「風のある道」(1959年):通俗の強さが胸に迫る #風のある道 #芦川いづみ #神保町シアター
映画『風のある道』(1959年/モノクロ・ワイド)を、神保町シアターの特集上映『恋する女優 芦川いづみ』で観ました。なんと川端康成原作の芸術祭参加作品であります。
でも、いきなり和田弘とマヒナスターズの主題歌が流れてくるし(ラストにも)、物語自体とても通俗的です。しかしながら王道の持つ力ってのはあるわけで、その力に乗せられました。なかなか心に残る作品です。
この作品に限ったことではありませんが、いろいろと時代を感じさせてくれます。お父さんは敬語使われて尊敬されてますし、とっても偉そう。それに限らず、女性がひどく抑圧されている封建社会。知的ハンディキャップがある児童への差別的言動の数々。貞操の重さ。その他もいろいろありますが、それらを取り上げて、今の尺度で批判しちゃあいけませんよ。そういう時代だったわけで、誰もがそういうものだと思っていたのですから。 でも、この時代ならではの「口に出さない(出せない)思い」の切なさとかは、何とも胸に迫るのです。西河克己監督、いい仕事してますね。
終盤の、ちょっとスリリングな展開だとか、ベタな結末とかが、意外にハートにくるのです。やっぱり「通俗の強さ」ってことなんでしょうね。父親役の大坂志郎が、いい味出してます。 芦川さんは、けなげで優等生的で可憐。この時代の彼女は、一つの作品の中で洋服も着物も着てますね。今回の特集で観た『堂々たる人生』『白い夏』でもそうでした。
それにしてもビリング・トップは北原三枝なのに、ポスターには芦川と清水の姿がダーン! へんなの(でも確かに北原三枝は脇役なんですけど)。
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