「エンパイア・オブ・ライト」:映画館の美! #エンパイアオブライト #美しい映画館 #サムメンデス
映画『エンパイア・オブ・ライト』は、1981年頃のイギリスを舞台にしたサム・メンデス監督作品。サム・メンデスって、『アメリカン・ビューティー』もやれば、『ロード・トゥ・パーディション』もやれば、『007』シリーズもやれば、『1917 命をかけた伝令』もやる人で、常に芸術性と娯楽性を両立できる才人。しかもそこにかなりの「苦み」があるのが特色。本作も、その例外ではありません。
主役はオリヴィア・コールマンと、新鋭マイケル・ウォード。二人も見事なのですが、それ以上に主役なのが彼らが働く映画館「エンパイア劇場」。いやー、このアールデコの見事な造形をもつゴージャスな劇場の美しさに圧倒されます。外観も内装も、客席もロビーも、さまざまなディテール美に彩られ、いつまででも見ていたい華麗な建築です。こんな映画館に行ってみたいなあ。でも、朝イチの売店のガラスケースに宵越しのポップコーンがいっぱい残っていて、それを使い回ししているようだったのはちょっと…。しけるし、油が参加するし、それよりもゴキブリとかがはい回っていそうだし…とても食べる気にはならないなあ。
オープニングをはじめ、エンパイア劇場の美を見事に捉えたのは名手リチャード・ディーキンスの撮影。柔らかく甘美な光と深い影がもたらす映像。海辺の光や花火の輝きも含めて、まさに映画館の映画にふさわしい光と影の映像美なのです。撮影賞ものですね。
でも、物語はサム・メンデスらしい苦さを湛えていて、ちょっと辛いです。っていうか、あまり好きになれないのです。スカッとしたり、めでたしめでたしとはなりません。そこらがやっぱりサム・メンデスなんでしょうけど。
映画館の看板の掲示や館内のポスターで、あるいは映像フッテージで、どんな映画がかかっているかわかるのですが、『ブルース・ブラザーズ』『オール・ザット・ジャズ』『レイジング・ブル』『炎のランナー』『チャンス』など、大江戸が大好きな作品ばかり。良い趣味、ナイスなセレクトの劇場です!
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