱりこうでないとね。クラブのチャントは昔からのですけど、各選手のは新しいチャントばかりで、戸惑ってしまいました。ちゃんと覚えないとね(←だじゃれ)。みんなコロナ下の3年間に加入したり、試合に出るようになったりした選手たちなんだよなあと改めて感じ入った次第。

ふろん太やカブレラも元気。今日はキングベルは来てませんでした。

Dsc00414今日のゴールで、今期2点目の平岡太陽。今シーズンは、大橋、町野、小野瀬、平岡と、前の方の選手がちゃんと得点できてるのが大きいですよね。

Dsc_12513_copy_600x368 Jリーグも30周年。ベルマーレも30周年。新しいバス、かっこいいんですが、真っ黒だと真夏は余計に冷房費がかかちゃうんじゃないかなあ、などと考えてしまう倹約家の大江戸でした。

 

 

 

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2023年3月 3日 (金)

「800日間銀座一周」by森岡督行    #800日間銀座一周 #森岡督行 #銀座

Dsc_12523_copy_540x725 文春文庫の『800日間銀座一周』(文庫オリジナル)を読みました。昨年4月の刊行です。著者の森岡督行氏は銀座一丁目(と言ってもかなり新富町寄りですが)の鈴木ビル内にある森岡書店の店主。彼が銀座各所を歩いてリポートするweb記事を集めたもので、資生堂のWEB『花椿』の連載記事だったものを集めたエッセイ集となっております。

時期的には2020年5月から21年12月の間の記事ですが、連載前の記事から数えて800日ってことのようです。40のエッセイそれぞれに、森岡氏自身による味のあるイラストレーションと、伊藤昊による1964年頃の銀座の写真が添えられています。

銀座好きにはたまらない本です。和光、鳩居堂、アンルシャルパンティエ、ライオン、はち巻岡田、木村屋、ソニーパーク、月光荘、中村活字、よしやなど章題に入っている店名を見るだけでも気分が上がるってもんですよね。

第1章で、1933年の1日を想定した銀座逍遥のコースとして、鈴木ビル→煉瓦亭→米倉(理容)→千疋屋→資生堂→ルパン→チョウシ屋といったコースなのですが、今現在でも同じ店をたどることができるという事実に感嘆しました。これが銀座なんですよ!

このエッセイの素晴らしさは、銀座の地理を二次元的に追うばかりではなく、そこに銀座の歴史という次元も交わっている三次元的な展開です。それができるし、また、それをやらなけらば意味がないのが、銀座という街の奥深さなのです。

欲を言えば、各章とももう少したっぷり読みたかった、もっと詳しく書けたろうに(字数制限がうらめしい)ってこと。でも大江戸としても、いろいろと勉強になりました。

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2023年3月 2日 (木)

「最後の秘境 東京藝大」を今頃    #最後の秘境東京藝大 #天才たちのカオスな日常 #東京藝大 #二宮敦人 

Dsc_12562_copy_497x676 2016年に単行本が出た頃に広告や書評を通して気になっていたのですが、2019年の文庫化にも気づいておらず、ようやくその新潮文庫を古本屋で買いました--『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(二宮敦人)。いやー、面白かった!

とにかく変人のオンパレード。美大とかって変わった人が多いと聞いてはいました。大江戸の高校時代の同級生女子は、美大時代にいつも通学鞄に「げんのう」を入れていたそうですが、そんな甘いレベルじゃない変人および変態の方々が、藝大生活について語ります。

東京藝大は美術学部(美校)と音楽学部(音校)に分かれていて、随分色合いが違うのだそうです。すべてがゆるくて、学校に来ない人も多い美校に対して、在学中からセミプロのような形で、とにかく練習時間勝負のような音校。そこにいる学生も教職員も当然毛色がまったく異なります。でも、どちらも「普通じゃない」「極限の人たち」ってことに関しては共通しています。しかもとにかくいろんなタイプの人たちがいます。いや、スゴイです。

驚いたのはインタビューに登場する学生の一人に、「声楽科の井口理さん」がいたこと。はい、King Gnuのメンバーの井口さんの学生時代だったってわけです! 「僕はポップス系を志向しているんですよ。」なんて発言もあったりして、なるほどなのでした。

 

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2023年3月 1日 (水)

ドーナツって、やっぱりいいね    #ドーナツ #チョコクリームドーナツ #もちもちリングシュガー #クリスピークリームドーナツ #オリジナルグレーズド

Dsc_12452_copy_600x542_20230301231301 ドーナツって、なんか魅力的ですよね。村上春樹氏がドーナツ好きで、甘いものはほとんど食べないけどドーナツだけは食べるってのも、わかるような気がします。実際に食べてみると、見た目に届いていないことが多いのも事実なんですけどね。

はい、こちらはセブンイレブンの「チョコクリームドーナツ」。チョコ生地に、チョコレート・コーティング、中心部にたっぷりのチョコクリームというチョコづくしです。でもまあ、そこそこですかね。「見た目ほどにはうまくない」タイプかもです。

 

Dsc_12292_copy_897x768 セブンならこっちの方がおいしかった。はい、「もちもちリング シュガー」です。ミスドのポンデリングをシュガーコーティングしたような商品。おお、生地がもちもちで、これは間違いのないおいしさと言えるでしょう。いいね。

 

Dsc_1246_copy_600x10673 で、こちらはクリスピークリームドーナツで選んだ三品。左から「なんかいろいろなタイプのチョコづくしみたいなやつ」「黒光りした光沢が美しいやつ」「シナモンシュガー」です。おいしかった順では真ん中>右>左ですね。真ん中の黒光りは目にも美しい感動を与えてくれつつ、お味の方もチョコ×赤いベリー系というテッパンコンビなのでした。シナモンシュガーはちょっと温めると、さらにおいしいのです。

 

Dsc_1151_copy_768x13652 でも、クリスピークリームドーナツの中で結局最高なのは常にこいつ。はい、「オリジナル・グレーズド」。うーん、原点にして最強です。こいつも温めると更においしくなります。でも温めなくても十分です。シンプルなシュガーのうまみというものが、最高に感じられます。もっちり生地もお見事。「The ドーナツ」にして、KKDの看板商品なのであります!

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